昨日、朝のラジオで、地方の男性リポーターが色々の蝉の話をしていました。チッチゼミという蝉の説明のとき、「チッチッチとまだんなく鳴きます」と言いました。「まだん」は、漢字で書くなら「間断」でしょう。つまり、正しい言い方は「かんだんなく」です。
『明鏡国語辞典』第二版〔大修館書店〕
かんだん【間断】
〔名〕
とぎれること。たえま。
「間断なく降る雨」
〔用例中の、見出し語を表す記号( ー )は、文字に変えさせていただきました。=引用者〕
『デジタル大辞泉』〔小学館〕
かんだん【間断】
途切れること。絶え間。切れ目。多く「間断なく」の形で用いる。
「間断なくわき出る水」
冒頭のリポーターは、「間断」を、耳による音(おん)ではなく、漢字を視覚的に記憶したのでしょう。その際に、「かん だん」〔音読み+音読み〕ではなく 「ま だん」〔訓読み+音読み〕 というように、熟語としては誤読の形で記憶してしまったのではないかと思われます。
繰り返しますが、「まだん」は明らかに誤読です。別の観点から言うなら、「まだん」は、「間」の部分についての、音読み〔かん〕から、聞いて分かりやすい訓読み〔ま〕への転換であり、すなわち、“漢語から和語への転換”という現象と言えるでしょう 〔ブログ⇒ 『和語への転換』 2012/6/9〕。
ちなみに、昔、ラジオで「まだんなく」と言った某作家の例をブログで書いたことがあります 〔ブログ⇒ 『「句読点」など』 2012/12/17〕。
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