第4話「闇に沈む都市」
ニューヨーク・マンハッタン。
市民たちはようやくATMが再稼働しはじめたことで、少しの安堵を取り戻していた。
だがそれは、嵐の前の静けさにすぎなかった。
夜8時過ぎ。
タイムズスクエアの巨大スクリーンが突然真っ暗になり、続いてビル群の窓明かりが次々と消えていく。
地下鉄の電源も落ち、悲鳴がトンネルに響いた。
「停電だ!」
「なんでこんな時に……!」
「誰か助けてくれ!」
市民の叫びはあっという間にパニックへと変わった。
車のヘッドライトとサイレンの赤い光だけが闇の街を照らし、交通は完全に麻痺する。
その頃、FBI状況センター。
「ニューヨークの電力網が落ちました! 全域です!」
「予備発電も作動していません!」
報告が飛び交う中、アレックスは必死にデータを追う。
「……やっぱりだ。これは単なる送電トラブルじゃない。配電システムに外部からの侵入ログが残ってる」
上司が顔をしかめる。
「つまり、連中は金融に続いて電力まで狙ってきた……」
アレックスは頷いた。
「奴らの目的は“アメリカ社会そのもの”の麻痺です。銀行を止め、市民を混乱させ……今度は都市を闇に沈めた」
その時、暗号解析チームが声を上げる。
「この攻撃コード、金融システムの時と同じ署名が残ってます! つまり――」
「同一犯か……!」
上司が呟く。
闇のニューヨークの一角。
地下の廃駅にある古びたネットカフェ。
そこには、暗いモニターの光を浴びながら笑う男の姿があった。
「フェーズ・ツーは成功だ。次は……水だ」
彼の背後の壁には、赤いスプレーで書かれた落書きがある。
「ГРИФОН (Griffon)」――ロシア語で“グリフォン”。
それは、FBIですら存在を疑う謎のサイバー・マフィアの印だった。