股関節屈筋群

主な股関節屈筋は、腸腰筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・大腿直筋・恥骨筋、長内転筋である。
股関節屈筋の補助筋は、短内転筋・薄筋・小殿筋の前方繊維である。

股J
骨盤前傾は大腿骨上の骨盤の股関節屈曲ということもできる。
骨盤前傾は股関節屈筋群と脊柱伸筋群のフォース・カップル(力の対)によって起こるものであり、最も重要な点は腰椎前彎の増強と関係することである。


骨盤上での大腿骨屈曲は股関節屈筋群と腹筋の共同作用で起こる。
例えば、下肢進展挙上運動を行う際、腹直筋の十分な固定なしでは、股関節屈筋群効率が悪く、骨盤は前傾してしまう。



股関節内転筋群

股関節内転の主動筋は、恥骨筋・長内転筋・薄筋・短内転筋・大内転筋である。
補助筋は大腿二頭筋(長頭)、大殿筋(とくに下部繊維)・大腿方形筋である。

内転筋群は3層に分かれる。
表層 :恥骨筋、長内転筋、薄筋
中間層:短内転筋
深層 :大内転筋

大内転筋以外の股関節内転筋は股関節肢位次第で屈筋、または伸筋となる。
例えば、股関節屈曲が少なくとも50°~60°からの場合、長内転筋は大内転筋の後頭と同様に伸展させる肢にある。しかし、屈曲60°以下では長内転筋は、大腿直筋と同様に屈曲させる肢位にある。





内旋筋

解剖学的肢位では、股関節内旋トルクを発揮する水平面状の最適な位置に筋がない。
そのため、内旋の主動筋はない。
補助筋は、小殿筋と中殿筋の前部線維、大腿筋膜張筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、内側ハムストリングスである。

股関節周囲筋

股関節屈曲90°に近づくほど、内旋トルクは劇的に増加する。例えば、中殿筋前部線維の内旋モーメント・アームは屈曲0°から90°の間で8倍増加する。
梨状筋のようないくらかの外旋筋では屈曲90°でてこ効果が内旋方向に転換する。

歩行時の立脚相において、相対的に固定された大腿骨上で内旋筋により骨盤は水平面で動く。右股関節回りの骨盤回旋は左腸骨稜を前方へ回転させる。
よって、右股関節内旋筋は左の下肢の振り出し動作に作用する。比較的早い歩行速度で、反対側下肢の歩幅を延長する為に内旋筋は重要な役割を担っている。


外旋筋

股関節の主な外旋筋は、梨状筋、内閉鎖筋、上・下双子筋、大腿方形筋、大殿筋、縫工筋である。解剖学的肢位で外旋の補助筋は、中殿筋の後部線維、小殿筋、大腿二頭筋の長頭、外閉鎖筋である。

外旋筋の機能は大腿骨上の骨盤回旋である。右下肢をしっかりと地面に接触させると、右外旋筋の求心性活動により骨盤前方と体幹は加速し、固定された大腿から離す。足を接地させ反対側へ方向を変える水平面での作用は走行時に急に方向を変える自然な方法である。もし必要なら、内旋筋の遠心性活動がこの作用を減速させるかもしれない。
私が徒手療法を学び始めた頃に、先生によく言われた言葉に「正常を知らないと異常が分からない」という言葉がありました。

徒手療法は感覚的な要素が多く、また人の身体のパーツを全て「正常、異常」と区別出来る訳ではありませんが、全く指標が無い事には感覚を重視するといっても個人の勘まかせになりかねません。
そこで上肢帯のアライメントチェックの際の指標について簡単にまとめてみました。


参考文献の通りに「正常」と文内では表現していますが、ご覧になる先生方は「平均的なアライメント」という感覚で臨床の中では活用していただければ良いかなと思います。

「正常」「異常」というのは立場によっては変わる事もありますので

今回の内容は「運動機能障害症候群のマネジメント:医歯薬出版株式会社」を参考にしております。
より詳しく知りたい方はご購読される事をお勧め致します。



<正常なアライメント>
・両肩は、前面または後面から見た時、胸椎の1番を通る水平軸からわずか下方に位置している


・側面像では、垂線が肩峰を二分する。


肩甲骨

<正常なアライメント>
・肩甲骨の内側縁は脊柱に並行で、胸郭の中心線から約7.5cmの位置にある。
・肩甲骨は胸郭上の胸椎2番~胸椎7番のあいだにある


・肩甲骨は胸郭に張り付いたような状態にあり、前額面にたいして前方に約30度回旋している。

上腕骨

<正常なアライメント>
・肩峰に対する上腕骨の前方への偏位は、骨頭の3分の1以下でなければならない



・上腕骨の回旋中間位は、手のひらを体側につけた状態で肘前面のしわが前方に、肘頭は後方に向いているはずである、肘頭が後方を向かずに、手のひらが後方を向く場合がある、この様な状態は手屈筋群が短縮している場合に多くみられる。





・側方、前方、または後方から観察すると、上腕骨の近位端と遠位端は同じ垂直面上にあるはずである。



垂直面上に無い例


*上腕骨のアライメントを診る際には肩甲骨のアライメントが正常であるか?確認するように注意書きがあります(肩甲骨が内旋しているなら、上腕骨が正しい位置にあっても内旋して見えるから)

また、個人的には肩甲骨のアライメントは胸郭アライメント、胸郭アライメントは脊柱のアライメントに影響を受けると考えますので

簡単な脊柱、胸郭アライメントチェック(矢状面)も記しておきます。

・頭ー背中ーお尻が壁面につく
・胸骨柄ーth3を結んだ線が床に平行
・th3-th10を結んだ線が床と垂直
・第10肋骨弓ーASISを結んだ線が床と垂直
・腰部は手のひら一枚分の隙間
・ASIS-恥骨を結んだ線が床と垂直



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これらのアライメントから大きく外れているなら要注意です。
このような平均的なアライメントを記憶に留めながら施術を行う事は時には助けになる事があります。

私ごとですが、最近頸部の伸展時の違和感が取れないという方を診ていて、なかなか症状が改善しなかったのですが。
肩甲骨のアライメントを拝見すると、肩甲骨上角のみ(肩峰は挙上せず)が極端に挙上していました。

肩峰も挙上している場合は僧帽筋の短縮も考えられますが、肩甲骨上角のみが挙上していたので肩甲挙筋の短縮の疑いが強かったので
健康挙筋にポイントを絞り、しっかりと緩めると症状が大きく改善しました。

トレーナー、施術家、どちらの方も経験が増えるにしたがい感覚にゆだねる部分が増えてくると思います。
それは良い事でもありますが、基本となる知識、解剖学、生理学、バイオメカニクスなどをしっかりと知っている事が前提で感覚にゆだねる事が大切だと思います。

脳科学者の池谷裕二さんは著書の中で“直感は無意識の脳の基底核が大きく関わっているが、ひらめきは基底核の働きに加えて言語や知識を司る大脳新皮質の能力がなくては起こらないだろう”といった事を書いています。

無意識的な感覚だけでなく、それを知識と組み合わせることで広く人々の役に立つ新しいアイディアやひらめきが生まれるのではないかと思っています。