第7話「ホワイトハウスの決断」
ワシントンD.C.、ホワイトハウス地下の危機管理室。
大型モニターには、暴徒化したニューヨークの街、火を噴くATM、警察と衝突する市民の姿がリアルタイムで映し出されていた。
財務長官が声を荒げる。
「このままでは、金融システムの信頼が完全に崩壊します!ウォール街はパニック寸前だ!」
NSA(国家安全保障局)の担当官が割り込む。
「サイバー攻撃の痕跡を追った結果、ロシア発の可能性が高い。ただし…痕跡は意図的に残されている可能性がある」
大統領は深刻な表情で問いかけた。
「つまり、ロシアが直接やった証拠にはならないと?」
「ええ。逆に、第三国がロシアを装っている可能性も排除できません。ですが――」
担当官は画面を指差した。
「このコードの一部には、ロシア軍内部でしか入手できないはずの暗号鍵が使われていました」
一瞬、部屋が静まり返る。
国防長官が机を叩く。
「我々が座して待つ間にも、街は崩壊しつつある!大統領、指示を!」
大統領は深く息を吐き、言葉を選ぶように答えた。
「……FBIに全面的な捜査権を与える。国際的なチャンネルを通じ、ロシア政府にも直接説明を求めろ」
すると、国家安全保障顧問が低い声で言った。
「ですが大統領、もしロシア政府が関与を否定したら?」
大統領は静かにモニターを見つめ、つぶやいた。
「それでも構わん。――我々は真実を掴み取らねばならない」
その瞬間、ニューヨークの映像に再び火柱が上がる。
市民の叫び声が会議室の重い空気に突き刺さった。