※ネタバレあり。
なんかこの間『ガラスの動物園』の話を思い出したから見たかったけど、渡辺えりさんで再演されるとは!
『消えなさいローラ』と言うのはサブタイトル?と思ったけど違った。
なんとこの舞台2本立て。
劇場に着いて初めて知った(^-^;💦
『ガラスの動物園』2時間半。
『消えなさいローラ』1時間。
えっ、マジで(^^;💦
『消えなさいローラ』はオリジナルかと思ったけど別役実作で『ガラスの動物園』の後日譚。
2本立てとはえりさんも無茶するなぁ、と思ったけど発案は尾上松也だそう。
でも、まぁ、受けて立つえりさんもすごいよね(^^;💦
だって脚本・演出はえりさんだから。
こうして前代未聞の舞台の幕が上がるわけですよ。
◆ガラスの動物園◆
1930年代、大恐慌時代のセントルイス。
トム(尾上松也)は母のアマンダ(渡辺えり)と姉ローラ(吉岡里帆)といっしょに住んでいる。
父親はある日家を出ていったきり一通の手紙を寄越したまま音信不通。
アマンダは子供たちに対して口うるさくトムはうんざりしている。
ローラには就職のためビジネススクールに通わせているが、極度の引っ込み思案な性格のためいつの間にかスクールを欠席していることがわかる。
激昂したアマンダはこうなったら結婚させるしかないとトムに同僚を夕食に招待するよう頼む。
こうしてやって来た同僚のジム(和田琢磨)はなんとローラの初恋の相手。
驚いたローラは部屋に引きこもり夕食にも出てこない。
だがジムはそんなローラに優しく語りかけ、高校時代ローラを”ブルーローズ"と呼んでいたことを思い出す。
ローラが病気の後遺症で足を引きずっていることも、他人はそれほど気にしていないこと、コンプレックスは乗り越えなければならないこと。
現に自分も夜学に通って勉強していることを話す。
次第にローラはジムに心を開くが、ジムには婚約者がいることがわかって…。
相変わらず暗い💦 救いがない💦
でも、えりさんの存在感よい。
アマンダって今は貧乏な暮らししてるけど元はブルーマウンテンの農園のお嬢様。
その頃の華やかな暮らしを事あるごとに語るんだけど、何故かお金のない男に入れあげて挙げ句の果てには捨てられている。
家族を捨てた、というとひどい父親に思ったがアマンダの口うるさいところを見ていると頷ける。
そのあたりトムもうんざりしてる。
だって飽きずに昔話してるから。
そして、もう社会人の息子に「もっとよく噛んで食べなさい!」とか言うんだから。
たまにトムが指をパチンと鳴らすとアマンダの話が早送りになる(笑)
これ、誰の発想(^^;💦?
それでもトムは母親と姉を見捨てる勇気がなく、夜映画を見に行くだけに留めている。
でもローラに対して「仕事して欲しい」とか「結婚して欲しい」とか言うのは母親として普通かも…。
とは思うんだけど、ローラって引っ込み思案というより引きこもりだし挙動が不振すぎる。
しかも病気の後遺症で足を引きずっている。
トムがローラのことを「普通の人とは違う」みたいなことを言うけどアマンダは普通を望むんだよね。
アマンダは「足が悪いなら愛嬌があるとか!」と言うけれど、それはもっともなんだけど。
ローラにできるのはガラスの動物を集めることと父親が残していったレコードを聞くだけ。
前に見た時はあまりに救いのないラストに驚いたけど、あれからかなり時間がたった今回は「あぁ、救えないなー」と思う。
ジムはものすごくいい人でローラの引っ込み思案なところも
「君は古風な人なんだね」
とかうまい言い方をする。
ローラのことを『ブルーローズ』と呼んでいたのも彼女が肋膜炎(プリューロジィ pleurisy)を患っていたことを間違えて『ブルーローズ』と聞き間違えてのこと。
何かすごく美しい表現に思えるが、アメリカでblueと言うのはあまりポジティブな言葉ではなく、普通の女の子はあまり喜ばないだろう、という意見があった。
真偽のほどはわからないが、もしそうだとすれば二人がうまくいかないのは元々決まってたと言うか…。
でも、ジムといっしょの時のローラは挙動不審ではなくなるので一層切ないけど。
おそらくトムは姉のことをかなり気にかけているから不満があっても同居していたと思うけど、遂に家を出ていってしまう。
もうそうするしかないよね。
だって救えないんだもの。
◆消えなさいローラ◆
トムが出ていった家に葬儀屋(尾上松也)を名乗る男がやって来る。
葬儀屋が営業するのはおかしいと思ったローラ(渡辺えり)が問い詰めると男は探偵であると明かし、アマンダに会いたいと申し出る。
だが、ローラはアマンダとローラを一人で二役演じているよう。
男があなたはローラか?と尋ねるとローラはロボトミーの手術跡を見せる。
そしてアマンダは今眠っているからと言って会わせようとしない。
男は「アマンダがもう亡くなっている」という事実を見抜いていて…。
私は『ローラ=渡辺えり』の回で見たんだけど、吉岡里帆回、和田琢磨回がある。
吉岡里帆はわかるとして男がローラ演る?
でも、一番切ないローラだったそう。
ま、ひとつしか記事読んでないけどね(笑)
それにしてもロボトミーで病気を克服したローラがアマンダそっくりになるとは。
まぁ、えりさんが演じているのでそう思うだけかもしれないけど、トムが父親と同じように家を出たように、ローラが母親に似ても不思議はない。
そうなると吉岡里帆回が気になるところだけど。
仕事にも結婚にも失敗した女の話と言うとどーしても『欲望という名の電車』が思い出される。
ブランチの行き先は精神病院。
『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』
母親と同じように孤独に暮らす。
最後に「おまえ、母親そっくりになったな」というセリフが忘れられない。
『Good Night, Mother』 自○。
アマンダも仕事も結婚もできない女の惨めさをしつこく語っていた。
でも、世の中には男女関係なくそれができない人が一定数いるんだよね。
ローラに出来ることはトムの帰りを待つことだけ。
しかし、男から告げられたのは、
トムは亡くなった。
だからもう待たなくていい。
という言葉。
あぁ、救いがないな。
あれからローラはどうなったのか?
少なくとも幸せな結末はないと思ったけど、一縷の望みさえも絶たれたのか。
トムだって家族のことは忘れて幸せな人生を選択する道はあったはず。
幸せになることに後ろめたさがあったのではないか?などと考えてしまう。
トムは姉思いだったから。
しかし、尾上松也って歌舞伎の人なのにいろんな舞台やってるな。
ルキーニとかやってたし。
と思ったら、早くに父親を亡くしてしまったので歌舞伎に出演する機会が激減してしまったそう。
自分で公演をしても客がご贔屓筋ばかりだったりして。
歌舞伎もいろいろあるんだなぁ。
だからいろいろ挑戦しているのかもだけど、そのおかげで(?)史上初の2本立てを見れたわけだし、それはそれは見応えがあった。
見たあとしばらく気分が沈んだけどね(^^;💦
『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』
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