監督:塚原あゆ子
キャスト
満島ひかり(舟渡エレナ)
岡田将生(梨本孔)
ディーン・フジオカ(五十嵐道元)
阿部サダヲ(八木竜平)
大倉孝二(毛利忠治)
酒向芳(刈谷貴教)
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テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本家・野木亜紀子が再タッグを組み,両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画。
流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜,世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し,やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナは,チームマネージャーの梨本孔とともに事態の収拾にあたるが…。
主人公・舟渡エレナを満島ひかり,梨本孔を岡田将生が演じ,事件に巻き込まれる関係者役で阿部サダヲとディーン・フジオカ,捜査を担当する刑事役で「アンナチュラル」の大倉孝二と「MIU404」の酒向芳が出演。さらに「アンナチュラル」から三澄ミコト役の石原さとみ,中堂系役の井浦新,久部六郎役の窪田正孝ら,「MIU404」から伊吹藍役の綾野剛,志摩一未役の星野源らが再結集する。主題歌も「アンナチュラル」「MIU404」に続き米津玄師が担当した。第48回日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。(「映画.com」より)
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「映画.com」で紹介されている2つのTVドラマについては全く知らなかったのだが,この映画を楽しむには特に問題はない。物語の舞台は現代の流通業界。配達された品物の入った段ボール箱の連続爆破事件に対処する巨大ショッピングサイト(デイリーファースト)の日本支社の2人の従業員(舟渡エレナ&梨本孔)の奮闘ぶりを軸に,爆弾テロの真相が解き明かされていくという内容であるが,肥大化した現代の流通機構が抱えている問題を浮き彫りにしていくという点で社会派ミステリーといったところ。
映画の中で何度か語られるフレーズがある。customer-centric(すべてはお客様のために)――このマジックワードが映画のコンセプトだ。速く,速く,速く。デイリーファーストのロッカーに残された2.7m / s(秒速2.7メートル)という数字。出荷する荷物を載せて区分けされていくローラーの速度がすべてを物語る。タイパがすべて。そして悲劇が起こる。末端のドライバーが語る。昼食を10分で済ませて一日200個の荷物を配達してトップドライバーになったやっちゃんと呼ばれた男の伝説を。「でも,やっちゃんは体を壊して死んじゃったよね。」
スマホやPCをポチッとするだけで注文した品物が翌日届く現代の大衆消費社会の中で私たちは不必要な品物を買いすぎてはいないか。ブラックフライデー。What do you want?(あなたがほしいものは?)。customer-centricのかけ声のもと巨大資本は飽くなき利潤を追求する。爆弾テロが起こったぐらいで商品の出荷を止める?いくらの損失が出ると思っているのだ?「リスクをとってでも行動しなければならないときがある」…。顧客も自分に災難が降りかかるなどと思ってはいない。正常性バイアス。エレナの独り言。「死んだ人は可哀想だけど,知らない人だし。いつだって誰かしら死んでいる。なのに急に大騒ぎをして,むしろ笑える。」
「ラストマイル」とは「荷物を届ける最後の区間」のこと。デイリーファーストの荷物の配達を請け負っている運送会社が「羊急便」,その集配センターから実際に委託ドライバーが荷物を届けに行く。ラストマイルの労働者。この物流システムの中,増幅していくのは人々の疎外感。
満島ひかりの演技に魅せられた。「仕事ができる人」,つまり会社の利益ファーストで動く人という人物像を見事に演じきっている。この人の演技を観るだけでも楽しめる作品である。あっ,忘れちゃいけない。阿部サダヲの好演も。



