Netflixで「地面師たち」を観てからドラマの沼に嵌まったかもしれません。

 

まず,NHKの「土曜ドラマ」で8話連続の「3000万」を観ました。これ,なかなか面白かったです。ラストはちょっとダレましたが…。

次に嵌まったのがNetflixで観た10話連続の「VIVANT」。もともとTBSの「日曜劇場」で放映されたドラマですが,掴みはOK,展開は「ウ~ン」。いわゆる竜頭蛇尾。

そのあと観たのは「正体」。これは劇場版を観たいのですが,まだ配信にあがってこないのでとりあえずドラマで。これも「3000万」と同じ。ラストがダレました。

それで,今まで一度も観たことのなかったNHKの大河ドラマ。今年は蔦屋重三郎の話だということで「べらぼう」の第1回を観てみました。とりあえずは「ウ~ン」。豪華出演陣ですが…。あと何回か観てみますが,一年間つきあえるかな?

 

というわけで,テレビドラマも途中までは嵌まるのですが,「ラストの展開がちょっとね」という話が多いという感想です。今のところ,「地面師たち」や「ペーパーハウス」のようなワクワクするドラマには出会っていません。

 

 

 

 

 

 

 

 

But what kind of ‘key are you?  Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey? (斎藤兆史『英語達人列伝』より)

 

 この言葉を発したのは岡倉天心である。著者の斎藤兆史によれば,天心が弟子の横山大観らとボストンの街を歩いていたとき,一人の若者が近寄ってきて次のように声をかけたそうだ。

What sort of ‘nese are you people. Are you Chinese , or Japanese, or Javanese?「お前たちは何ニーズだ? チャイニーズか,ジャパニーズか,それともジャヴァニーズ(ジャワ人)か。」

これは東洋に対する偏見に満ちた侮蔑的なセリフであるが,それに対する天心の返答が上の言葉である。

We are Japanese gentlemen. But what kind of ‘key are you?  Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?「我々は日本人の紳士だ。キミこそ何キーなんだい? ヤンキーか,ドンキー(ロバ,馬鹿者)か,それともモンキーか。」

 斎藤兆史のこの著書は明治以来の英語達人を取りあげて,彼らがいかに英語ができたかを紹介している書物で,そのうちの一人が岡倉天心である。斎藤によれば,これほどの返しができるのは天心が英語に関して「伝えたいことが正確に伝わり,なおかつ洒落や皮肉が操れる段階」に達していたからであるということになる。岡倉天心は6,7歳で英学を始めたらしいのだが,このように言うと,斎藤は今の文科省と財界が一体となって進めている早期の英語教育を礼賛しているかのように思われるが,逆である。たとえば,斎藤は天心は子供の頃,父親に標示杭の漢字を読んでみろと言われて一文字も読めず,国語国文の勉強を始め,それが英語習得をも促進したと述べている。早期の外国語教育には細心の注意が必要なようで,斎藤は,日本の英語教育は「日本の風土や言語文化を理解しない英米の学者が開発した学習法や評価法」に従ってきたと警鐘を鳴らしている。現在,文科省は「グローバリゼーションの時代だ。コミュニケーション英語だ」と躍起になっているが,ちょっと立ち止まって「それが大量の英語嫌いを生み出すことになってはいないか」ということを検討してみてはどうだろうか。

 

人生に必要なものはみなギャンブルが教えてくれた。(植島啓司著『賭ける魂』より)

 

 この言葉を肯定する人はそれほど多くないだろう。むしろ反感を買いそうな言葉だ。ギャンブルというと,メジャーリーガーの大谷翔平選手の元通訳の例に見られるように「依存症」と結びつけて語られることも多いのだが,ギャンブルをやる人たちのうちで依存症になって人生を狂わせてしまった人の割合はそれほど多くはないのではないだろうか。今ではやめてしまったが,私は今までの人生のうちの20数年の間,毎週末になるとJRAの競馬に賭けていた時期がある。それを依存症というのであれば,毎日毎日仕事をしている人たちも「仕事依存症」ということになるので,要はそのことで人生が狂ったかどうかということが問題なのだ。ギャンブル大好き人間の植島先生(この人は大学で宗教人類学を教えている先生らしい)は人生が狂うどころか,ギャンブルを通じて教わったことは実にたくさんあると仰っているのだ。例えば,「世の中では,確実なものは不確実だし,不確実なものは確実なのだ」といったことである。競馬でも本命サイドの馬券ばかり買っていては競馬で勝つことはありえないということを通じて,確実/不確実の真理が実感できるのである。私たちは何となく「人生の充実は充実した仕事をすることにある」と思い込んでいるところがあり,もちろん,そのことを否定するつもりはないが,充実した仕事ができるかどうかは,ギャンブルほどではないにしろ,偶然の要素に左右されることも大いにある。ギャンブルでは日常茶飯事だが,実人生においても,いくら努力しても「運」という偶然に恵まれなければ努力が報われないなどということを経験している人も多いのではないだろうか。植島先生はこの著書の中で次のようにも言っている。「仕事ならバカでもできるが,遊びはバカにはできない」。理由は「仕事は社会・経済的な範疇の出来事だが,遊びは文化だからである」とのこと。賛成する人もいれば否定する人もいるだろう。私は少なくとも後半の部分には賛成だ。まあ,人生,いろいろではあるが…。

