ボクシングにはシャドーボクシングといって、あたまの中で試合をシミュレーションしながら一人でおこなう練習があるのですよね。これ、楽器や音楽でも有益だと思うのです。きょうは、そんなシャドーについてのお話。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
シャドーボクシング
シャドーボクシング … 一人で仮想の敵を想定し、自ら立って手足を動かす。仮想の敵からの攻撃を避けながら、パンチを繰り出すなどの攻撃をする。(Wikipedia)
というもの。
鏡を見てフォームをチェックしながらおこなわれたり、
これ自体が競技になっていたりもするのですね…
いわゆるシミュレーションなのでしょう。
これ、楽器にも有効だと思うのですよ。たとえば…
シャドーで構える
トランペットやトロンボーンって、楽器を顔の高さまで上げて演奏しますよね。
もちろんほかの管楽器でも、楽器を自分の方へ持ってくるということでは同じだと思うのですが、
ビギナーを教えていると、これが不自然だったり不自由だったりする人が少なくない。
そういう人には、シャドーで構えてもらいます。
楽器を使わず、構えてもらうのです。
たいてい上手くいきません。
「手って、そんな位置かな?」とか、「肩、上げなきゃ構えられないかな?」とか…
もう一度、楽器を持って構えてもらって、手の位置なんかを確認してもらって…
そのあともう一度、シャドーで構えてもらいます。ただし…
まず両手を思いっきり前に伸ばしてもらって、そこから、ゆっくり構えの位置へ。
そうすると、構えが自然になることがあります。
それでもうまく行かなかったら、また別の方法もあるのですが…
シャドーで構えが自然になったら、その感じで、楽器を使って構えてもらう、
というのをやったりしますね。
シャドースライド
トロンボーンって、スライドじゃないですか。
これも、シャドーで練習するのです。
つまり、パッセージを歌いながら、あるいは、音源を聴きながら右手を動かす。
スライドがあるつもりで。
これ、そう簡単じゃないですよ。
でもこれ、いい練習になります。
人間の手の、肘から先の重さ(前腕+手)って、どれくらいだと思いますか。
体重の4%ぐらい(片側で)なのだそうです。
つまり、体重50kgの人なら、肘から先が2kgくらいある。
(ちなみに平均的なテナーバストロンボーンの重さも、2kgくらい)
一方、スライドの重さってどれくらいなのか…
動く部分、つまりアウタースライドの重さは、200グラムとちょっとしかない。
もちろん楽器によっても違うでしょうけど…
肘から先の重さの1割くらいしかないのです!
めっちゃ重いものを動かすみたいなスライドアクションの人、いるでしょ。
力が入りまくってる。
そういう人には特に、シャドースライドはおすすめだと思うのです。
しかも、たとえば電車の中でだって出来ます!
指揮
これはシャドーとは少し違うかもしれませんが…
演奏する曲を、音源に合わせて指揮してみる。
指揮の図形(動きの形)って、ご存じですよね。
これ、きっと拍子感を養うのにいいと思うのです。
いわば、シャドービートと言えるかもしれない。
指揮を自然に間違わずに振れるのは、拍子感が身体に入っているからです。
指揮を振る経験って、こういう効果もあると思うのですよね…
ほかにもなにか有益なシャドーがあったら教えてくださいね。
さて、みなさんもシャドー、練習に取り入れてみませんか。