グリム童話19 鉄のハンス | 怠け者のつぶやき

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今更だけど本でも読もうか、ってことで色々と
本を読んだりニュースを気にしたりしてつぶやいてます。

 昔王様がいた。王様の城の後ろには大きな森があり、狩りをするのが楽しみだった。ある時、王様の猟師(かりゅうど)が森へ行ったまま戻らなくなった。次の日、別の二人の猟師に探しに行かせたが、誰も戻ってこなかった。3日目には、城の全ての猟師に犬も連れて行かせたが、誰一人帰ってこなかった。そのため森には誰も入ってはならないとなった。
 ある時、よその国から来た猟師が森に入りたいと言ったので、心配をしながらも渋々了承した。男は犬を連れて進むと、犬が途中で水の中から出てきた腕に引きずり込まれてしまった。すると猟師は一度城へ戻って2人の仲間と一緒に森へもう一度森へ向かい、3人で水溜りの水を桶でくみ出し、底にいた鉄の様な赤銅色をした男を縄で縛って城へ連れて帰った。男は檻の中に入れられて誰も開けてはならないよう王様は命令をした。
 その後、王様が森へ出かけている時に王子が金の毬を檻の中に入れてしまった。山男は戸を開けたら毬を返すと言った。王子はそんなことはできないし、鍵の場所も知らないと言った。山男は妃の枕の下に鍵がある事を教えると、王子は我慢ができなくなり鍵を取って檻を開けてしまった。山男は毬を王子に渡して外に出て行くが、王子が「ばれたら叩かれてしまう」と言うと戻ってきて王子を肩に乗せて森へ向かった。王様は城に戻ってきて王子がいない事を知り、悲しみに暮れた。
 山男は鉄のハンスという名前で、王子に対して「父母には会えなくなるが救ってくれたお礼に、言う事を聞けば幸せにしてやる」と言った。そして金の泉に連れて行き、何も落ちない様王子に見張るように言った。
 鉄のハンスは出かけ、王子は金の泉を見張っていると、どうしても指が痛くなってしまったので思わず金の泉に指をつけてしまった。指はすっかり金色になっていた。帰って来た鉄のハンスにこの事がばれたが、今回は許してもらえる事になった。
 2日目に、また指が痛くなってしまった。我慢するために王子は頭をかきむしっていると、髪の毛が一本落ちてしまった。王子は髪の毛をすぐに拾ったが、髪の毛はすっかり金色になってしまった。鉄のハンスにこの事もばれてしまったが、もう1度だけ許すと言った。
 3日目、王子は泉の水面に映る自分の姿を眺めていた。すると長い髪の毛の先が肩から滑り落ちて水に入ってしまった。髪の毛はもうすっかり金色になってしまった。王子はハンカチで髪を隠したが、鉄のハンスにバレてしまった。そして鉄のハンスは王子に、テストに落第したのでここにはいられない、世の中へ出て行くようにと言った。しかし鉄のハンスは王子の事は好きなので、何かあれば森へやってきて「鉄のハンス」と叫べば助けると言った。
 王子は世の中へ出て行き、ある城の料理番の小間使いとして働く事になった。しかしある時王様の前に出る事になったのだが、髪の毛を人に見られたくなかったので、帽子をかぶったままでいた。たちの悪いおできができているとしてどうしても帽子を脱がない王子を王様は追い出そうとしたが、料理番は可愛そうになって園丁の下働きの子供と取り換える事にした。
 王子が庭で一人では働いている時に、王子の金色の髪に太陽の光が反射して王女の寝室に光が差し込んだ。王女は不思議に思って外を見ると王子がいたので、王子に「花束を持ってきてくれ」と言って呼ぶ事にした。王子は野に生えている草花を摘んで王女の所に行くと、帽子を無理やり取られて金色の髪を見られてしまった。王女は王子に金貨を1枚握らせたが、王子は何とも思わなかったので、それを園丁にあげた。2日目、3日目と続けて王女に呼ばれて同じ様に髪を見られるのであった。
 それからまもなくして、国中が戦場になった。敵の力は強く、数も多かったので、このままでは負けてしまいそうであった。王子は馬が一頭欲しいと言った。城では馬鹿にされ、足が一本短い馬しか残されていなかったが、王子はそれに乗り、鉄のハンスの所へ向かあった。森で鉄のハンスを呼ぶと、王子は立派な馬と装備、それから屈強な軍隊をもらった。王子は戦場を駆け抜け、敵を一人残らず殺してしまい、戦争を終わらせた。戦争が終わると森へ向かい、鉄のハンスにもらったものを返して、一本足の短い馬に乗り城へ帰った。
 城では戦場を駆け抜けた謎の騎士の事が話題になっていたが、同時に王子がどこにいたかも話題になっていた。王子は、「自分が活躍した」と言っているが周りの物は誰も王子の事を見ていなかったので信じなかった。王女は王子の事を気にかけていた。
 王様は謎の騎士を呼びだすため、宴会を開く事にした。そしてそこで金のリンゴを景品として1日1個争わせ、3個とったものの願いを聞くと言った。王子はまた森へ向かい、鉄のハンスに馬と装備をもらった。3日間の宴会では見事に金のリンゴを3つ手に入れる事に成功した。しかし王様に挨拶もなく、どこの誰かも分からないため王様は怒り、3日目には騎士を逃げる様であれば傷つけても構わないと命令していた。王子はこの時も逃げたのだが、馬が跳ね上がって兜が落ちたために金色の髪が見られてしまい、部下の一人が王子の足に剣で傷を付けた。
 翌日王女は園丁に王子の事を尋ねると、王子が園丁に金のリンゴを3つ見せていた事が分かった。王様は王子を呼び出し、王女がかぶっている帽子を取ると金色の髪が垂れ下がってきた。そして王様に尋ねられると、王子は金のリンゴをポケットから出した。王様は王子にお礼をしなければいけなが、王子はきっとお金はあるのだろうと言って何を渡せばよいのか尋ねた。すると王子は王女を妻にしたいと言い、王女も快く了承した。
 結婚式は王子の父の王様と妃も呼ばれた。2人は死んだと思っていた息子が生きていた事に大変喜んだ。こうして婚礼のごちそうを食べていると、急に音楽が止まり一人の立派な王様と大勢の家来が入ってきた。彼は自分を鉄のハンスだと言い、魔法使いに山男の姿にされていたが王子が救い出してくれたので、宝物を王子に渡しにやって来たと言った。