 

書籍,雑誌,新聞だけではなく,映画やドラマのセリフ,テレビやラジオから聞こえてくる言葉,さらには日常生活において耳にする言葉など,私たちのまわりには言葉が溢れている。そこには良くも悪しくも自分の中にとどまり続ける言葉もあるはずで,今年はそのような言葉について自分が感じたことを折に触れて「光のことば 闇のことば」と題して書いてみることにする。

 

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第1回は以下の「ことば」である。

 

彼の活躍を毎日スマホで調べ,動画をお気に入り登録している。それらを繰り返し見ていると,心臓発作の回数が明らかに減り,症状も軽くなっていくのを実感できた。

 

 これは「朝日新聞」の2024年12月30日付「声」欄に投稿された福岡県在住の77歳の主婦の文章である。ここで「彼」と言われているのはLAドジャースの大谷翔平選手のことだ。彼女は野球には興味がなかったのだが,一昨年テレビで偶然WBCを見て大谷の大ファンになったということである。テレビなどで見る限り,大谷翔平はとても聡明な選手で,一部のスポーツ選手が時折口にする「勇気を与えたい」などといった不遜なことを言うのを聞いたことがないが,それでも彼女は大谷の活躍する動画を見ているだけで病気の症状が軽くなったのだと言う。彼女は大谷を応援することで「毎日が笑顔で楽しい一年を過ごせた」と書いている。これは精神が身体にプラスの作用を及ぼす一例だろうが,それは彼女が大谷から勇気を貰ったということではないだろう。私には医学の知識はないが,笑顔でいることで「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌していたのではないだろうか。私は彼女よりは若干年下だが,年相応に体の不調を抱えており,中には致命的ではないものの手術が必要になるかもしれない病もあるので,彼女のように笑顔で楽しく過ごすことができればそれも少し和らぐかもしれないとは思う。しかし,考えてみれば私の平凡な生活においても笑顔で楽しい一年を過ごすことはとても難しいことのようにも思うのである。

2024年10月~12月には以下の映画を観ました。

 

評価は★5つが満点。☆は0.5点。

 

1. 「沈黙,愛」(2018年 韓国) ★★     

監督:チャン・ジウ

キャスト:パク・シネ / チェ・ミンスク  

●寸評

謎解きの道具立ては大がかりだが,ほとんどリアリティがない。

 

2. 「ある閉ざされた雪の山荘で」(2024年 日本)   ★☆      

監督:飯塚健   

キャスト:重岡大毅 / 中条あやみ                          

●寸評

謎解きの面白さもなければ人間洞察の深さも感じられない映画。三層構造というのもずいぶん薄っぺらい。

 

3.「福田村事件」(2023年 日本) ★★★

監督:森達也   

キャスト:井浦新 / 永山瑛太 / 東出昌大 / 田中麗奈          

●寸評

期待したほどの映画ではなかった。啓蒙的な意味はあるとは思うが,人物造形が善悪を基準として類型化されすぎていて,映画としての深みに欠けると思われた。事件が起こるまでの描写が長すぎるし,そこで描かれている福田村の閉鎖性があの事件の背景であると言うのであればそれも類型化された捉え方でしかない。

 

4. 「君たちはどう生きるか」(2023年 日本) ★★★         

監督:宮崎駿

●寸評

タイトルの「君たちはどう生きるか」に対して「私はこう生きた」という宮崎駿の告白映画。感想としては「そうですか」としか言いようがない。

 

5. 「評決のとき」(1996年 アメリカ) ★★★     

監督:ジョエル・シュマッカー   

キャスト:マシュー・マコノヒー / サンドラ・ブロック

●寸評

アメリカ南部,ミシシッピ州における黒人差別問題を扱った映画。このテーマを扱うことはいいのだが,裁判にも差別問題にもあまり説得力が感じられなかった。

 

6. 「告発の行方」(1998年 アメリカ) ★★☆

監督:ジョナサン・キャプラン   

キャスト:ジョディ・フォスター / ケリー・マクギリス

●寸評

ひと言で言うと「正義は勝つ」という内容の映画。

 

