『なぜオーケストラは基礎合奏しないのでしょうか?』、『なぜ吹奏楽は基礎合奏するの?』
そんな疑問を、時々聞くことがあります。さて、なぜなのでしょうね。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
なぜ基礎合奏するの?
オーケストラの人に言わせれば、なぜ吹奏楽って基礎合奏するのか不思議、ってなるし、
吹奏楽の人に言わせれば、どうしてオーケストラは基礎合奏しないのか不思議、ってなる。
たしかに、基礎合奏するオーケストラって聞いたことがありません。
基礎合奏しない吹奏楽団体はあっても、基礎合奏するオーケストラはない。
もちろん、楽譜がないということもあるでしょう。
でも、つくろうと思えばできるはず。きっと試みた人だっているでしょう。
さて、なぜ? なぜ?
吹奏楽って
吹奏楽って、管楽器主体の合奏形態ですよね。
一方、オーケストラは弦楽器がその中心にある合奏形態です。
もしかしたら、そのことと関係があるのかもしれませんね。
管楽器って、ハーモニーを担う局面が、弦楽器より多いと思うのです。
もちろん、弦楽器だってハーモニーを演奏しますけれども…。
そしてもちろん、ハーモニーをつくることだけが基礎合奏の目的ではないのでしょうけども…。
弦楽器と管楽器
たとえばオーケストラの曲を管楽器だけで、あるいは吹奏楽で演奏したいと考えたときに、
オーケストラのスコアの音をそっくりそのまま管楽器に移したのではうまくいかない…
そういうこと、よくあると思うのです。
弦楽器では美しかった不協和音も、管楽器でそのまま演奏したらダメだった、
あると思います。
やっぱり響きの違い、倍音構成の違いなのでしょうね。
そういうことも関係するのかもしれません。
管楽器のアンサンブルや合奏形態では、響きをつくるのに訓練が必要、なのかも…
だから基礎合奏が有効なのかも…
オーケストラと吹奏楽
誤解を恐れずにいえば…
たとえば料理でいったら、
オーケストラってサラダのように、個々の素材の味わいを活かした料理。
一方、吹奏楽ってポトフのように、あらゆる素材が渾然一体となった料理。
もちろん、そうではない曲や局面もたくさんあるでしょう。
でも、傾向としては、そんなことが言えるのではないでしょうか。
煮込んで煮込んで渾然一体となる、そんなところが要求されるもの、
それが、吹奏楽なのかもしれません。
合唱的な演奏形態
上に書いたことと関連しますが、
吹奏楽って、オーケストラよりも合唱的だと思うのです。
合唱って、そこに集まったひとりひとりの声、Aさんの声、Bさんの声…、ではなくて、
誰の声でもない、全員の声が渾然一体となった声ですよね。
もちろん、吹奏楽もそういう局面ばかりではないです。
でも、その『渾然一体』をつくる、料理でいったら、よく『煮込む』、
そういう響きがより要求されるのが吹奏楽であり、
それをつくるのが、基礎合奏のいちばん大きな目的なのではないかな、と思うのです。
スープづくり
ポトフだけではなく、料理をつくるのには、おいしい出汁が要りますよね。
もちろん、それが要らない料理だってあります。が、
たとえばフランス料理でいったらフォン、中華料理、ラーメンだって出汁が命でしょ。
それを、煮込んで煮込んでつくる。
基礎合奏って、そういうものだと思うのです。
もちろん、ほかにもいろいろな目的があるのでしょうけど…。
おいしい出汁をつくるには
さて、では、おいしい出汁をつくるにはどうしますか。なにが大切?
もちろん、いい素材も大切でしょう。
でも、それだけで出汁はできない。いかに煮込むかが大切ですよね。
煮込んでいくと、アクも出る。むしろいい素材の方が、煮込んだ時にアクが出るのかもしれません。
そしてひとつひとつの素材がスープに味をよくしみ出させて渾然一体となったのが、いい出汁。
煮込んでも煮込んでもちっとも味が出ないような我を張った素材では、いい出汁は出来ませんよね。
そして、いい出汁ができたら、あとはそれを使って料理をつくるだけ。
これ、そのまま合奏にも言えると思うのですよ。
さて、いい味出してますか。出汁、出来てますか。料理(音楽)をするには出汁は大切ですよ。
そして、それがより要求される演奏形態が、吹奏楽なのだと思うのです。


