臨時記号が出てきたら… | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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楽譜には臨時記号って出てきますよね。練習を見ていると、なんだかつかめてなかったり音程が悪かったり…。臨時記号って苦手ですか。たしかに、慣れないうちは難しいものかもしれません。さて、そのコツやいかに!?

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  高校の頃

 

あれはまだ高校1年生の、トロンボーンを始めたばかりの頃…
こんな音が、楽譜に出てきたのです(冒頭楽譜、少し変えてますが…)。
調性はG-moll(ト短調)。
これがね、このFisが、なんだか苦手だったのですよ。5ポジションだしね…
「うーん、もっと遠くなのか、それとも近くなのか…」(ポジションの話ね)
そんなことを考えているうちに、どんどん右手には力が入っていき…
あの頃の福見少年に言ってやりたい、、
「スライドの場所なんかより、もっと響きに意識を向けてごらんよ」
 

 

  臨時記号

 

いきなりですが、臨時記号って、なんでしょうか。
半音上げたり半音下げたりするもの?
たしかにそうなのですが、なぜ、こんなもの!が出てくるのでしょうか。
その調の音階の音ではない音を使いたいから、出てくるのですよね。
ではなぜ、その調の音階の音ではない音を使いたいのでしょうか。
装飾的な意味合いの場合もあるでしょう。こんな感じで…



(こういうのを『刺繍音』といいますね)
そして、その調の和音ではない和音を使いたい場合もある。
一時的な転調や、借用和音(ほかの調の和音を借りてくる)もある。
 

 

  響きに意識を向ける

 

臨時記号のついた音がわりあい長めの音だったら特にそうなのですが…

ハーモニーの響きに意識を向けるのです。

調が変わっているのかもしれないし、短調の場合なら自然的短音階ではないかもしれない…

たとえば、最初に書いた、高校の時に苦手だったFis、全体ではこんな感じだったのです。

 

 

理屈とか、コードネームのこととかはわからなくてもいいから、

この響き、ハーモニーの響きに意識を向けるのです。響きをおぼえるのです。

その響きの中で、自分の音はどんな位置なのか、それを感じるのです。

 

 

  自分の音しか見ていないと…

 

もし、自分のパート譜、自分の音のことしか考えていなかったら…

臨時記号なんて、たいていは意味がわからないものなのかもしれません。

「なんでこんなものあるの?面倒だな…」って思うかも…

そして、その音をどんなにチューナーで合わせてみたところで、

合奏で合ったりうまく吹けるようになるわけでもない…

チューナーって、合わせるものではなくて、ただ確かめるだけのためのものなのですから。

なら、どうすれば臨時記号の音が、ちゃんと吹けるようになるのか…

 

 

  響きの譜読み

 

みなさん『響きの譜読み』って聞いたことがありますか。

合奏、ゆっくりのテンポで合わせて、そこはどんな響きなのかを聞く、そういう練習。

その響きがどんなふうにつながって変化していくのか、それを感じ取るのです。

曲のハーモニーの響きとその変化を、おぼえるのです。

そこがどんな響きなのか、それをわかっていなかったら、音は合いません。

こんな響きになるという、いわば完成形をわかっているから合うのです。

臨時記号は、それが出来ているかどうかが特にはっきり出る音なのですね。

一人で練習するときは、音源を鳴らしながらそれに合わせて自分のパートを歌ってみる。

これも、いい練習だと思いますよ。

 

さて、みなさんは臨時記号、うまく合わせられますか。