かすかに見覚えのある町並みの中を、私たちを乗せたバスが走り抜けていく。

すっかり空も明るくなり、セルリアン・ブルーに輝き始めていた。

それにしても、なぜこんなに町並みが美しいんだろう。

イギリス・ヒースロー空港からロンドンに向かう列車の中から眺めた景色を思い出した。

その車窓にも、豊かな自然とおとぎの国に登場するような煙突付の小綺麗な家が続いていて…、その風景が強く心に残っている。

私がこれまで訪れた欧米系の国に共通するのは、町並みの美しさである(中でもパリは別格中の別格だった)。

その理由(らしきこと)に気づいたことがある。

日本の町並み景観を大きく損なわせているもの~それは“電線”と“電柱”ではないか。

「日本で映画を撮る時、一番邪魔になるのが電線と電柱だ」とある映画監督が言っていた。

田舎は別にして、欧米系の主な都市、そしてここオークランドでも、電柱・電線を見ることはほとんどなかった。

電線は、地中に埋められているからである。

もちろん、そのための費用は高くつく。

しかし、『美しさのためにはお金をかけてもよい』~町全体から、そのコンセンサスが感じられたのである。