ジャズ・ソングズ(50) | 日本語で歌うジャズ詩

日本語で歌うジャズ詩

スタンダードジャズ詩の日本語訳詩のためのブログ。

Foolin' Myself (1937)

Composer: Peter tinturin / jack lawrence

Lyrics: Peter tinturin / jack lawrence

Artist: Billie Holiday

 

曲名: じぶんでなくて

(美艇香津 訳)


(バース)
I try to keep you out of my heart
 あなたのこと、かんがえないようにしても、
But somehow i find
 なぜか、
Trying to keep you out of my heart
 そうしようとしている、
I'm out of my mind
 じぶんがわからなくなるの

 

(コーラス)
I tell myself "i'm through with you
 「もう、なにもかも、おわりね、
And i'll having nothing more to do with you"
 もうかんけいない」、そういい
I stay away, but every day
 あなたをとおざけ、
I'm just foolin myself
 うそをついてる

 

Tell my friends that i don't care
 「きにしてない」、そういい、
I shrug my shoulders at the whole affair
 かたをすくめてみせる、
But all know it is't so
 でも、みんなはしってるの、
I'm just foolin myself
 うそをついてるだけ

 

And ev'ry time i pass
 ふとしたとき、いつも、
And see my face in a looking glass
 かがみに、
I tip my hat and say
 ぼうしのしたにいう、 
"how do you do, you fool
 「こんにちは、おばかさん、
You're throwing your life away
 じぶんをあきらめてる」

 

I'm acting gay
 たのしく、
I'm acting proud
 りっぱにして、
And every time i see you in a crowd
 あなたをみつけて、いつも
I may pretend
 そんなふり、
But in the end
 そうして
I'm just foolin myself
 うそをついてるだけ


(漢字かな混じり訳詩)
 訳詩:美艇香津

 

曲名:自分でなくて

(バース)
あなたのこと、考えないようにしても、
なぜか、
そうしようとしている、
自分が分からなくなるの

 

(コーラス)
「もう、何もかも、終わりね、
もう関係ない」、そう言い
あなたを遠ざけ、
嘘をついてる

 

「気にしてない」、そう、言い、
肩をすくめて見せる
でも、みんなは知ってるの、
嘘をついてるだけ

 

ふとしたとき、いつも、
鏡に、
帽子の下に言う、 
「こんにちは、おばかさん、
自分をあきらめてる」

 

楽しく、
立派にして、
あなたを見つけて、いつも、
そんな振り、
そうして
嘘をついてるだけ

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以前に、こんなことを書いてました。

 

(閑話休題)

ビリーホリデイがレスターヤングの演奏で小気味よく歌います。1937年の曲です。20年代、30年代初頭のジャズ曲よりも小粋にできてる、新しいジャズだったんですね。意外に新しく、でも、ジャズがしっかり生きている、クラシックなジャズを、若いビリホリが丁寧に歌ってくれます。しかも時代はもう、どうしようもない、悲劇的なことになり、破局(第二次世界大戦のこと!)に近づいているのにです。少しだけ、懐かしい昔を思い出す時間をもらい、何かを避けようとした、目を瞑って、衝突の瞬間を何とかしようとしていた時代でした。

(訳詩ノート)

初めのバースの部分も聴いてみたいですね。「Foolin' Myself」は、英語ではそういう言い方で済むんですけど、日本語では、言い方で、その意味を拾いました。「うそ」というだけではちょっと違う、そんな、持って回ったような気持ちの遊びを楽しむ余裕は、なかなかないかも知れません。

(歌唱のポイント)

「こんにちは、おばかさん」のところを、小粋に歌い澄まして通り過ぎることができればいいですね。でも、歌っているのは、よく分かることだけなので、普通に、今の自分のことを、人に話して、自分は分かってる、って言ってるんです。

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これを、今まで、「ジャズ・ソングズリスト」に加えていなかったのはどうしてでしょうか?忘れていた訳ではないんですが、あまりに秘蔵しすぎて、しまい込んでいたようです。久しぶりに、日の光をあててみると、悪くないですね。

そして、始めのバースを聞きたくて、探していたら、リサリ-バーマンというドイツ系らしい人が、歌ってくれていました。ビリーホリディの輝く声の光のわきに、そっと置いておきたい、奥ゆかしくも、普通な歌声が、却って有難いですね。

 

それと、[コーラス]の2連目、

「But all know it is't so でも、みんなはしってるの、」

これは、「But all i know it is't so でも、分かってる」、と行きたいですね。

 

歌だし、「I know」としなくても、自分だけのことなので、「i know」、としたくなります。

というか、「all (i) know」でもいいかも知れません。文法的には「主語+述語」ですが、

歌の呟きであれば、「all i know」のつもりで「all know」と言ってもよいかも知れません。

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ジャズ・ソングズ リスト 

川畑文子・ソングズリスト

ジャズ歌 BTE翻訳ノート

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Billie Holiday

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Lisa Lieberman 

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