演奏するとき動く?動かない? | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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あなたは楽器を演奏するとき,身体を動かす方ですか,それとも動かさない方ですか。

でも,動くといっても,なんだかいろいろあるようですね。

 

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家,吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

 

動きが気持ち悪い?

 

ツイッターで山下篤氏が,こんなことを書いてみえました。

 

 

ぼくもコンクールで見たことがあります。

まるで踊っているみたいにウネウネ動きながら演奏する団体。

とても違和感があります。

あれって,先生がああいうことをやらせるのでしょうか。誰の指示?

 

 

ツイッターで訊いてみた

 

そう思って,ツイッターで訊いてみました。

 

 

有効投票数349票。

 

『もっと動いて!』,『身体を動かして!』という指導を受けたことがある人の割合,予想外に多い!

なんと4割以上の人が,そういう指導を受けたことがあるんです。驚きました。

そして,その指示の過半数は顧問の先生からの指導なのです。

全体の2割強。

5人に1人は顧問の先生から『もっと動いて!』という指導を受けるのですね!

 

 

動く人,動かない人

 

演奏しながら身体を動かすこと,これ,いいことなの? 悪いことなの?

実際,よく動く人もいれば,動かない人もいます。

 

たとえばフランク・ロソリーノなどは,超絶フレーズを吹きながら,でもほとんど動きませんよね。

 

 

こんなにダンサブルな音楽を演奏しているのに,

カメラがどのアングルからアップで撮ってもほとんど動きません。

 

逆に,たとえばライエンは…

 

 

けっこうよく動いていますね。

 

これはもちろんジャンルの違いではなくて,クラシックにもジャズにも,

よく動く人もあまり動かない人もいます。

 

 

動きはどこから来るのか…

 

では,動く人はどうして動いているのでしょう。それは…

音楽した,音で表現した結果として,自然に身体が動く。

だから,動きを見れば,どんな音楽を感じているのかが垣間見えるとも言えます。

拍に合わせて動いている人は,拍しか感じてないんだな,と知れてしまう。

なにしろ動きって,表現の副産物なのですよね。

動かない人は,副産物をあまり生成しない? 効率がいい? のかもしれません。

 

 

『動き=表現』ではない

 

動きって,表現の副産物,表現するときに,自然発生したもの。

でも,動き自体は表現ではないのです。

(もちろん演出で動きをつける場合は別です。でも,それも音楽とは別のものですね)

表現したから結果的に動くのであって,動いたら表現できる,では決してないのです。

動きは音楽から出て来るもので,動くこと自体は,表現することではないのです。

 

コンクールなどでたまに見る,座奏なのに異様に動きが多い団体って,

失礼ながら,音楽的には陳腐な場合がほとんどです。

音で表現できないから動きでアピールするのでしょうが,むしろ逆効果で,

残念ながら悪印象しかありません。

『もっと真摯に音楽と向き合いましょう』と言いたくなってしまいます。

 

 

動きから見えるもの

 

動きを見ていると,いろいろなことがわかります。言い換えれば,バレてしまいます。

音楽と関係のない動きをしていると,見ただけで,『音楽ができてないんだな』とバレてしまいます。

拍に合わせて動いていると,『あぁテンポに自信がないんだな』とバレてしまいます。

また,表現した結果として動く人も,どんなふうにその音楽を感じているのかがバレてしまいます。

だからといって,動かない人=音楽を感じていない人,ではありません。

見えない内側で,すごい音楽を感じているのかもしれません。それは演奏でわかりますね。

 

打楽器などは,音を出す,ビートやテンポを感じるプロセスが,動きからもわかってしまいます。

管楽器でいちばん動きが大きい楽器は,きっとトロンボーンでしょう。

なにしろ四六時中,右手を動かしているのです。時には数十センチも。

原始的な楽器だなぁ,と思いますが,ここからも技量の一端が見えてしまいますね。

 

 

 

動きがマイナスになる場合も


あるバンドで合奏していて,どうもリズムやピッチの乱れが気になる。

見ていると,特にピッチは,身体の動きが影響しているように思われました。案の定,

「動くのをやめてごらん」と言ったら,安定した演奏になりました。

 

また,動きの中でも,拍に合わせて動く動きは,かえってテンポが乱れる原因になりますね。

マーチのあとうちなどでこれをやる子をよく見ますが,必ず,重たくなってしまいます。

 

動きが演奏にマイナスになっている場合も,けっこうあるのです。

 

 

『動かない=固定』ではない

 

上に書いたように,「動くのをやめてごらん」という指示をすることは,あります。

でもそれは,『動かないように固定する』ということではありません。

固定なんかしないで! ただ,動く必要がないだけなのです。

そして…

 

動くことが,いいわけでもない。

動かないことが,いいわけでもない。

動くこと自体は,表現ではない。

動きは,音楽したことによって副産物的に出てくることもあるもの,です。

 

あなたは動く人ですか? 動かない人ですか?