7. 「インサイダーズ・内部者たち」(2016年 韓国)★★★☆            

監督:ウ・ミンホ          

キャスト:イ・ビョンホン / チョ・スンウ / ペク・ユンシク

●寸評             

韓国の政界,財界,メディアの癒着とそれに対して復讐をする男(たち)を描いた映画。ラストに二転,三転のどんでん返しがあるが,評判ほどの見事さではない。

 

8. 「アンテベラム」(2020年 アメリカ)★★★     

監督:ジェラルド・ブッシュ / クリストファー・レンツ     

キャスト:ジャネール・モネイ

●寸評

映画のテーマは冒頭のフォークナーの言葉に集約されている。そのこと自体は確かにその通りなのだが,エンタメ作品として仕上げるのなら,どんでん返しにもう少し工夫を。

 

9. 「野火」(1959年 日本)★★★☆         

監督:市川崑   

キャスト:船越英二 / ミッキー・カーチス / 滝沢修                         

●寸評

戦争の悲惨さはそれなりに伝わってくるが,全体としてやや焦点がぼけている気がする。大岡昇平の原作は未読だが,原作を読んで比べてみたい。

 

10. 「昼下がりの情事」(1957年 アメリカ)★★★★          

監督:ビリ-・ワイルダー          

キャスト:オードリー・ヘップバーン / ゲイリー・クーパー                          

●寸評

プレイボーイの裕福なビジネスマンと恋に背伸びをしている少女とのラブコメディー。いくつもの軽妙な会話と洒脱なシーンはさすがにビリー・ワイルダーといったところ。ラストシーン,オードリー・ヘップバーンのいじらしさに少しホロっとさせられる。

 

11. 「マグノリア」(1999年 アメリカ) ★★★   

監督:ポール・トーマス・アンダーソン   

キャスト:ジェレミー・ブラックマン / トム・クルーズ / メリンダ・ディロン

●寸評

LAに住む関わりのない人たちのある1日を描いた映画で,ラストに向けてそれらの人たちがつながってくるのだが,その繋がり方ってあり?と思わせる点で,あまりおもしろくなかった。大量のカエルが空から降ってくるエンディングは?の一言。観る人によって評価が極端に分かれる映画だと思われる。

 

12. 「ディアハンター」(1978年 アメリカ) ★★★★

監督:マイケル・チミノ             

キャスト:ロバート・デ・ニーロ / クリストファー・オーケン / メリル・ストリープ●寸評

公開当時劇場で観てから4回目の鑑賞。最初観たときにはこの映画の世界観に反発を覚えたが,その後,私の中で評価が変わった。ベトナム戦争に赴いた3人の陽気な若者たちが,戦地での過酷な体験によって心身ともに傷つく姿を描いた反戦映画。ロシアン・ルーレットのシーンは有名。冒頭からの1時間に及ぶペンシルヴェニアでの結婚式のシーンはやや冗長な感じがしたが,見終わった後の感想としては戦地との対比を描くのに必要だったと納得。そのシーンで出てくるベトナム帰りのグリーンベレーの男のセリフが生きている。

 

13. 「白ゆき姫殺人事件」 (2014年 日本) ★★★           

監督:中村義洋             

伽首都:井上真央 / 綾野剛 / 菜々緒 / 蓮佛美沙子              

●寸評

“美人OL殺人事件”が起こる。無責任なテレビ報道とSNSによって同僚の地味なOLが容疑者に仕立てられるが,真犯人は被害者の後輩OLだった。この映画は容疑者と疑われたOLと知り合いであるいろいろな人の「証言」によって冤罪が作られるが,そのOLが犯人でないことは途中でほぼ分かってしまう点にミステリーとしての面白さが半減。かといって,メディア批判も中途半端。"

 

14. 「PERFECT DAYS」(2023年 日本) ★★★★☆          

監督:ヴィム・ヴェンダース      

キャスト:役所広司                    

●寸評

一見,淡々としているように見える主人公・平山の日々の生活の繰り返しを極力セリフを押さえて役所広司の表情と仕草で表現する中で,彼の現在の心境と,そこに至るまでの過去を観客に伝える演出と演技力は秀逸。本年観た映画の最高の作品。

 

   気がつけば10月2日に映画の感想を書いて以来ほぼ3カ月になる。いくつかの作品については途中まで書いたのだが,結局,うまく表現することができずに挫折。それで,思ったことは私には映画の批評を書く能力が不足しているのだろうということ。というわけで,映画の感想文は前回の「Winny」で終了することにいたしました。来年からは観た映画の報告ということで,今回のように月に1回程度の割合で寸評を書いていくことにいたします。

 

 ご訪問くださった皆様,よいお年をお迎えください。