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希望が未来への力

どうしても自分を変えたい!

でも、変わらないんです……

どうしたらよいのか???

そんな方々にぴったりのブログです!!

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第3話「闇に浮かぶ発信源」

FBIニューヨーク支局。
サーバールームの中央で、アレックスは複数のモニターに囲まれていた。

全米の金融システム障害を追跡するため、FBIサイバー部門が緊急に設けた状況センター。
電話は鳴り止まず、捜査官たちの指が休みなくキーボードを叩く。

「ハートマン、何か見つけたか?」
上司の声に、アレックスはモニターを指差した。

「ここです。シカゴの決済ネットワークを経由して、国外からの不審なアクセスがありました」
「国外?」
「はい。複数のルートで偽装されていますが……最終的に浮かび上がったのは――」

モニターに赤い文字が点滅する。
「Moscow, RU」

一瞬、部屋の空気が凍りついた。

「ロシアか……」
上司が低く呟く。

アレックスはさらに追跡を続ける。
「ただ、単なるハッカー集団の仕業ではありません。アクセスパターンが軍事的すぎる。しかも、金融システムだけでなく……」

彼は別の画面を開いた。
そこには航空管制、電力網、交通信号システムの一部が同時に揺さぶられているログが示されていた。

「同時多発的な“テスト”が走っているんです。これは――アメリカのインフラ全体を麻痺させる準備です」

上司の表情が険しくなる。
「つまり、金融システムの混乱は……序章にすぎない、と?」

その時、アレックスの携帯が震えた。
見知らぬ番号からの着信。
恐る恐る応答すると、低い声が耳に届いた。

「ハートマン捜査官。お前たちはゲーム盤に乗った駒にすぎない」

アレックスは言葉を失った。
「誰だ?」

電話の向こうで、冷たい笑いが響く。
「ニューヨークの混乱は、ただの“デモンストレーション”だ。本番はこれからだ」

通話は一方的に切れた。
直後、FBIのサーバーに新たな侵入アラートが鳴り響く。
画面いっぱいに赤い文字が浮かび上がった。

「WELCOME TO PHASE TWO」

部屋中がざわめく中、アレックスは拳を握りしめた。
「奴らは、俺たちに挑戦状を叩きつけたんだ……」

第2話(改稿版)「パニックの街」

ニューヨーク・タイムズスクエア。
巨大ビジョンが赤く点滅し、ニュース速報が繰り返される。

「全米でATM・クレジットカード決済に障害発生」
「金融システム障害、国債決済に影響の可能性」

ざわめきが怒号へと変わる。

「俺のカード、どのATMでも使えねぇ!」
「政府が預金を凍結したんだろ!」
「違う!サイバー攻撃だ!もう戦争なんだ!」

市民の叫びが空気を震わせる。
警察がバリケードを築くが、前列の男がガラス瓶を投げつけた。
「ふざけんな!俺たちを殺す気か!」
瓶が砕け、群衆が一斉に前へ押し寄せる。

SNSでは生配信が飛び交い、瞬時に拡散されていく。
「ニューヨーク暴動、ライブ映像!」
「銀行破壊、略奪始まる!」
「この国は終わった!」

混乱が臨界点に達しようとした、その時だった。

――バシュッ。
群衆の頭上をドローンが横切った。
警察のものではない。
FBIサイバー部門が投入した、現場監視用の特別機だ。

路地裏では、黒いSUVが停車し、FBIのジャケットを着た隊員たちが次々と降り立った。
「市民の暴動はカバーする。サイバー発信源の調査は別行動だ」
指揮官の短い指示が飛ぶ。

その一団の中に、若き特別捜査官アレックス・ハートマンの姿があった。
群衆の怒号を聞きながら、彼は歯を食いしばる。

「これは単なるシステム障害じゃない……誰かが意図的に国を崩壊させようとしてる」

背後から先輩捜査官が声をかけた。
「ハートマン、時間がない。暴動が本格化すれば手遅れだ。発信源を突き止めろ」

アレックスは頷き、ポータブル端末を開いた。
スクリーンには全米の銀行システムが赤い点で示され、ニューヨークを中心に点が次々と拡大していく。

「……これは戦争だ。けど、俺たちが止める」

混乱する市民の群れと、冷徹に動き出すFBI。
ニューヨークの夜は、嵐の前のような緊張に包まれていた。

プロローグ「ニューヨークの朝」

2025年、1月。
ニューヨーク、マンハッタンのウォール街。午前8時45分。

J.P.モルガンのトレーディングフロアはいつもと変わらぬ熱気に包まれていた。ディーラーたちはターミナルを見つめ、開場前の先物取引を追っている。だが、その空気は一瞬で凍りつく。

