タイトル:都会まちのトム&ソーヤ2 乱!RUN!ラン!

著者:はやみねかおる

発行:講談社

発行日:2004年7月20日

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ 

究極のゲーム作りをめざす創也と内人の最大の敵、栗井栄太。

彼から届けられた「ゲームの館」への招待状。

その中に栗井は本当にいるのか?

そして、館の中で待ち受けているものとは?

 

 

爆速で2巻を読んできた。

(マーク・トウェイン執筆の『トム・ソーヤーの冒険』はまだ読んでない)

本当は既に24巻発売されているし、2巻以降の記事を書く予定はなかったんだけれど、

だらだら続く(失礼)物語ではなく、一旦キリが良い感じで2巻が終わったので、

感覚的には1巻目と合わせて上下巻のノリで記事を書きます。

なので、1巻の記事を読まれている前提で、当記事は進みますのであしからず。

 

1巻の記事はこちら

【184】都会のトム&ソーヤ1 YA!ENTERTAINMENT(はやみねかおる) | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)

 

 

 

さて。

今回も主人公・内人のサバイバル技術と、

そのコンビの頭脳明晰な創也の知識が光ります。

 

2巻は大きく分けて3部構成。

 

■第一部 鬼ごっこ Day and Night

「竜王デパートのCMのうち、めったに見れない甘栗バージョンを見るといいことがある」

クラスに広まるこんな噂を聞いた創也は、法則性を見出そうと調べるが、どうにも見当がつかない。

悩む創也に、内人は「デパート側の都合で決まり、CMが流れたときにデパートを調べたらいいのでは」と提案した。

そしてCMが流れた日、内人は創也にデパートに連れていかれ、まさかの睡眠薬入りの紅茶で眠らされてしまう。

閉店後のデパートで、二人は謎の集団を目撃し、また正体不明の"鬼"に追われることになる。

 

 

 

P41

「ねえ、デパートの中にいると、雨がふりはじめたこと、わからないよね」

ぼくは、ビニール袋を一枚とって、かさをいれながら創也にいう。

「なのに店員さんは、タイミングよく、かさ袋をだしたりするじゃないか。どうして雨がふってきたのがわかるのかな?」

(省略)

「店内放送を使って、雨がふってきたことを教えてるんだ。(省略)」

(省略)

「ほかにも、店内放送は、いろんな使い道があるんだ。たとえば、爆弾がしかけられたとき用の放送もある」

 

デパートの音楽と天気の関係 雨が降ると曲が変わる!? 大手の各百貨店を取材 - ウェザーニュース (weathernews.jp)

 

百貨店で使われる秘密のことば - ことばの疑問 - ことば研究館 (kotobaken.jp)

 

 

へえ!なにかで店内の曲を変えるとか聞いたことはあったけれど、

本当なんだねぇ。

 

他にも、竜王グループの跡取りである創也は、デパートについての知識が豊富だ。

警備室や事務室は、大抵化粧室のそばにあるとか。

 

 

 

 

 

 

P61

ぼくたちは、足音をたてないように階段をめざす。

そのとき――。

とつぜん、フロアの電気がついた。

まぶしいって思うまえに、ぼくの体は動いていた。

創也の首根っこをつかむと、バーゲン品が山積みされたワゴンのかげにころがりこむ。

 

ハラハラするシーンっていいよねぇ!冒険って感じ!!

 

 

 

 

P121

ぼくたちは、ゴールする水泳選手のように手をのばし、ドアをあけた。

冷たい夜の空気が、ぼくの肺に入ってきた。

(省略)

「三時間も走ったら、砦につくかな……」

うん、なんだか走りたい気分だ。

腰に手をあてて、かるくストレッチ。

「いきますか?」

ぼくがきくと、うなずく創也。ふたりの影が、夜の道に長く伸びる。

「よーい、ドン!」

そして、ぼくらは、夜明けまでもうすこし時間のある都会まちを走りだした。

雨あがりの夜空に、ぼくたちの走る音がこだました。

 

