1stを吹ける人が上手い人? | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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学校吹奏楽だと,1stって最高学年のポジションだったりしますよね。

経験のある人,うまい人が吹くパート,それが1st,なのでしょうか?

 

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家,吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

 

うまい人,格上の人が1stを吹くもの,

そういう思い込み,時々プロの中にもあったりするのですが,でも,

パートの順(1st,2nd,3rd)って,決してうまい順ではないのです。

それに,難しい順でもありません。

それぞれに,難しさがあります。

 

各パートは音の高い順ではあるのですが,でも,

高い音が出る人=うまい人,ではありません。

高音域を安定して吹く技術は,管楽器の技術の中のひとつ。

でも,いろいろある技術的な要素の中のひとつに過ぎないのです。

 

 

それぞれのパートにはそれぞれの役割があります。

どんな役割なのでしょう?

 

 

1st

 

あたりまえですが,いちばん上の音域,声部を受け持ちます。

もちろん高い音の安定性が求められます。

 

そして,パートの中ではリーダー的役割

でも決して,好き勝手吹いていいわけじゃない。

ほかのパート,特にトランペットや,ホルンや,合奏全体の動向,

そういうのにつねにアンテナを張って,パートとしてどうあるべきか,

どう吹くべきなのか,つねに判断しなければいけない。

だから,いろいろなことに意識が向く人が向いていますね。

 

そして,受信アンテナだけじゃなくて発信アンテナの性能が大切。

2ndや3rdが迷わず吹けるように道を示せるのが,いい1st。

いい1stの下で2ndを吹くと,ほんとに吹きやすい!

 

さらに1stは,指揮者とのコミュニケーションも,大切な仕事。

性格的には,わが道を行く人ではなくて,社交的な人

太陽みたいな人。

 

 

2nd

 

トロンボーンセクションがちゃんとセクションとして聞こえるかどうかは,

2ndにかかっています。

ハーモニーの要です。ハーモニー感覚が求められる。

そして,トロンボーンでいちばん大切なものは,ハーモニーです。

 

1stよりも低い音を吹くわけですが,

おんなじ大きさで吹いたら,高い音のほうが大きく聞こえる。

だから,おんなじバランスで聞こえるためには,

1stよりもちょっとだけ大きく吹かなきゃならない。

でも,1stより先に音が割れちゃいけない。

低い音を,大きく吹いて,でも割れない。

音のキャパシティが求められるんです。

しかも,1stよりも太くてふくよかな音が求められる。

でないと,セクションとしてサウンドしない。

 

さらに,1stにだけ注意を向けていればいいというわけではなく,

一緒にハーモニーを吹いているホルンや他パートにも意識を向ける。

そして時には両隣をそっとサポートするのも仕事。

パートの中では頼れる女房的存在

 

 

3rd

 

いちばん下の音を受け持ちます(3パートの時は)。

低音の安定性が,もちろん大切。

低い音を,太い音で,きちんと発音するのは難しい。

それが求められる。

 

内声を受け持つこともあるけれど,ベースラインを受け持つこともある。

だからテューバやバスクラなどの低音楽器に加わることもある。

それらの楽器と一体になるような音や吹き方も求められる。

 

特にベースラインになった時には,支えることが役割。

誰と一緒にベースを吹いているのか,

そして,自分(たち)は今,どれだけのモノを支えているのか

つねにその意識が大切。

 

上のパートにあとからついてくるようではいけない。

むしろリードするくらいの前向きな吹き方が求められる。

さらに,合奏やパートのハーモニーを生かすも殺すも,ベース次第。

求められるものは,包容力

 

 

どのパートも大切なのです

 

こうして見てみると,それぞれに役割や難しさがありますよね。

うまい人は1stで,2ndや3rdはどうでもいいなんて思っていたら,

バンドの音はとっても残念なことになってしまいます。

 

それぞれのパートにはそれぞれのパートの大切さがある。

それぞれに,やり甲斐もある。

それを,よくわかっていたいですね。