グリム童話12 勇ましい豆仕立屋 | 怠け者のつぶやき

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今更だけど本でも読もうか、ってことで色々と
本を読んだりニュースを気にしたりしてつぶやいてます。

 ある朝の事、一人のちびの仕立屋が仕事をしていた所、百姓の娘がジャムを売りに来たので、ジャムを買ってパンを食べようとした。
 パンを準備した後、少しまだ仕事が残っていたのでそれを先に行っていると、ジャムの匂いに連れられてハエがやってきた。ハエを追い払うために、仕立屋は裁ちくずの中から布切れを取ってはたいたところ、ハエが7匹死んでいた。
 仕立屋はそれを誇らしげに思い、「ひとうちで七匹!」と刺繍をした帯をして町に出て行った。そして喜びのため、家からチーズをポケットに突っ込み、灌木にひっかかった鳥をチーズと一緒にポケットに入れて旅に出た。
 山まで来ると仕立屋は巨人に出会った。巨人は、帯の「ひとうちで七匹」の刺繍を見て、人間の事を殺したと勘違いした。そこで巨人は仕立屋と力比べをしようとした。
 巨人が石を握りつぶすと、仕立屋はポケットのチーズを握りつぶし、巨人が石を投げると、仕立屋は鳥を投げて、巨人よりも強いように見せた。
 今度は巨人が、大きな木を一緒に運んで勝負をしようと言うと、仕立屋は巨人に大きな幹を、自分はより難しい小さな小枝を持ち上げて運ぶと言った。巨人がふり返れないので、仕立屋は大きな枝で休んでいた。
 巨人がもう木を運べないと言うと、仕立屋はいままでずっと木を抱えていたように見せかけ、「そんな大きな図体をして木を運ぶ事さえできないのか」と言った。巨人が木を置くと、その反動で仕立屋は空中に放り出された。巨人は木を支える力がないのではないかと疑ったが、仕立屋は「木を飛び越えただけだ」と言って巨人にもやらせた。巨人は大きな枝に引っかかってしまったので、飛び越える事ができなかった。
 巨人は仕立屋を自分達の洞穴に呼び、寝かしつけている間に鉄の棒でたたこうとした。しかし仕立屋はベッドの隅にいたので、当たっていなかった。翌日巨人たちが仕立屋を見かけると、巨人たちは驚いて逃げてしまった。
 それからしばらくして、ある王宮にやってきた。そして「ひとうちで七匹」と言う帯を見て、仕立屋を軍務に使えるように誘った。他の軍人たちは、仕立屋を恐れ、一緒にいたくないと王様に行った。
 すると王様は仕立屋に、物を奪ったり人を殺したりして大きな損害を出す2人の巨人を殺してしまったら、王女を嫁にやり、王国の半分を持参金として、百人の騎士を与えると言った。仕立屋は、一人で巨人を退治に行った。仕立屋は巨人たちが眠っているのを見計らい、石をぶつけてお互いが殴った様に見せけて同士討ちをさせた。2人の巨人は相討ちで死んでしまった。それを確認した仕立屋は、巨人の胸に剣を刺した。
 国に帰ると王様は、もう一つの試練を出した。森の中に大きな害を引き起こす一角獣がいるので、これをとらえると言うものだ。森に1人で行った仕立屋は、一角獣を見つけた。すると一角獣が仕立屋めがけて飛んできたので、すぐ近くに来るまで待って、素早くよけた。すると、一角獣は角を木に突き刺して抜けなくなってしまったので、捕まえられてしまった。
 これでも納得しない王様は、婚礼をする前に、森の中で大きな被害を起こす猪を生け捕りにしなければならないと言った。連れて行った猟師たちを森の前で待たせ、仕立屋は1人で森に入った。猪は仕立屋を見つけると、突進してきた。仕立屋は近くに会った礼拝堂に入り、窓から外へ飛び出した。そして、礼拝堂に猪が入って来るとドアを閉めてしまった。猪は窓から外に出られなかったので、捕えられてしまった。
 王女と結婚した仕立屋は、夜寝ている時に寝言で仕事の話をしてしまった。ただの町の仕立屋である事がバレたため、王様は仕立屋を夜にしばって船で運ばせようとした。一緒にいた楯持ちは、全ての話を仕立屋にした。すると仕立屋は、妻と一緒にベッドに入り、寝たふりをして寝言で「寝室の外に立っているやつらをなんで恐れるものか」と言うと、外の皆は恐ろしくなって逃げてしまった。
 それからは誰も仕立屋の所へ行く勇気のあるものはいなかった。仕立屋は一生王様のくらいについていた。

感想
 豆仕立て屋は知恵は回るが、実際の腕っ節はからっきし。しかもハエを7匹打倒した事を自慢する様な人間である。運よく襲われなかったが、襲われていたり、戦争があればすぐにバレてしまっていた事だろう。やはり口から出まかせを言っている人間はあまり好きにはなれないのだが、結局仕立屋は王様のくらいまでもらってしまう。とはいえ、一角獣や猪を捕まえるくだりは知恵だけでは何ともならないので、それはそれですごいのだけれど。