「…おい、ダウ先物がマイナス二万?そんな数字ありえない!」
「サーバーが落ちたのか?」
「いや違う、複数のマーケットで同じ表示だ!」

同時刻、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティバンク。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)のシステムも次々にエラーを吐き出し、赤いアラートが画面を覆った。

さらに異常は拡大する。
ウェルズ・ファーゴやバンク・オブ・アメリカのATMが全米で一斉に停止。クレジットカード決済はエラーを返し、朝の通勤客はコーヒーすら買えない。
CNNの速報テロップが流れる。

「全米の銀行ネットワークに障害 市民生活に影響」

だが、それは単なるシステム障害ではなかった。

ワシントンD.C.。財務省の作戦室では、緊急会議が開かれていた。
「SWIFTネットワークに異常なアクセスログがある。だが、オランダ本部では異常を確認できていない…」
「つまりこれは、米国内のシステムを直接狙った攻撃だということか?」

沈黙。

誰もが思い出すのは、あのユナイテッド航空の不可解なシステムダウン事件。
航空の次は、金融。
黒幕は確実に“アメリカの血管”を狙いに来ていた。

そして、その頃。
ニューヨークの小さなアパート。
アレックスのスマートフォンに一通の暗号化メッセージが届く。

―――「ゲームは続いている」

 

第1話「ドルが止まった朝」

ニューヨーク、午前10時。
アッパーイーストサイドのカフェに、長蛇の列ができていた。
原因はただひとつ――カード決済が使えないこと。

「なんでカードが全部エラーなのよ!昨日まで使えたのに!」
「現金? そんなの持ってないよ!給料は全部口座にあるんだぞ!」
「ATMも止まってるって。どうやって現金手に入れろっていうの?」

店員も混乱していた。
「すみません、現金払いしか受け付けられないんです。システムが全部ダウンして…」

街に出ればさらに深刻だった。
ブロードウェイでは観光客が途方に暮れ、スマホを掲げて叫んでいた。
「UberもPayも全部決済できない!ホテルもチェックアウトできないんだぞ!」
「地下鉄カードの販売機も全部エラー!帰れないじゃない!」

マンハッタンの銀行前には長い列。
「ATMが動かない?ふざけるな!俺の金を返せ!」
「窓口も閉まってる!昨日まで普通に預金できたのに!」
誰かが怒鳴り、誰かが泣き、そして誰かは「陰謀論だ!」と叫んでいた。

同時刻、ワシントンD.C. 財務省地下のシチュエーションルーム。
FRB(連邦準備制度理事会)、財務省、FBI、NSAが集まり、緊急合同会議が開かれていた。

「連邦準備銀行の決済ネットワークFedwireが部分的に遮断されています。これが復旧しないと、国債の清算が止まる」
「つまり、政府の資金繰り自体が止まるってことか?」
「はい。最悪の場合、アメリカは“技術的デフォルト”に陥る可能性がある」

会議室に緊張が走る。
米国債は“世界の基軸資産”。その取引が止まれば、ニューヨーク発のパニックは瞬時にロンドン、フランクフルト、東京へと波及する。

FBIサイバー部門の女性分析官が報告を続ける。
「攻撃のトレースから判断するに、これは単純なDDoSではありません。複数の銀行のコアシステムに、同時に“偽のトランザクション”を挿入している痕跡がある。まるで見えない誰かが、内部から操作しているかのように」

FRB議長が椅子に深く腰を下ろし、唸る。
「つまり、我々の金融システムの“根幹”が乗っ取られている可能性があると?」

財務長官が口を開く。
「これは9.11以来の非常事態だ。いや、もしかすると、それ以上かもしれん…」

その頃。
ニューヨーク証券取引所の地下にあるサーバールームでは、赤いアラートランプが点滅していた。
画面に浮かび上がった、見慣れぬプログラム名。

“Black Ledger”

誰かが、アメリカ経済の心臓に毒を流し込んでいた。