怒りは、私たちを苦しめる“敵”のように思われがちですが、 実はとても大切な感情です。 

怒りの奥には、 「わかってほしい」 「大切にしてほしい」 「自分を守りたい」 という本音の願いが隠れています。 

 

怒りは、あなたが何かを大切にしている証。 

だからこそ、抑え込むのではなく、正しく感じ、放出し、癒していくことが大切なのです。 

 

今日は、怒りをやさしく手放し、 “癒しと力”に変えるための5つのステップの前半をご紹介します。 

 

 

 

ステップ①:怒っている自分を責めない(自己受容) 

まず最初に大切なのは、「怒ってしまう自分を否定しないこと」。
「怒ってはいけない」「大人なんだから我慢しなきゃ」と自分を責めると、 脳の扁桃体がさらに興奮し、感情が強まってしまいます。 

まずは、「怒るほどつらかったんだね」「それだけ我慢してきたんだね」と、 怒っている自分をやさしく受け入れてあげることから始めましょう。 

 

感情は、否定されると暴れるけれど、 受け止められると静かになります。 

ここが癒しの最初の一歩です。 

 

 

 

ステップ②:体の感覚に戻る(生理的安定) 

イライラしているとき、私たちの呼吸は浅く、体は緊張しています。 

そんな時は、まずはゆっくりと息を吐くことを意識してみてください。 

「ふ〜」と息を吐きながら、肩やお腹の力を抜く。 

手を胸に当てて、「大丈夫、私は今ここにいる」と自分に声をかけてあげる。

 

これだけで、自律神経が整い、心拍数も血圧も落ち着いていきます。
体が落ち着けば、心も落ち着く。
それが、感情を整える基本です。

 

 

 

ステップ③:怒りのエネルギーを放出する(安全な表現) 

 

 

 

怒りは「悪いもの」ではなく、「エネルギー」です。
それを体に溜め込むと、頭痛・肩こり・不眠など、心身のトラブルに変わってしまうこともあります。

だからこそ、安全な方法で外に出すことが大切です。

 

たとえば──

  • 枕やクッションを思い切り叩く

  • 「ムカつく!」「悔しい!」と声に出す(車の中・お風呂でもOK)

  • 紙に思いのまま書きなぐって、びりびりに破る

  • タオルをねじって大声で叫ぶ(声が出せないときは心の中で)

 

こちらの記事も参考にしてくださいね。

 

 

これらは「攻撃」ではなく「解放」。 

体に滞った感情のエネルギーを、 安全な形で“外へ流す”ことが目的です。 

 

※注意:相手やSNSに直接ぶつけないこと。 

「吐き出す相手は自分だけ」にするのがポイントです。 
この行為は怒りを増幅させるためではなく、自分を守るための解放です。

 

 

 

 

次回の後編では、
怒りのあとに訪れる“心の整理”と“癒しの統合”についてお伝えします。

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。