3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。


地球の選択 - 二つの未来 

では、「奇妙な数字」を読んでみてください。

爆 笑爆笑爆笑


池田匠海は、ごく普通の会社員だった。毎日通勤し、仕事をこなして家に帰るという単調な日々を送っていた。だが、ある日から彼の日常には微妙な違和感が忍び寄ってきた。


最初に気づいたのは、スマートフォンのロック解除パスワードだった。いつも使っている番号が突然、全く覚えのない別の番号に変わっていたのだ。匠海は初めは自分が設定を間違えたのだと思い、再設定をした。しかし、その新しい番号にも奇妙な感覚を覚えた。


「なんだか…見覚えがあるような気がする。」


それから数日後、会社の同僚とランチに出かけた際、レシートを受け取ると、レシート番号が不自然に目に留まった。「123456」。あまりに整然とした数字列に、何か意味があるのではないかと感じた。しかし、それを同僚に話すと笑い飛ばされてしまった。


「ただの偶然だろう、気にするなよ。」


匠海も自分にそう言い聞かせ、気にしないように努めたが、その後も同じ数字が頻繁に目に入るようになった。携帯電話の着信履歴、郵便物の追跡番号、果ては銀行の取引明細書に至るまで、同じ「123456」という数字が繰り返し現れる。


「これって、ただの偶然なのか?」


匠海は次第にその数字が気になり始め、メモ帳に記録を取り始めた。数字が現れる頻度は日を追うごとに増していき、彼の生活の至る所に出現するようになった。次第にその数字が自分に向けられたメッセージではないかという思いが強くなっていった。


ある夜、匠海はその数字に取り憑かれたように、インターネットで検索を始めた。しかし、「123456」について特別な意味を示す情報は何も見つからなかった。だが、彼の中でその数字が持つ異様な力を感じずにはいられなかった。


匠海は次第に数字の存在に取り憑かれていった。毎日のように現れる「123456」に対する恐怖と好奇心が彼の心を支配し始めた。ある日、ふとしたきっかけで数字のパターンが浮かび上がることに気づいた。


それは、彼が仕事で使っているパソコンのスクリーンセーバーの設定を変更しようとした時だった。スクリーンセーバーのパスワードも「123456」に設定されていた。ここまで一致することに、偶然とは言い難い何かを感じた。


「これは一体何を意味しているんだ…?」


匠海は深夜までインターネットや書籍を調べ、数字の意味を探り続けた。しかし、具体的な答えは得られず、ただ漠然とした不安が増していくばかりだった。そんなある日、彼は自宅の郵便受けに奇妙な封筒が届いていることに気づいた。


封筒の表には、手書きで「池田匠海様」とだけ書かれていた。差出人の名前や住所は記されていない。不審に思いながらも、封筒を開けると中には一枚の紙が入っていた。その紙にはただ一つ、数字「123456」が大きく書かれていた。


「何なんだこれは…?」



匠海は恐怖と興奮が入り混じった感情に包まれた。誰かが意図的に自分にメッセージを送っているのではないかと考え始めた。次の日、彼は会社で同僚にこの出来事を話したが、相変わらず笑い飛ばされるだけだった。


「考えすぎだよ、匠海。そんなのただのいたずらに決まってる。」


しかし、匠海の中でその数字が持つ意味は次第に重くなっていった。彼は昼休みを利用して、近くの図書館に足を運び、さらに調査を続けた。そこで彼は一冊の古い書籍に目を留めた。その書籍には、古代からの数秘術に関する情報が記されており、特定の数字が特定の運命や出来事を示すことがあると書かれていた。


「まさか、この数字も…?」


匠海は書籍をじっくりと読み進めたが、「123456」についての直接的な記述はなかった。しかし、数字が何らかの暗示を含む可能性があるという考えはますます強くなった。家に戻り、彼はメモ帳を広げ、これまでに見つけた全ての数字の出現場所とタイミングを整理し始めた。


その過程で、彼は一つの驚くべき事実に気づいた。数字が現れる場所と時間には一定のパターンがあり、それが彼の生活の重要な出来事と密接に関連していることが分かった。例えば、彼が昇進した日、恋人との出会いの日、そして重要な決断を下した日には、必ず「123456」が現れていたのだ。


