今日が終わった。


迎えに来ない電車

片手に吊り下がる

心なしか少しだけ虚しく

燻らせた悲しみを

吐き出す様に流して

蹴り飛ばした昨日を

電気信号の向こうに見つけた


青いだけの空は

僕の視界に入らない

泣き出しそうな曇天も

切り刻んだ茜色も

呼ばない限りは見つけない

知らんぷりして向こう側

揺られてる電車は

僕を乗せてくれない


昨日を何処に置いてきたっけ

随分前だった気がするし

ついさっきだった気もする

無関心に埋めた感情は

僕が知る由も無くて

遡る感覚とデジャヴの様な錯覚

僕は何時から数えなくなった


今日は終わる様だ。


明日はまだ来ない。


壊さない様に

遠くから眺めた

そこは優しくて

とても柔らかな時間

そんな場所に一人

置いてかれた様な

悲しい錯覚


僕はあと何回

君の名前を呼べば

いいのかも知らないで

ぽつり零した

独り言も捨てた

白いだけの部屋の中で

君を探してるのに

気付かないんだよ


色を纏う風の上で

優しい言葉を掬って

呼んだ声は

君まで届かない

胸に当たって落ちていく

愛した言葉の数だけ

君の前に積み重なる


「好きだよ」


「大好き、」


「だからさ。」


帰っておいで

穏やかな世界の中心で

抱きしめる腕の意味を

君だけで埋めたいから

そこで立ち竦んでないで

背中を向けてないで

おいで、帰ろうか。


君がいた場所に咲き誇る

花の名前を呟きながら


張り付いた目蓋が

嫌に壊れる音を紡ぐ

その喉を潰して

静かに落ちていく

その言葉を砕いた


恐れた

怖かった

それは僕が

弱さを隠したから

触れた掌が

弱弱しく繋ぐ


溢れだした向こう側の色彩

踏み締めた物も

もう二度と見れないのに


焼け付く眼球は

涙を枷に震えた

差し出した手すらも

逃げる事を赦さない

知ってたけど、


叫んで

喚けば離れると

どこかで信じていた

それすらも虚無に消える


今全て

捨ててしまおう


溶け出した嘘を

覆い隠す為に

その瞳を隠した

麻酔の様な眠気と

白いカーテンを翻して

笑う誰かの口元に

泣き出しそうな声を聞いた


間違いが繰り返される

僕が気付いた時には

それはもう遅くて

眠気を誘う歌声は

どこにもない幻想

階段の上から転がり落ちる

意識は僕を殺していく

少しずつ終わりを知っては

それに手を重ねて

僕は悲しく歪めて閉ざした


此処にはいない誰かが

笑うたびに揺れる空気

掠れた視界に目蓋は瞬き

濡れた睫毛を静かに震わせる

零さないのは、怖いから

隠したのは、悲しいから

僕は窓に足をかけて

飛び出した


ざまぁみろ


何に対してかも

分からない癖に。


塞いだ目蓋の奥で

変わらない君がいる

僕はそっと手を握って

穏やかな日和の生きた


少しだけ首をもたげて

仰いだ先には

もう君はいなくて

笑うことで誤魔化した

細めた瞳に意味は乗せない

繰り返した言葉は

もう聞くことはない

二人だけの愛の歌

どうしてだろうか

時間が突き刺すのは

哀れな僕を嘲笑う為で


思うことは許されなくて

閉じた世界の声は

もう誰にも聞こえない

僕には届かなくて

君にも届かない

結局そんなものだ

知らないことばかり

最早寂しさしか感じなかった


自然に選んだことが

気付けば後悔を選んでて

この手が望んだのは

君を突き放すことだと気付いた

涙すら出てこないよ

芽生え始めた意識の端で

幸せを得ることはないと知ったから


奥に隠れた瞳は

もう二度と笑わない

閉じた世界の果てで

君が不幸せな限りは

僕は後悔しか残らないんだ

押し付けがましいかもだけど

それでもそれが正しくて

それが答えなんだって

そう言えばきっと、


きっと君をちゃんと愛せるから