3分読書、読んで頂き、ありがとうございます。

これまで書いた作品も、読んで頂ければと思います。


地球の選択 - 二つの未来 

では、「石油の消失」を読んでみてください。

爆 笑爆笑爆笑


ある日、世界中で突然石油が水に変わるという未曾有の事態が発生した。その知らせが広まるや否や、世界は大混乱に陥った。石油に依存していた車や飛行機は即座に動かなくなり、街中や空港では立ち往生する人々の姿が見られた。誰もが状況を把握できず、ただ困惑するばかりだった。


工場や発電所も次々と停止し、各地で停電が相次いだ。自然エネルギーによる発電が一部で行われていたが、石油がなくなったことで人や物の輸送が滞り、電力供給もままならなくなった。都市部では電気、水道、ガスといったライフラインが次々と停止し、人々はパニックに陥った。


情報伝達手段も次々と遮断され、テレビ、インターネット、ラジオは次々と沈黙していった。世界中の政府や企業は対応に追われたが、混乱は収まるどころかますます拡大していった。


とある国では、安全面から停止していた原発を緊急稼働させることを決定した。しかし、その無理な対応が原因で重大な事故が発生し、放射能漏れという二次災害が発生した。そのニュースが伝わると、他の国々でも原発再稼働の是非を巡る激しい議論が巻き起こった。


社会は急速に崩壊し、物資の不足と混乱が人々の生活を直撃した。食料品や生活必需品の供給も滞り、店の棚は空っぽになった。人々は自給自足を試みるものの、都市部ではその術も限られていた。


都市からの避難が始まり、田舎へと人々が流れ込んだが、田舎でも限られた資源しかなく、争奪戦が繰り広げられるようになった。治安は急速に悪化し、略奪や暴動が日常茶飯事となった。


政府や軍は治安維持に奔走するものの、限られた人員と物資では対応しきれず、各地で無法地帯が生まれ始めた。人々は恐怖と絶望の中で生き延びるための手段を模索し、世界はまるで産業革命前の状態に逆戻りしたかのようだった。


各国の政府は、石油に代わる新たなエネルギー源を見つけようと必死になっていた。科学者たちも昼夜を問わず研究に没頭したが、短期間での解決策は見つからなかった。人々の生活は日に日に困窮し、文明の崩壊が現実のものとなっていった。


都市部では、食糧や水を求める人々が暴徒化し、警察や軍隊も対応しきれないほどの混乱が広がった。スーパーマーケットや倉庫が襲撃され、争奪戦が繰り広げられる様子はまるで戦場のようだった。




一方、田舎の小さな村々でも影響は避けられなかった。農作物の収穫がままならず、人々は飢餓に直面した。物資の供給が途絶えたため、村々も孤立してしまった。村民たちは協力し合って生き延びようとするものの、限界が迫っていた。


多くの国では、政府が機能不全に陥り、無法地帯が広がっていった。武装集団が跋扈し、人々は身の安全を守るために防衛手段を講じるようになった。社会は急速に退化し、かつての平和と秩序は跡形もなく消え去った。


そんな中、情報伝達手段がほぼ全滅したことで、人々は孤立感に苛まれた。どこで何が起きているのか、誰も正確な情報を得ることができず、噂やデマが飛び交った。恐怖と混乱が人々の心を支配し、絶望感が広がっていった。


都市部から逃げ出した人々は、田舎の小さな村々に希望を求めたが、そこでも生活は厳しかった。村民たちは見知らぬ避難民を受け入れる余裕がなく、争いが起きることも珍しくなかった。限られた資源を巡る争いは、かつての平和な社会では考えられないほど凄惨なものとなっていた。


そんな世界の混乱の中、とある貧しい国の小さな村に住む家族の話がある。その村はもともと電気もなく、自給自足の生活をしていたため、世界の混乱の影響を受けることはほとんどなかった。


村に住む家族は、父親のアリ、母親のマリア、そして二人の子供たちである。アリは毎朝、早くから畑に出て野菜を育て、マリアは家で子供たちの世話をしながら、手作りのパンを焼いていた。子供たちは元気に走り回り、自然の中で遊びながら成長していった。


ある日の夕方、アリとマリアは家の前で夕日を眺めながら、子供たちと笑い合っていた。食卓にはシンプルな食事が並び、家族全員で楽しい時間を過ごしていた。外の世界の混乱が嘘のように、村の中では平和な日常が続いていた。




「今日はよく働いたね。」アリが満足そうに言った。


「ええ、子供たちも手伝ってくれたし、本当に助かるわ。」マリアが微笑みながら答えた。


食事を終えた後、家族は外に出て星空を見上げた。夜空に輝く星々を眺めながら、子供たちは夢中で星座を探していた。アリとマリアも手をつないで、静かな夜の空気を楽しんでいた。


「この村には、私たちにとって必要なものがすべて揃っているわね。」マリアが言った。


「そうだな。この小さな幸せが、何よりも大切だ。」アリが答えた。


世界が混乱し、文明が崩壊する中、この小さな村では家族の絆が強まり、自然と共に生きる幸せを感じていた。彼らは、限られた資源の中でも協力し合い、助け合うことで、小さな幸せを見つけることができるのだ。そこには昨日と変わらぬ仕合せな日常があった。