音程って相対的なんです | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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ある本には,こんなようなことが書いてあります。
『音楽の仕事の現場では,政治の話,宗教の話,音程の話,異性の話,この4つはしてはいけない。どれひとつ取っても爆弾である』
ほかの3つは,まぁ置いておいて,音程の話を考えてみます。
ほんとうは『ピッチ』とか『音高』って言うのが正しいのでしょうけど,
わかりやすく便宜上『音程』で行きますね。

ある時,ある現場で,こんな会話がありました(実話)。
「福見さん,低いですよ。まわりもみんな低いけど…」
はぁ!?
それはおまえが高いんや!!(心の声)
これ,どう思われますか?

オーケストラ吹奏楽アンサンブル
合奏の中での音程って,『相対的』なんです
一言で言うと,まわりに対してどうか,なんです。
(前の音に対してどうか,というのもあります)
たとえ442でチューニングして曲が始まっても,
楽器があったまって全体が443ぐらいになったとしたら,
そのくらいのピッチで吹くのが正しいのです。
チューナーどおり,ではなくて!

合奏のピッチって,動いていくものです。それに,
場面により和声により,プラスマイナスゼロが正しいとは限らない。
だから,チューナーをあてにしても合うとは限らないし,
だいたい,音程って(目ではなく)耳で合わせるもの
チューナーの針に合わせていたのでは,音も硬くなってしまいます

合奏のピッチは相対的ではあるのだけれど,
合奏全体が矛盾なくきれいに合っていることなど,まずありません。
だから,どこに合わせるかどこと相対的に調和するか
これだっていろいろです。だから難しいのです。

管楽器プレイヤーは,
自分の吹く音程に自信を持っているけれど,同時に不安もある。
だからそこへ,高いとか低いとかの話をすることは爆弾だ,と,
まぁそういうことなのですね。
なにしろ,絶対的な正解のない話なのです。

でも,相対的なのですから,
「あなた低いよ」って言うよりも(聡明な人はこんなこと言いません),
「ごめんなさい私高かったですか」って言う方が,
世の中平和に行きますよね。
そこからすり合わせもしていけそうです。

合奏の世界では,絶対的なピッチなんてないんですね。
つねに相対的なんです。