ハーモニーディレクターははたしてお手本なのか | フクロウのひとりごと

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みなさんのバンドでは合奏でハーモニーディレクターを使われますか。どんなふうに使われていますか。ハーモニーディレクターって、『お手本』なのでしょうか。あの音が、あのビートが、はたして正解なのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  演奏を聴いていると

 

昨日のコンクールを聴いた感想の記事でも書いたのですが…
演奏を聴いていると、
「ハーモニーディレクターのタップに合わせて合奏していたんだろうな…」
というのが感じ取れるバンドがあるのです。
それはどんなふうに感じられるのかというと…
とっても正確なのだけれど、なんだか冷たく無機的で、グルーヴがないのです。
悪い意味での正確さとでもいうのでしょうか…
でもどうして、そんな演奏になってしまうのでしょうか。
 

 

  合わせる基準なの?

 

ハーモニーディレクターのビート、いや、メトロノームでも同じかもしれませんが…
それって、『合わせる基準』なのでしょうか。
あそこに合わせるの?
合わせるというか、あれに合わせて音を置いていっていませんか。
合奏で、いっつもハーモニーディレクターのタップが鳴っていたら…
きっとそうなりますよね。あそこに合わせて音を置いていく演奏に…
それではきっと、グルーヴやビート感なんて出来やしないと思うのです。
不自然で不健康な正確さが、ただあるだけになってしまいます。
それではたして、生きた演奏になるでしょうか。評価もされるでしょうか。
 

 

  基礎合奏で

 

あるバンドの基礎合奏を聴く機会がありました。
見事に正確で、ぴったり合っていて、とっても安定しています。ただ…
なんだか不自然なのですよ。とっても…
それはまるで、ハーモニーディレクターのような音なのです。
まったく揺れない、機械のように正確でまっすぐな音なのです。
見事に正確なのですけどね。
たとえば、一流プロのバンドが同じことをやったとしたら、

決してあんな音にはならないと思うのです。
それでいいの? って思ってしまったのですよね…
 

 

  揺らぎ

 

自然なものには必ず、ある種の『揺らぎ』があります。
どんなものにも。
テンポにも、音にも。
揺らぎのないものは、きっとありません。
ある年の課題曲の参考演奏…
時間計測して練習番号ごとの平均テンポを計算してみたことがありました。
やはり、計測した平均テンポは変化しているのでした。こちらの記事…

 


音だって、まったく揺らぎのない音って存在しないと思うのです。
拍の中の揺らぎが、ビートであったりグルーヴであったりするのかもしれません。
まずはまっすぐにつくっておいて、あとで揺らぎを加える?
そんなことが出来るでしょうか。
 

 

  ハーモニーディレクター

 

たとえばマーチだと、一本筋が通ったテンポは大切だと思います。
楽想によってころころテンポが変わっては、マーチにならないですよね。
でもだからといって、ハーモニーディレクターのタップに無理矢理合わせたら…
なんだか不自然になってしまう…
音だってそうです。
機械がつくる音なのだから、揺らぎがまったくない。
いちばん正確なお手本?
いちばん不自然なサンプルなのではないかと思うのです。
響きの確認、テンポの確認にはとても有益だとは思うのですが、
決して、あれに『合わせる』ことは推奨されないのではないか…
そんなふうに思うのです。

さて、みなさんのバンドではどんなふうに使われていますか、ハーモニーディレクター。


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