無人の家で発見されなかった手記 -4ページ目

無人の家で発見されなかった手記

──ある素人小説家の陳述

 そんなこんなで、しばらく800字掌篇を書き続けてゆくわけですが、似たような話ばかり続いても退屈でしょうから(そういうことにしておいてください)、またもや過去作の昆虫ミステリを挟んでおこうかと思います。

 タイトルは「裸足の冒険者」といいまして、原稿用紙換算94枚、記録によると2001年10月ごろに書いてますね。前作「光る影、ふたつ」から約2ヶ月後です。相変わらずモチベーション高かったですねえ。それとも、時間があり余っていたのか。映画鑑賞以外では滅多に外出しない生活だったしね。テレビもあんまり観ないし。
 やはり創作は、やる気のあるときに一気呵成に着手して終わらせちゃうのがいいですね。やる気のないときは、自分のことを天才だと思いこんでみると、やる気が出る──ときもあります。たぶん一番いいのは、やる気がなくても強引に書き始めることだと思いますが。書いてるうちに、やがていつの間にか集中してくるものです。それでも駄目なら寝る。

 さてさて、次の作品ですが、前回で暗くじめじめした話を書いた反動からなのか、だいぶ毛色の違った話となっております。
 少々、お付き合いのほどを願います。

 

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 やがてイベントが開催されましたが、地方在住の僕はもちろん参加できず。しかも確かこの日、出張でさらに遠方(九州)にいたような気がする。
 同じく作品をいくつか応募していた畏友M氏がイベントに参加されてて、メールで結果速報を教えてくださった思い出があります。

 後日、東雅夫さんのブログ上でも結果が発表されましたが……。
http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/archives/6220686.html

 いやあ、これは意外や意外。受賞は逃しましたが、僕の名前が4つも載ってますですよ。

 最後に搾り出すようにして書いた「人探し」がイベントで朗読され、おじさんシリーズとして無理矢理書いた「ちすいおじさん」が今野裕一さんの+αに選ばれ、対菊地先生用決戦兵器として送りつけた「ヴァンパイアハンター出井」が特別セレクションとして注目を集める(笑)という。イベントレポートによると菊地先生からは「嫌がらせだ!」という絶賛のコメントがあったとか。誠にありがたいことです。
 そして何より嬉しかったのは、自己ベストの「ただいま」を、東雅夫さんのベスト10に入れていただいたことですね。さすが東さん!

 と、まあ、蓋を開けてみると耽美的な作品が評価されがちだった中、拙作はなかなか健闘したのではないかと自己評価しております。
 引き続き、応募作品の書籍化を楽しみにしていたのですが……どうやら、立ち消えになってしまったみたいですね。
 これらの作品も、いつかどこかで発表できたらと考えてはおります。

 

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 続いてもうひとつ、800字の公募企画が立ち上がりました。それが、〈吸血鬼/ヴァンパイア文学800・アート〉、通称「800字吸血鬼掌篇」です。吸血鬼イベント上で読み上げられたり審査されたりするみたい。
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2007/10/post_361.html

 吸血鬼ですよヴァンパイアですよ、奥さん。みんな大好きなやつですよ。そりゃあ僕もモチベーション上がりますよ。もしかしたら、800字クトゥルーのとき以上にハイテンションだったかもしれない(笑)。

 そして早速書いたのが「ただいま」という地味なタイトルの作品。確かに題名は地味かもしれませんが、内容も地味です。ええ、それはもう。ですが、今までに書いた800字掌篇の中で、最も自己評価は高いものだったりします。マジで完成度めっちゃ高いと思うよ。ストーリーも切なく感傷的で、読者の涙を誘っちゃいます。傑作なんじゃないでしょうか。自分で言ってたら世話ないですね。
 これを書き上げて満足しちゃったのか、次からはだーいぶ力の抜けた作品や、完全に悪ふざけといった作品が並びます。「ふたり」「オッス、おらドラキュラ」「ジョン・オ・グローツ」「ちすいおじさん」といったタイトル。さすがにこのままではいけないと思ったのか、続けて書いた「家畜」「吸血丸」は、ちょっと力を入れ直しました。さらに、「辻斬り」なんて慣れない時代小説も書いてみたり。

 そしてここまで書いていたら、東雅夫さんのブログで、イベントの審査員として菊地秀行さんが来られるとのお報せが!
 これは菊地先生にいいとこ見せねば! と一念発起。できた傑作のタイトルは「ヴァンパイアハンター出井」。菊地先生、きっとお喜びになるぞ。

