ジャズ・ソングズ(32) | 日本語で歌うジャズ詩

日本語で歌うジャズ詩

スタンダードジャズ詩の日本語訳詩のためのブログ。

Can't Help Falling In Love (1961)

written by Hugo Peretti, Luigi Creatore, and George David Weiss,
melody based on "Plaisir d'amour" by Jean-Paul-Egide Martini (1784)
Artist:Elvis Presley

 

曲名:愛しているだけ

訳詩:美艇香津

 

Wise men say only fools rush in
 分かってる、のぼせるのはばかだけ
But i can't help falling in love with you
 でも、この気持ち、愛している、あなたを、

 

Shall i stay
 それでもいい、
Would it be a sin
 悪いことでも、
If i can't help falling in love with you
 あなたを、愛してることが、

 

Like a river flows surely to the sea
 川が海に、流れるように、
Darling so it goes
 だから、それは、
Some things are meant to be
 決まってること、

 

Take my hand, take my whole life too
 手を取り、お願い、人生も全部、
For i can't help falling in love with you
 あなたのこと、愛しているから、

 

Like a river flows surely to the sea
 川が海に、流れるように
Darling so it goes
 だから、それは、
Some things are meant to be
 決まってること、

 

Take my hand, take my whole life too
 手を取り、お願い、人生も全部、
For i can't help falling in love with you
 あなたのこと、愛してるから、

 

For i can't help falling in love with you
 あなたのこと、愛してるから、

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これを訳してみました。「can't help falling in love」は、「好きにならずにいられない」という曲名で超有名曲です。「love」とあるので、「愛さずにいられない」ですね。そうすると「愛しちゃったのよ」という浜口庫之助の歌があったのを思い出しました。その作詩を改めて読むと、「勝手に愛して悪かったわね」という「照れ」というか、相手への気遣いが感じられて、おくゆかしささえあるようです。

それに対して、この曲は、まったく他に何も考えていない潔さが感じられます。だから、この和訳詩を歌うなら、ちょっとした覚悟は必要でしょう。詩の文字数は少なくてできたので、曲に合わせる余裕は十分にあると思います。

 

訳詩では、出だしの「Wise men say..」が、どうするかですね。英語の人が言う「Wise men say」は、「賢人」という、地位のある人、または、「賢」という美徳的観念の擬人化された存在を言っているのではなく、言い習わされた、「いわゆる」とか、「よくいうところの」のような、間投詞とも考えられます。

 

そこで、辞書的には、「賢人」とか「賢者」、「賢い人」、「知恵のある人」という言葉ですが、そこには、それほど拘ることもないということで、「分かってる」にしました。「賢人」とか「賢者」には、そばで、ただ、見守っていてほしい、というところです。

 

そして、「 i can't help..」ですね。「~しないでいることはできない」ということですが、この2重否定を歌うことは、そのまま訳してしまったら、体操競技の後方伸身宙返り2回ひねり、みたいな目の回る経験を想起させようとします。曲の音符は、もっと、単純に、歌い切っていると思われます。

そういう訳で、訳詩では、ひねることを止めました。

 

歌唱では、「Take my hand, take my whole life too」、「手を取り、お願い、人生も全部」、のところを、maxで歌ってほしいですね。「お願い」という英語はどこにもないなどと言わないでほしいものです。そういう気持ちなのです。

 

元歌が18世紀末のフランスの歌曲だということは、よく知られていることのようです。音楽の広がりに思いを馳せることになります。その元歌の曲名は「愛の歓び」で、その詩は、愛の歓びの時は短く、愛が終わり、その悲しみは永い、というもののようです。この歌の底に流れるものが、それと知らされずに、でも、どこかで気が付かされているようです。だから、結局、「Wise men」へのリスペクトも大事だということで、それも無駄な言葉ではないのです。そんなこんなを、合わせて一遍に聴いていると思うと、この歌の味の深みが分かりますね。

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