そこには、巨大な花崗岩の壁が立ちはだかっていた。

その上の方から、一本のロープが垂れ下がっている。

このロープを使って登れということなのか…。

ほとんど力も入らない手でロープを握りしめる。

最早、筋肉への命令がほぼ伝わらない足で、無理矢理踏ん張る。

そのロープは、岩を右方向へまわり込むようにして張ってあった。

ロープを手放せば、そのまま急斜面を落下して…そのまま滑落死コースである。

「その方が一気に楽ちんだぞぉ」~山の死神がそう囁いた。
あれほど感じていた疲れが、その瞬間吹っ飛んだ。

急いでダリンシンのあとを追う。

昨日は止まり止まり進む私のあとを根気よくついてくるだけのダリンシンだったが、今日は先々と歩いていく。

「彼に無理を頼んだ」という負い目を感じていた私は、必死でついていった。

山小屋からしばらくの登山道には、歩きやすいように木組みの階段がつけられていた。

しかし、その勾配がますます急になってくる。

膝が上がらない。

最早、一時消えていたはずの疲労感が全身を包み始める。

まさに、気力だけで何とか長い長い階段コースを登り切った。

…が、やれやれと思い、ふと見上げると、~とんでもない風景が目に飛び込んできたのである。
かすかに見覚えのある町並みの中を、私たちを乗せたバスが走り抜けていく。

すっかり空も明るくなり、セルリアン・ブルーに輝き始めていた。

それにしても、なぜこんなに町並みが美しいんだろう。

イギリス・ヒースロー空港からロンドンに向かう列車の中から眺めた景色を思い出した。

その車窓にも、豊かな自然とおとぎの国に登場するような煙突付の小綺麗な家が続いていて…、その風景が強く心に残っている。

私がこれまで訪れた欧米系の国に共通するのは、町並みの美しさである(中でもパリは別格中の別格だった)。

その理由(らしきこと)に気づいたことがある。

日本の町並み景観を大きく損なわせているもの~それは“電線”と“電柱”ではないか。

「日本で映画を撮る時、一番邪魔になるのが電線と電柱だ」とある映画監督が言っていた。

田舎は別にして、欧米系の主な都市、そしてここオークランドでも、電柱・電線を見ることはほとんどなかった。

電線は、地中に埋められているからである。

もちろん、そのための費用は高くつく。

しかし、『美しさのためにはお金をかけてもよい』~町全体から、そのコンセンサスが感じられたのである。

マイクロバスに乗っている唯一のニュージーランド人は、ドライバーのCHRIS。

バスの中で、彼だけが半袖だった。どうやら、クーラーをかけている張本人は、CHRISのようだ。

滞在中、私たちが寒くて長袖長ズボンを着てるのに、その横でニュージーランドの人々は半袖半ズボンのまま~ということがよくあった。

ホテルやレストランは、ガンガンにクーラーが効いてもいた。

実は、ニュージーランド人と日本人は体感温度が違うらしい。

熱が37度台であることをニュージーランドで訴えても、誰も心配してくれない。

ニュージーランドの人たちの平熱は、実に…37度以上~とのことだった。



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日本時間午前1:45(NZ時間午前5:45)~関西国際空港を離陸してから、実に11時間あまり…。ほとんど寝ていない私たちを乗せたNZ98便は、オークランド国際空港へ着陸した。

入国審査、荷物受取、税関を無事通過し~いよいよNZワールドへの入口となるEXITへ…。

そこには、今回の私たちのミッションをサポートしてくれるSHARONさんとガイドの村下さんが出迎えてくれていた。

SHARONさんと、2年ぶりの再会を喜び合う。

ターミナルビルを抜けて、外の空気に包まれる。思いの外涼しい。いや、それどころか、むしろ~寒い。いくら早朝とはいえ、全く真夏とは思えなかった。

村下さんによると、「これでも、やっと夏らしくなってきたんですよ」「今年の気候は異常で、ずーっと寒いままの日が続いてました」「今でも長袖は手放せませんけどね」~とのこと。

