コンクールが近づいてきましたね。さて、いい演奏をつくるためにはどうしたらいいと思いますか。ダメなところをなくせばいい演奏になるのでしょうか。どこかでそう思っている人、少なくないように思います。でもね…
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
ダメ出し
みなさん、どんな練習をされていますか。
- 合わないところを合わせる
- 出来ないところを出来るようにする
- ダメなところをなくす
まさか、そんなことばかりではないでしょうね!
いい演奏って、それだけで出来るようになるものなのでしょうか。
あそこがダメ、ここがダメ、そんな聞き方ばかりしていませんか。
音程が合うこと、縦の線が合うこと、全部出来ればいい演奏になるのでしょうか。
なにかとても大切なことが『欠落』しているのではありませんか。
悪循環
世の中には、こんな悪循環がたくさんあるように思いますが、どうでしょう。
コンクールの、悪循環。
- 音楽を忘れてダメ出しばかりをする
- 音楽がないから楽しくないし苦しい
- でも勝つためにはこれが必要なんだ
- 音楽がないから結局いい賞取れない
- 苦しい努力が足りなかったんだろう
- 楽しんでいたら勝てないと思い込む
- そして1に戻り悪循環の出来上がり
「楽しんでいたら勝てないと思います」なんていう言葉は、
こんな悪循環にはまってしまった人が言うのだと思うのですよ。
そしてさらに悪いことには…
ダメなところがわかることが…
そんなふうにして育ってきてしまうと、ありがちなのは…
『ダメなところ』をわかることが、音楽がわかることだと思い込んでしまうのです。
「ここが合ってない」、「ここの音程が悪い」、「音が響いてない」、「縦の線がずれた」…
そんなふうにたくさん指摘できることが、音楽をわかることだと勘違いしてしまうのです。
これ、とっても不幸な勘違いですよね…
そして、他人の演奏を批判し始めてしまったりするのです。でも…
これではまったく音楽をわかっていないと言わざるを得ません。
良循環
こんな循環がいいと思うのです。
どんなのかというと…
- 音楽するのはしんどいけれど楽しい
- 音楽したからコンクールで結果出る
- 次はもっともっと音楽しようと思う
そう、ダメ出しに欠落しているのは、『音楽』なのです。
どんなにどんなに悪いところを直したところで、いいものが出来るわけではないのです。
音楽がなければ、ただ整っただけの冷たい音が並ぶだけなのです。
音楽があるから、コンクールでも結果に結びつくのですよ。
理想形を持とう
では、どうすればいいのでしょうか。
理想形を持つことだと思います。
理想なきダメ出しに、未来はありません。
ただ悪いところを直す、ではなく、理想形を持って、そこに近づくようにする。
さて、どうしたら理想形を持てるようになるのでしょうか。
- 楽譜から読み取る
- いろいろな演奏や音楽を聴く
- 音楽の理論を勉強する
結局は、そういう方法しかないと思うのです。
楽譜から読み取ることは簡単ではないですが、そこから得られるものはとてもたくさん。
とても全部なんて読みきれませんよ。音符の向こう側に、たくさんのことがあるのです。
どれくらい深くそれを読み取って生かしたのかは、演奏に表れます。
それが、審査員にも届くのではないでしょうか。
音楽する、理想形を持つのって、はっきり言って、とても大変なことです。
それよりか、ただのダメ出しをしていた方がよっぽどラクだと思います。
でもね、その両者の違いって、ものすごく大きいのですよ。
さて、あなたのバンドはダメ出し方式ですか、それとも…