けいせつ基金の成果と「引き取り拒否」 | けいせつ基金 〜空の下でハミング♫〜

けいせつ基金 〜空の下でハミング♫〜

茨城県を犬殺処分ワーストから脱却させるために立ち上げた基金です

前回のブログで、けいせつ基金の活動エリアである茨城県鹿行地区で、犬の幼齢個体の収容数が大きく減少したことを書きました。  

その件について、Facebookにて、Yamasakiさんより以下のコメントをいただきました。

お疲れ様です。
犬の繁殖サイクルのスピード、計算はどうしているのですか?

処分数より収容数に着眼するのは正解ですよね。
角さんも理解しておられる。

しかし、行政窓口、センターが市民を「説得して」収容を拒否しているということ、茨城ではないのですか?

他県ではそれが横行していますが...ここ数年の行政の顕著な動きですが。

Yamasakiさん
ありがとうございます。

今回の改善(に見える結果)が、センターの「引き取り拒否」によるものではないか?という目は、むしろ冷静な視点として当然だと思いますので、これについてはこちらのブログでお返事したいと思います。

ただし、これから書くことは、Yamasakiさんに向けて書くとしたら、さすがに「釈迦に説法」です。

同じような疑問を持った支援者の皆さん向けに書きますことを、はじめに申し上げておきます。


「引き取り拒否」が何件あったかについて、僕はそのデータを持ち合わせていません。(「実際に◯件断った」というデータが存在するのかどうかも知りません)

それを持ち合わせていませんが、その問題とは関係なく、今回は「けいせつ基金」の効果がある程度以上認められていい結果だった…と思っています。

【理由】 けいせつ基金の活動エリアである「鹿行地区」は、他地区と比較し、明らかに好結果であった。

仮に「引き取り拒否」によって収容数が減少したとすると、それは「鹿行地区」のみに起こるものではありません。

「鹿行地区」だけ引き取りを減らすことなどできないはずです。

(以下、平成25年度→平成28年度
「飼い主からの引き取り」と「飼い主不明の捕獲」の合計)

茨城県の子犬
  1,285匹→663匹(平成25年度比51.6%)

鹿行地区以外の茨城県の子犬
  956匹→523匹(平成25年度比54.7%)

ほぼ半減できたこの2点について、「引き取り拒否」による影響を完全に排除する証拠は無いのですが

鹿行地区の子犬  
  329匹→140匹(平成25年度比42.6%)

この鹿行地区と他地区の差については、「引き取り拒否」を原因にすることはできません。
 
加えて、以下のようなことも想像します。

【考察①】 鹿行地区からの飼い主持ち込みは、そもそも少なかったと思われる。

これは【理由】と言うほど声高に言えることではなく、感覚的なものであり推理に過ぎないのですが…

実は茨城県は、茨城県動物指導センターが、笠間市にただ1ヶ所あるだけです。

かつては各地の保健所でも犬猫の引き取りをしてましたが、(よそは知りませんが少なくとも)鹿行地区の保健所では、今は全くそれをしません。「センターの管轄です」と言われて門前払いです。

ここで自虐的な話をするのもなんですが…

鹿嶋市は、東関東自動車道が開通して以降、東京に出るのは非常に便利なのですが、水戸・日立に行くにも、土浦・つくばに行くにも、便利な道路が無く、かつては「陸の孤島」と揶揄されていて
「笠間市?…どうやって行くの?」
みたいな人達は少なくありません。

「保健所が引き取ってくれないならめんどくせぇ。その辺に捨てちゃうか…」
こういう風潮が、永年続いてきているものと想像します。

そんな経緯でその辺に捨てられると…

慈悲の心を持った人に拾われない限りは、「飼い主のいない犬」になります。

そうなると、死なない限り、最終的にはセンターに収容されるのが法律の解釈になります。

これは飼い主の持ち込みではありませんから、センターは拒否できません。行政の仕事として捕獲せざるを得なくなります。

センターが犬の引き取りを拒否しても、良いことは一つもない…これは、ずっと変わらぬ僕の考えです。

センターが引き取りを拒否し続けても、結局はセンターの手を煩わせるだけで、最終的に捕獲せざるを得なくなる…と僕は考えています。

つまり、それによって収容頭数を減らすことを期待するのは、限界があるということです。

【考察②】 「引き取り拒否」の問題は、主に猫で起こりがちな問題なのではないかと思われる。

センターの事情に詳しいある方から、問題ありとも思える「引き取り拒否」が実際にあることを、実は何度か耳にしています。

しかし、たまたまかも知れませんが、いくつかのケースを聞きましたけど、それはいずれも猫の話でした。

確かにたまたまだったのかも知れませんが、しかしそれは、理屈的にもあり得そうだと納得できる話です。

猫には捕獲のルールがありません。できるのは「保護」だけです。

放置したら死んでしまうような…
怪我をしているとか、授乳中であるとか、そういう猫を「保護」するルールです。

しかし犬は全く違っていて、逆に捕獲しなければならないルールになっています。

怪我をした犬の「保護」ももちろんあるでしょうが、あるのはほぼ概ね「捕獲」だと思います。

Yamasakiさんのご質問に対する僕の回答をまとめます。

・「引き取り拒否」があるかどうかの確たるデータを、僕は持ち合わせていません。

・「引き取り拒否」は、あるという話を聞いているし、あるだろうと想像できます。

・しかし犬に限って言えば、「引き取り拒否」によって収容数を減らすことについて、長期的に大きな効果を期待するのは難しいと思います。

・また、ここ鹿行地区に限って言えば、これまでも「捕獲」は非常に多く、それは日本ワーストレベルにありましたが、拒否される恐れのある「飼い主からの引き取り」は、そもそも大きな数字にはなっていなかったと想像します。