「これは偶然じゃない…」


匠海は確信を持ち始めた。この数字は、自分の人生に深く関わっているに違いない。数字のパターンを追い続けるうちに、彼は次第に数字が未来の出来事を予知するものである可能性に思い至った。


「もしこの数字が、未来の何かを示しているとしたら…?」


匠海はその考えに恐怖を覚えながらも、次第にその可能性に引き込まれていった。数字の謎を解き明かすことで、未来の運命を変えることができるのではないかという希望が芽生え始めた。


匠海は、数字「123456」が示す未来を解き明かそうと決心し、さらなる調査を続けた。彼は仕事の合間を縫って図書館に通い、インターネットで情報を漁り、数秘術や未来予知に関する文献を読み漁った。彼の頭の中は、数字の謎を解くことに没頭するあまり、他のことが手につかなくなっていた。


ある日、匠海は一つの仮説にたどり着いた。それは、この数字が自分自身に関わる重大な出来事を予知しているというものだった。彼はメモ帳を見返し、これまでに数字が現れた日時を整理し直した。すると、その数字が現れる日が、決まって重要な決断を下す直前だったことに気づいた。


「この数字は、何か重大なことが起こる前兆なんだ…」


匠海はその考えに取り憑かれ、次に数字が現れる日を特定しようとした。メモ帳を見返しながら計算を続けるうちに、ある特定の日が浮かび上がった。それは数日後の金曜日だった。


「この日、何が起こるんだ?」


匠海はその日を待つ間、不安と期待に胸を膨らませながら日々を過ごした。数字が示す未来が何であれ、それを受け入れる覚悟を決めた。そして、ついにその日が訪れた。


金曜日の朝、匠海はいつも通り会社に向かった。電車の中でも、オフィスに着いてからも、常に数字のことが頭から離れなかった。午前中は特に何も起こらず、昼休みが近づくと次第に焦燥感が募ってきた。


午後に入り、仕事に集中しようとするも、どうしても数字のことが気になって仕方がなかった。その時、スマートフォンが鳴り響いた。見ると、知らない番号からの電話だった。


「もしもし、池田匠海さんですか?」


電話の向こうからは、冷静な男性の声が聞こえた。匠海は心臓が高鳴るのを感じながら応答した。


「はい、そうですが…」


「こちらは警察です。あなたの家に不審な人物が侵入したとの通報を受けました。至急帰宅していただけますか?」


その言葉に匠海は青ざめ、すぐに会社を早退して家に向かった。家に着くと、警察がすでに到着しており、玄関の前にはパトカーが止まっていた。匠海は警察官に事情を聞き、不安を抱きながら家の中に入った。


「特に異常は見当たりませんでしたが、念のため家の中を確認してください。」


警察官の言葉に従い、匠海は家の中を調べ始めた。部屋の中を見回すと、異様な静けさが漂っていた。リビングに入ると、ふと目の前のテーブルに一枚の紙が置かれていることに気づいた。


その紙には、大きく「123456」と書かれていた。匠海は手に取り、その紙を凝視した。背筋が凍る思いだった。


「この数字は、やはり何かを意味している…」


その瞬間、背後から物音が聞こえた。振り返ると、見知らぬ男が立っていた。男は冷たい目で匠海を見つめ、ゆっくりと近づいてきた。


「君がこの数字の意味を探っているようだな。」


匠海は恐怖に震えながらも、男に問いかけた。「この数字は何を意味しているんだ?」


男は冷笑を浮かべ、「それは君の運命だ。数字が示す未来を変えることはできない。」と答えた。


その言葉に、匠海は全てを理解した。数字「123456」は彼の運命そのものであり、それを避けることはできないのだ。男が手を伸ばしてきた瞬間、匠海は意識を失った。


目が覚めると、匠海は病院のベッドに横たわっていた。警察が彼を救出し、病院に運んだのだ。命に別状はなかったが、心には深い傷が残った。数字「123456」の意味を知った今、彼はその運命を受け入れるしかなかった。


こうして、池田匠海は奇妙な数字に翻弄されながらも、自分の運命に向き合うことになった。未来が何をもたらすかは分からないが、彼はその数字が示す運命を逃れることはできないのだ。