この作者様の、物語の始まり方と終わり方、とても好き。

青春だなぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

■箸休め わたしを音楽室につれてって

クラスの男子が二人一組参加している『音 楽 室 野 球MUSICROOM BASEBALL』。

音楽の授業が始まる前の、生徒たちのお遊びなのだが、

この日、画用紙とセロハンテープで作られた球が飾り壺に当たり、見事に壺を割ってしまう。

クラスメイトに泣きつかれた内人は、米粒を使って修復を試みるが――

 

「箸休め」の称されるいるように、中学生らしい日常が描かれた短いお話。

……かと思いきや、きっちり伏線で、エンディングにつながるのだから拍手である。

 

 

 

■ゲームの館

三連休を控える金曜日、砦にいくと、どうも創也の様子がおかしい。

問い詰められた創也が白状したのは、栗井栄太からの招待状を貰ったという事だった。

内人は招かれざる客ではあるが、「危険だからひとりでいく」という創也を脅しなんとか説得し、二人は栗井栄太の待つ館へと向かう。

そこには二人同様、栗井栄太に集められた何人かの人がいて――

 

 

 

※以下、シリーズにおける重大なネタバレが含まれます。

 

 

 

 

 

 

 

シリーズにおける、と前置きしたのは、私がこの作品を、

『内人と創也が栗井栄太を追う物語だ』と考えていたからだ。

コナンが黒の組織をえんえんと追っているように、

この作品も永久に追い続けているのかと思っていた。

 

だからまさか、ここで栗井栄太に会うとは思わなかったし、

『ルージュ・レーブ』を手に入れるとも思わなかった。

 

 

P314

「ぼくには、栗井栄太が『ルージュ・レーブ』を手放そうとする気持ちがわかりますよ」

創也が言う。

「栗井栄太は『ルージュ・レーブ』をつくったものの、愛着がない。なぜなら、テレビゲームやコンピュータゲームに限界を感じているから。――ちがいますか?」

 

2000年ごろのゲームを調べていたんだけれど、むしろかなりゲーム業界に期待が寄せられていて、クリエイターにしても限界を感じる要素なかったと思うんだけどなぁ。

ゲームキューブでスマブラとかピクミンとかが出た時期よね。

もちろん、この世界は『四大ゲーム』という架空のゲームがある世界線なので、

現実とリンクさせて考えること自体がちょっと違うのだけれど。

そもそも、クリエイターが限界を感じることって、そうそうないぞ。

やりたいことも、構想も尽きないよ。壁になる技術もずっと進歩し続けてるしね。

 

 

 

 

P317

「(省略)RPGの醍醐味は、参加者がいかに役になりきるかです。(省略)」

 

 

 

 

 

P321

これは短距離走じゃない。

ゴールテープを切るまで、全力をつくすのみ。

きびしいレースだけど、くじけなければ勝機はある。

 

栗井栄太への宣戦布告後、ライバルと認めてもらえた創也(と内人)。

そして更新された"夢"。

栗井栄太の作ったゲームを超え、六番めのゲームシックス・ゲームを作るつもりだったが、やめた。

目指すは、栗井栄太より先に『第五のフィフスゲーム』を作ること!!

 

 

 

 

P326

ぼくらは、雨に体を打たれながら、必死で走った。

(省略)

雨は冷たく、背後からは排気音。

でも……でも、不思議なことに、悪い気分じゃない。

「……フフフ」

なんだか、しぜんに笑えてくる。

横を見ると、創也も必死で走ってるのに、顔がほほえんでる。

……フフフ」

そして、ぼくも創也も、声をあげて笑いだした。

「ハッハッハ!」

雨の中を、ぼくらは笑いながら、砦まで走りつづけた。

 

 

 

走って走って走る!!!

そんな2巻の副題がマッチする青春ストーリーでした。

 

 

 

 

 

……3巻以降、いかに面白くても記事は書かないぞ…っと強い気持ちでいたい。

記事にはしたいんだけれど、書いたら読む時間が少なくなってしまうから……。

 

記憶にとどめるために記事に書いておきたい私 vs 気にせずガツガツ本を読みたい私。

 

葛藤がすごい。

 

 

 

 

 

TOP画は以下からお借りして色加工させていただきました~!

宝さがしイラスト - No: 1506667|無料イラスト・フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

 

 

 

 

 

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それでは素敵な読書ライフを!!