忘れてしまいたい

楔を千切り捨てて

手に触れた棘にも

僕は何一つ言葉を返せず


いつも通り揺れ動く

愛しさに燻る

感情が曖昧に、


なんだっていいのです

貴方が笑うのなら

嘘を吐いたっていいのです

貴方が笑うのなら


鎖はその首に繋がって

鉄の枷に気付かないふり

突き立てた刃

切っ先に浮かべた嘲笑


終わる世界に生きるなら

そんな罪を並べても

なんの意味もない


忘却の彼方に埋もれた

贖罪は掌に転がった

指先から伝う

許しを請うても

きっと誰も気付かない

それでよかったんだ


貴方が笑うなら

捧げる祈りの数も

手向けた願いの言葉も

足掻いた心も

縋る腕も

確かに愛していたと

そう呟いても

きっと誰も知りやしない


隠してしまえば

何も無い世界が

夢の様に思えた


私は何を願い

誰を想い

何処へ向かえば

終幕を見れる?


伝えても

零れ落ちる様に

願いは砕けていく


忘れてしまえと

誰かが囁いて

空の茜が

消える様に

弾けてしまえば


それは夢の様で

響く様に広がる

言葉が殺された


正解が転がる

間違い探しは

もう終わったろう?


覆い隠した

誰かの声を

その続きを

僕は何も知らない


右手に触れた

曖昧な境界線

伝う様に流れた

涙を一つ抱えてさ


笑ってしまえよ

そうすれば世界は

きっともう終わる


何を願っても

誰を想っても

叶わないなら


これが最後だと

笑いあえたら


正しい物を選んで

それ一つ棄てて、

紛れこんだ正解を

静かに飲み込んだ


誰かの為って

僕らの為って

そんな丁寧に御託並べて

いっそ死んでしまえば

この瞳が開く事はないのに


悲しいのも

寂しいのも

慣れてしまえば

唇を噛むだけの

そんな簡単なお仕事で


凝結し始めた白の夢は

誰も知らないだろう

吸う様に、吐く様に

誰も変わりやしない


そんな損な世界で

僕はきっと分からないのだろう

それでもいいんだよ


それで、良かったんだ。


呼吸を止めて

茜が食い潰した

誰かの明日を覗く


陰鬱とした影を

足蹴にしながら

雑踏に紛れる

小石一つ

涙の代わりにもなりやしない


変わらないでいられるか

不変的な時間の中で

僕は明日を望んで

その癖傷付くのを恐れて

約束は小指に絡んで

何時だって赤色を選んだ


嘘を吐く様に

静かに呼吸をする

また茜が染まる

選択したのは

何時だって僕だ

右か左か、

上か下か、


君か僕か。


まるで泣く事も

忘れてしまって

そこらへんに転がって

空を見上げるよりも

もっと簡単で、

もっと残酷な世界


茜が殺されていく

呼吸が詰まり始めて

きっとこれで良かった

もう明日を望んでも

誰も傷付かない


優しい嘘は

食い潰した明日の在り処


最後を辿る

夢の続きは

閉じた目蓋の先

誰かの足跡に

土を払って

気付かないでおくれ、

その純粋な眼に

穢れを含む前に


何時からか

この心の痛みを

なぞる君の指先に

誰もが何を云わず

理解る事もないと

気付いてしまったのか

誰かの叫びが

鼓膜を劈いて

きっと腕に落ちつき

損なわれた感情の

裏側に貼り付いた

衝動を食して


それは柔らかな最後

次を選んで

前を殺した

諦めたその瞳は

罰を並べて

罪を弾いた

きっとそうやって

貴方は生きてきた

焼かれる様な痛みも

殺めたその心も

何一つ失うことなく

優しい言葉で

誰よりも残酷に


明日を願うのでしょう。