SSM/知識構造化に関するセミナー(日科技連|構造化知識研究所) | 品質管理関連イベント(FMEAセミナー、知識構造化シンポジウムなど)

品質管理関連イベント(FMEAセミナー、知識構造化シンポジウムなど)

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日科技連は技術者やマネジャークラス向けの品質管理・TQMのセミナーを数多く開催している。以前に知識構造化シンポジウムの紹介をしたが、SSMについて気になっていたところ、先日、SSMの手法を勉強するセミナーに参加する機会があった。


セミナーの正式名称は「設計開発における不具合未然防止のための知識活用セミナー」。年2回開催である。最近はセミナーの名称が長いものが多いが、そうしないといけないご時世なのかもしれない。私は知らなかったが、何年も前からこのセミナーは開催されているらしい。

SSM開発者や導入企業の講演

セミナーは、SSMを開発した構造化知識研究所の田村泰彦氏が主に講師を務め、その他に東京大学名誉教授の飯塚悦功氏(デミング賞本賞も受賞)やSSMを使っている企業の方(ダイキン工業)も登壇する2日間のコースとのことで、SSMの講義、演習などがある。SSMmasterというソフトウエアも会場に展示されて自由に触ることができ、熱心に操作しているひともいた。

2日目は実践型の演習

知識構造化シンポジウムは2014年度も参加したが、会場に入りきれない人も大勢いたようで、サテライトの別会場が用意されていた。講演内容はかなり興味深いので、リピーターが多いのかもしれない。メーカーの品質管理や設計の部門の担当者らの講演が中心となるシンポジウムと違い、本セミナーは、SSMを考案した構造化知識研究所の田村氏らから、より具体的な手法について学ぶことが目的となる。2日目は実践型の演習もあり、なかなかハードであったが、ためになった。

設計者の知識レベルの向上に

不具合未然防止のためには、やはり初期の製品企画や構想設計の段階での取り組みが大事だと再認識した。不具合を予測し、対策を講じるだけでなく、その対策内容を設計者たちが皆で共有できなけばならない。とりわけ経験が浅い若手設計者が多い組織では、過去のトラブル報告書を閲覧できるだけでは不十分で、様々な事例・経験を再利用できる状態にしておくことが有益だろう。使い勝手の良いナレッジ・データベースがあれば、設計者の知識レベルの向上にも大いに役立つはずだ。


日科技連

ここでセミナー主催者である日科技連の国内製造業への貢献について触れておきたい。彼らは戦後の日本メーカーの品質管理力の向上に深くかかわってきた。


復興期から経済成長期にかけて、輸出に依存する日本の製造業にとって品質の向上は重要課題だった。そんな中、日科技連は1951年にアメリカの著名統計学者、エドワーズ・デミング博士を招へいする。翌年、デミング賞が創設された。

QCサークル

さらに日科技連は各メーカーの工場に対して、現場の品質管理活動を自主的に行う職長・組長を中心としたQCサークルの設置を呼びかけた。このQCサークル活動が成功したことで日本の品質管理は大きく前進することとなった。やがて日本の品質管理手法TQCは世界的に高い評価を受け、海外に輸出された。1987年、米国では日本のデミング賞を意識したマルコム・ボルドリッジ賞が創設されるまでになったのだ。


今回のSSMセミナーのような日科技連のイベントに行くと、問題意識が高まり、アンテナが研ぎ澄まされる。その後現場に足を運ぶと、実態や課題、問題点の原因などがよりクリアに見えてくるような気がする。これからも、新しい知識を吸収し、スピーディに先手を打っていきたい。