日本人ならわかるはず?! 永井龍男 著「青梅雨」を読む | アフターコロナを生き抜く!これから起こる変化について発信するブログ

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こんにちわ。
本日は日本人の信仰心について
ブログを書かせていただきます。






参考書籍:「青梅雨」

永井龍男著





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永井 龍男(ながい たつお、1904年(明治37年)5月20日
 - 1990年(平成2年)10月12日)は、日本の小説家、
随筆家、編集者。日本芸術院会員、文化功労者、文化
勲章受章者。 俳名、東門居。

懸賞小説に応募した『活版屋の話』(1920年)、
『黒い御飯』(1923年)などで菊池寛に推賞される。
人情の機微を精緻に描写する短編小説作家として活躍。
作品に『朝霧』(1949年)、『風ふたたび』(1951年)など。
ウィキペディア
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「青梅雨」あらすじ
事業に失敗し、一家心中を決意した
家族。冷たい雨の降る決行の夜、
それぞれの心に悲壮な覚悟を秘めながらも
やさしくかばい合うその心情を描いた。
新潮文庫
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以前、当ブログでも紹介した
小林秀雄と岡潔の対談集
人間の建設という本がありましたが








その中でこの本の話がでてきます。







小林秀雄がこの本を絶賛し、
岡潔も話を聴いてその内容に
関心をするくだりがあり、
私もとても読んでみたくなって
読んでみた次第です。







登場人物は4人。父(77歳)
その妻(67歳)養女(51歳)
妻の実姉(72歳)です。






この一家の心中事件があったと
する新聞記事風の書き出しで
この物語は始まります。






その後は作家永井の
イマジネーションで
展開していきます。








睡眠薬を飲んで
心中を図るのですが、
それまでは本当に普通の
日常が描かれます。







風呂に入り
浴衣に着替え
新しいを足袋をはいて
父は日本酒を一杯つけて
いつもの普通の会話を
しています。









淡々と話しは
進んでいくのですが
最後に養女が言います。








「だけどお父さん、
きょう死ぬということを
ちい婆さんもおおきいお婆さんも
一言もいいませんでしたよ、
わたしそれがえらいと思って。」
とそれきり泣き声を抑えに抑え
卓につき伏した。







この姿は今夜のこの家に
とって一番ふさわしくないもの
であった。







と日常は締めくくられています。







この本の特徴として
挙げられるのは
心理描写が全く無いこと
であると思います。








不気味なほどに死を間近に控えた
登場人物たちの考えていることに
ついて書かれた箇所はありません。







あえて心理描写をすべて省いた
理由は何でしょうか。






その理由に考えをめぐらせた
ときに作者の深い意図を感じました。






それは読み手への信頼感だと思います。







細々と書けば書けたと思います、
しかしそれでは普通の小説になってしまうのです。






敢えてしなかった理由は
そんな説明をしなくても
日本人ならわかるはず。
という読み手に対して作者の強い信頼が
あったのだと思います。








この本が刊行されたのは
昭和40年で、今から60年も前。








当時の日本人の精神レベルの高さが
このことからもわかったような気が
いたします。







さらに小林秀雄は
この本について述べる延長線上で
日本人の信仰心についても
持論を述べます。







この本は日本人にはわかる
、とした上で
西洋人にはわからない
と語ります。








西洋人は国単位でキリスト教を
あがめるなど宗教心に厚いと
言われます。








それを盾に日本人は信仰心が
ないなどと言われたりしてい
たことに反論しています。










小林はそんなことは軽々しく
言うべきではないと強く言い、









その言葉を聴いていた岡も
「意味を知らないのです。」と小林の意見に
同感の意を示しています。









私もそう思いました。








本日は日本人ならわかるはず?! 永井龍男 著「青梅雨」を読む
ということでブログをお届けしました。

ではまた。