知らないことを

気付かないふりして

何度も繰り返した

言葉のその続きを

人が見つめる視線を

溶かして嘯いた

 

揺らした空気と

瞳に浮かんだ虚栄を

呑み込んで閉ざした意味を

知っているはずなのに

 

もう何も見ないで

優しいだけなら

何一つ要らないと

そう言った音の上を

君は踏みにじるんだ

 

言葉が伝えた

瞳が見つめた

その先の意味の理解を

僕は何度も繰り返して

緩やかな温度に沈む

 

本当にそうは思った?

本当に優しいと

私の為を思った?

 

貴方は知らないと、

そう口を開くのに


崩れた指標の上で

踊る二人を

僕は静かに見ていた


不安定に

遊ぶ光の粒に

静けさは

縁取っては沈む


破れて消える

誰かのための世界は

もうどこにも残らないのに


知らないのは

見てないからと

落ちていく二人に

僕がかけた言葉は

音にすらならないで


手に取った

汚れたページに

残した懺悔は

赤く染まって

悲しく俯く


もう歩けやしない足で

何度も踊り続けて

削り沈む街の痕を

誰もが忘れて

二人の影を

空が置いていったって


静寂が食んだ

痛みの道筋で


二人は踊り続ける

今でも絡んだ指で

目を伏せた愛を

僕は知らないままで


それは澄み渡るような青で

私の瞳に落ちていった

カラカラと浮かんだ笑顔も

膨らんで消えた感情も

全てが愛おしいと

口から吐き出したくて

何も知らないふりをしたのは

いつだって私のほうだった


終わりを知りたくはなくて

それでもその鮮明さを

私の瞳に閉じ込めては

笑う先の夢路を追いかける


柔らかな温度の隙間を

逃げ出してしまう君と

その指先がすり抜けた

私の愛の捨て場を


それはいつだって正しく

清らかに生きている事。

青が落ちていく真実を

私もそれこそいつだって

分かってはいたんだ


変わらない風の行き先を

私が追いかけたように

君がすり抜けた指先の温度に

天上の蒼穹を描いたのは

知らないと嘯く

青く澄んだ瞳だけなんだ

街角の最果てで

少年は夢を吐き捨て笑う

繋がるコードは

時に仕掛けた機械の罠で


世界は虚ろに染まったまま

瞳に映る虚構の空に

誰もが正しさを選んでいった


始まる度に終わっていく

傷が増えた心で

傷が増えた体を支える

硝子玉の様な作られた瞳を

誰よりも深く知っていたから


誰が嘘を吐いていて

誰が正しさを持っていて

誰が世界を作って

誰が世界を壊して

誰が少年の手を取って

誰が少年の背を押して


誰が誰がと繰り抜かれた真実を

足元に幾つも転がしていた


コードに流れる言葉の羅列を

呑み込んだその声の先に

誰よりも深く望んだ

ゼロの笑顔があるのであれば

きっとそれが少年の真実であると

硝煙にくすんだ瞳を

誰よりも深く世界に映したんだ




「少年はその正しさを知っている」


忘れた忘れたと

繰り返し巡り出す

言葉の続き捨てて

綺麗に割り振って


知ってる事の先は

これ以上見ないで

壊して崩して

愛しているつもりを

知らないふりして


続いて途切れて

それでいいと

貴方が笑うから

誤魔化しを知るんだ


嘘を吐いてまでの幸せを

足踏みして捩じ切る様に

薄汚れて見える

その色の先の躯を

何度だって抱き締めにいく


知らないだろうだなんて


そんな嘘、知ってるんだよ