小説「ブラック・トランジット〜ユナイテッド航空777連続トラブルの真実〜」(13) | 希望が未来への力

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第13話 「二重の裏切り」

 

赤の広場地下の迷路のような通路を、三人は駆け抜けた。
背後からは黒狼派の銃声と叫び。
マヤの脇腹はズキズキと痛み、足がもつれそうになる。

男──セルゲイと名乗った──は、曲がり角ごとに迷いなく進み、やがて地下鉄の廃駅にたどり着く。
壁は剥がれ、古い線路の上に錆びた貨車が放置されている。

「ここなら一時的に安全だ。」
セルゲイはそう言ってケースを置き、息を整えた。

アレックスが問い詰める。
「“国家レベルの指令”ってどういう意味だ?これはただのマフィアの仕事じゃないのか?」
セルゲイは薄く笑う。
「マフィアは道具だ。本当の依頼人は──」

その瞬間、照明が一斉に落ちた。
闇の中で、マヤの首筋に冷たい感触。
「動くな。」背後からロシア語。

ライトが再び点くと、そこに立っていたのは、アレックスのかつての情報提供者、オルガだった。
しかしその手には拳銃、銃口はマヤのこめかみに当てられている。

「悪いわね、アレックス。あなたを泳がせてここまで導くのが任務だったの。」
マヤが息を呑む。
「あなた…最初から黒幕の一派だったの?」
オルガは首を横に振る。
「違う。私は二重スパイよ。だけど今は、雇い主に従うしかない。」

セルゲイが小さく舌打ち。
「雇い主?まさか──」
オルガの背後、暗闇から現れた影。
冷たい瞳、ゆっくりと歩み寄る巨漢の男。
その胸ポケットには、ロシア連邦保安庁(FSB)の徽章。

「君たち、やっと揃ったな。」
低く響く声。
「FlightControl:Ghostは我々が管理する。これ以上の介入は許さない。」

マヤはその瞬間、理解した。
──これは単なるマフィアの取引ではない。
国家機関が直接関与する、もっと巨大な作戦の一部だ。

廃駅の空気が、一気に張り詰める。
そして、次の瞬間。
銃声。