顧問CFO川井隆史のブログ -79ページ目

消費税10%-2%還付の裏側

消費税が10%に上がった際、どうするかでいろいろな議論が起


こっています。今旬なのは食料品への軽減税率のようです。少し


論点を整理したいと思います。そもそもなぜ食料品の軽減税率が


必要かということですが、低所得者の方対策だと言えると思われ


ます。食料品の購入額は高所得者も低所得者も(おそらく)さほど


変わらないのに消費税値上げのインパクトはほぼ一緒でそうする


と低所得者の方の生活を著しく圧迫するというロジックです。


単純に食料品だけ税率を据え置けばいいと思われますが、問


題が生じます。大きな問題は税率が異なるとインボイス方式と


言って税率、税額を明記した書類を発行保存しなければなり


ません。この発行、保存、計算が非常に煩雑になり大変だと


いうことです。



今回マイナンバーを利用して2%還付するという案は新聞紙上


では批判が多いですが、なかなかよく考えたアイディアだと感心


しました。ただ、想像するにもう一つの論点が隠されている気が


します。目的は低所得者の保護ですが実は低所得者にも2通り


あります。資産も所得もない低所得者と、低所得だが資産はあ


る低所得者です。



私の知人の税理士の顧問先でこんな件があったそうです。区役


所から6000円還付されるので銀行口座を教えてほしいと電話が


その顧問先にかかってきて、心配なので相談を受けたようです。


その顧問先は会社経営者の奥様でご主人はなくなられましたが


息子さんたちは一流企業勤務、豪邸に住み悠々自適の生活、


新車のベンツの買い替えの話を知人としていました。知人はこの


ようなお金持ちに口座教えろとは何かしらの詐欺だと思い、区役


所に電話で確認をとったところ「消費税の緩和措置として10月


から6000円が還付されます。XXさんは住民税の支払いを課さ


れない世帯ですから」でした。要は単純に低所得で線引きする


とベンツを買い替えるような家庭も減税になってしまうことが


あります。



そこでマイナンバーです。将来は所得だけでなく銀行預金など


資産もガラス張りになる可能性もあります。したがって消費税の


還付方式だとこのようなリッチな低所得者は減税の対象者から


除くことができるわけです。そういった意味で食料品2%還付は


なかなか考えられていると感心するわけです。


 後日談ですが知人の顧問先は6000円は「せっかくもらえるもの


だからもらっておこう」ということでした。自分も同じ立場だったら


そうしそうなので批判はできません。ただ、知人は「あの人だった


らちょっと日本橋か銀座あたりでランチ友達と食べに行っておし


まいだよね」と苦笑いしていました。

ワタミの介護売却と銀行の圧力




ワタミが介護事業を売却するようです。昨年度で連結売上の約23%


を占め、セグメント利益では24億を出していただけに本音としては


売りたくなかったのではないかと思われます。ただ、2期連続連結


純利益はマイナスで前期、経常利益が34億の赤字でした。自己


資本比率も4期前は約28.9%だったのが7.3%まで低下して財務的


にはかなり悪化しました。


今回、最終的に止めを刺したのは財務制限条項でしょう。財務制


限条項で介護施設の入居金返還債務53億に対する保証の事前


求償を求められたことがあるでしょう。財務制限条項で2期連続の連結


経常赤字か24年度の純資産の部の75%未満になった場合、事前


求償を求められることになります。要は53億を銀行は請求すること


ができます。24年度末に約293億あった純資産が27年度約100億まで


大幅に減少して財務制限条項に抵触しました。借入金も約前年度


より100億増加して300億あまりに達しました。その中で1年以内に


返済しなければならない短期借入金が160億ですからかなり銀行


の発言権は強くなったといえるでしょう。一応財務制限条項の発動


は猶予してもらったようですが今回の介護売却はその中で要求


されたのではないかと想像します。


資金が回らないと企業は倒産してしまうので苦渋の選択だった


と思います。銀行も確かに経営不振企業からは回収しないといけ


ないので判断を責めることはできません。しかし、本当に企業の


発展を願うのでしたら成長セクターの売却を迫るような再生案は


要求しないでほしいと願うのは甘いのでしょうか?

500Startups 日本上陸へ




米国のVC(ベンチャーキャピタル)500スタートアップスが日本に


進出するようです。特徴はベンチャーのアーリーステージ(場合


によってはシードと呼ばれる商品、サービス開発中)、いわゆる


まだ商品・サービスができたばかりというレベルから投資をする


ところで上限50万ドル程度まで投資をするようです。韓国、台湾


、インドなどにはもうすでに進出していますので遅い進出といえる


かもしれません。面白いのはアクセレータープログラムという、


この会社のシェアオフィスのような環境でこの会社や様々な創業


者からアドバイスを受けながら、他のベンチャーと切磋琢磨する


プログラムが組み込まれていることです。横のつながりがあまり


ないというのもベンチャーの悩みでしたが、ネットワーキングなど


も積極的にやってくれそうなので販路の拡大などにもつながる


のではないでしょうか。日本のベンチャーがどれだけこのような


サービスが受けられるかはわかりませんが、ユニークでこれから


の展開が楽しみです。


日本も少しずつアーリーステージの段階で投資をするVCが誕生


していますが、まだ大手のVCはミッドからレイトステージとよば


れるある程度上場が視野に入ってきた段階で横並びで投資する


傾向が強いといえるかもしれません。また、VCも金融関係者が多


く、トップライン(売上)を伸ばすためのネットワーキングなどの支援


はまだまだ不足している感があります。ベンチャー育成にはその


ための生態系が大切でこのようなVCの進出が「どんどん起業し


て企業を成長させよう!」機運を盛り上げる一つの嚆矢になれ


ばいいなと願っております