 さらに「リィ伯爵の最期」「モスキートワイフ」「不死王」「人探し」と、計13作品を書いて送りました。いやあ、クトゥルー並みに書きましたねえ。出来に関しては、自分でも玉石混交といった趣ではありましたが、自己評価はあまり当てにできませんからね。自分ではイマイチと思っている作品が、意外な評価をいただくことはままありますので。

 

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 その後、クトゥルー神話賞と同様に、800字怪談から派生した特別企画がありました。それは、〈イノモケ文学賞〉というものです。
 内容はといえば、『稲生物怪録』をテーマにした800字の作品募集ということ。稲生怪談の物語そのもの、もしくは物語の中に登場するキャラクターをめぐるサイド・ストーリー、アナザー・ストーリーなど御自由に──とのこと。

『稲生物怪録』ってご存知ですか? ググるとすぐ出てきますが、稲生平太郎の屋敷に30日連続で様々な化物が出没する物語です。文字読み・文学好き、あるいはオバケや妖怪が好きなら、ご存じの方も多いでしょう。
 あらすじがまとめられているサイトがありますので、URL貼っておきますね。
http://www.m--m.jp/ami/i_30days.htm

 僕はこの物語に特別な思い入れがあったわけではないのですが(そういえばそんな話があったね、と知ってた程度)、せっかくなので参加してみることにしました。ひとつだけ書き上げた作品名は「八月一日」。つまり、七月いっぱい続いた怪異がやっと終わった、その後日譚という趣向ですな。まあ、ありがちといえばありがちなアイデアですが、なんとかかんとか、ある程度の評価をいただきました。東雅夫さんセレクトのベスト30入りです。応募作66篇のうちの30なので、自慢にはなりませんけどね。
http://blog.livedoor.jp/genyoblog-higashi/archives/6220532.html

 これでこの話はおしまい。
 怪談大賞の落選作も含めて、いつかどこかで作品集としてまとめたい思いもあったりなかったりしますが。

 

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〈史上最少のクトゥルー神話賞〉が落ちつき、次に手を出してみたのは〈ビーケーワン怪談大賞〉でした。いわゆる「てのひら怪談」の公募です。
 順番的には先にこちらの800字怪談公募があり、その派生としてクトゥルーの話が出てきたわけですが。

 もともと僕はさほど怪談に興味があるわけではなく、好みのベクトルは怪談ではなくホラーに向いてました。ロバート・ブロックを非常に好む気質ということもあるのでしょう、オチがついてないと我慢ならないんですよ。実際にてのひら怪談の作品をいくつか読んでみますと、「結局あれはなんだったのだろう……」的な話が多くて、(当時の)僕の好みとは合致しませんでした。
 とはいえ、なんでも挑戦してみたかったお年頃、ほとんど未知の領域である怪談に、手を出してみた次第です。第五回のビーケーワン怪談大賞でした。

 ひとり5作まで応募可能ということだったので、早速5作書き上げました。タイトルは順に、「背後霊様」「クマキラー」「頭巾組寄合」「幽霊狩人神無月」「こ」。そしてこれらが、あろうことか、すべて怪異が起こらない話となっています。しかも、中には怪異の存在を否定しているものまである始末。端から喧嘩を売ってますよ、この人。
 いや、僕はいたって真面目に怖い話を書いたつもりなんですけどねえ……。

 そうです、そこです。
 このときの僕は、怪談=怖い話のことだと、単純に考えていたのです。

 だから、都市伝説とか人に殺されそうになった話とか、そういったやつも怪談だと思っていたのです。──必ずしも間違いではないかもしれませんが、この賞のレギュレーション的には問題ありだと思います。公募に送るさいは、「その作品のカラーは企画に合致しているか?」というのは特に注意すべき点ですからね。
 ところがどっこい、二番目に書いた「クマキラー」が意外と好評を得られて、怪談大賞的に怪談と呼ぶには微妙な内容であるにも関わらず、『てのひら怪談 百怪繚乱篇』に収録される運びとなりました。ラッキーですね。

 ただ、今回のことで反省もいたしまして、少しは怪談と向き合うようなこともおこなって、第六回の公募以降は、ちゃんと(?)怪異が発生する物語を書くようになりましたとさ。

 

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