それでもガンガンにクーラーが効いたマイクロバスに乗り込んで…、私たちは震えながらオークランドの町をめざした。


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現在、離陸して7時間あまり…。画面表示はあと3時間41分と出ている。

ニュージーランド航空で感心するのは、座席にひとつずつモニター画面があり、自分が好きな映画や音楽、ゲームなどが楽しめること。

私も、すでに篠原涼子主演の『アンフェア』を観た。

ゴルフゲームもしてみた。

しかし、覚悟はしていたものの~あまりにも長い…。そして、エコノミー席は~あまりにも狭い。

(日本時間で)夜中の1:30に到着してさっそく活動スタートとなることを考えると~寝とかなあかんけどなぁあせる

いよいよ~NZ出発の日。

朝起きると、空は快晴だ。

一方、体は寝不足でやや重い。何歳になっても、“遠足”前夜はあんまし眠れへんなぁ。

インフルエンザが“警戒レベル”だったので心配していたのだが、参加者全員元気に集合できた。

予定通り、午前10:15当市をバスで出発し、12:00関空着。

チェックインカウンターで、ニュージーランド航空の乗務員が「よろしくお願いします」と挨拶をしてくれる。チェックインや搭乗の時の配慮は、すばらしい。

午後2:50~予定よりやや遅れ、NZ98便はいよいよKIWI Countryへ向けて離陸した飛行機


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~という“My health(5)”の危機感から、脳の中に様々な検討委員会が立ち上がり、早急な審議の結果、『富士山登頂プロジェクト』が決定された。

このプロジェクトの趣旨は、ただ単に運動をするだけでは、モチベーションがあがらずすぐに挫折してしまうので、体を鍛える目標を明確に定めようというもの。

ブログのテーマとしても新しく設定。

その目標こそが~

『大和の民として生まれてきた限りは、何としても日本一を誇る富士山の頂きに立つっ!!』

そして、その期限は~(それはもう少し検討しよう…)。

いきなり………弱気ですあせる
見た目もめっちゃアクティブな生活も~とても70を過ぎたようには見えないM先生。

通常の72歳と何が違うのか…。

リタイア後を楽しめるかどうかの決定的なわかれ目は、何といっても『体力』だ~そのことをしみじみと感じた。

翻って、自分はどうか…。

寒すぎるから~との言い訳をして、全くジョギングもしなくなってしまった。

「兄ちゃん、富士山登りに行こうや~」と弟が誘ってくれるけど、とてもじゃないが、富士山やアルプスに登れるような体力は…ない。

それどころか、S山に登る自信も…ない。

このままやったらあかん。

リタイアを迎えたとしても、絶対アクティブで生き生きとした活動はできひんやろ。

それどころか、すぐに体が動かなくなり、屋内こもりっぱなしのリタイア生活~すなわち…

死を待つばかりの老後になってしまうぞ~ショック!
一方…M先生。

「もうすぐ、富良野へスキーに行くんよ。富良野は内陸やから、海風が吹きつけるニセコなんかより雪質は断然いいよ~。」

「山歩きもしてる。日本アルプスは毎年のように行ってるなぁ。」

「去年は富士山に登った。やっぱり、一度は日本一の山に登っとかなあかんで。7月末がベストシーズンなので、オススメよ~。」

「毎朝、1時間の散歩は欠かさへん。平地を歩くより、近くのS山を上まで歩く方が体が温もるなぁ。」

「スキーや山登りは、一緒に行く仲間がおってなぁ。嫁さんとは行ってないで~。嫁さんは嫁さんで、友達と一緒に海外旅行行ってるわ。」

「でも、嫁さんがスイスに行こうと強く誘ってくるので、さすがにこの秋、スイス旅行を計画しとるねん。」

M先生~退職してから12年。オン年72歳である。

この夜も、自分の出身高校の同窓生との飲み会の帰り~とのこと。

まさに…退職後の人生を満喫してる感じで、これこそが『理想のリタイア生活』ではないかっ!!