小金井市を良くも悪くも変えるこの2本の都市計画道路について、話をしよう(「こがおも」の考え方)。 | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

都市計画道路について、「白井とおると小金井をおもしろくする会(以下略こがおも)」としての考え方をまとめました。



東京都が12月に第四次の都市計画道路の整備方針を公表しました。そこには、小金井市も2つの路線が「今後10年間で優先的に整備していく都市計画道路」として位置づけられています(パブコメを経て3月末に決定する流れ)。


参照:はけの自然と文化をまもる会チラシ

私たちこがおもとしても、この道路計画について議論を重ね、色々な視点から検証してみました。

「賛成」か「反対」を決め込むのではなく、この小金井市にとって重要な地域資源である「はけ」をはじめとした自然環境と文化、地域コミュニティの分断などが指摘されるこの道路計画について、多角的な視点で情報を整理しました(と書きながら、決して整理というレベルではありませんので申し訳ないのです)。


長文ですが、読み進めて頂き、それぞれのこの道路に対する意見について一定のヒントとなれれば幸いです。

なお、これは2月10日までパブリックコメントにかけられています。是非、我がまちを色んな意味で大きく「変える」この道路計画について、一人ひとりの小金井市民として意見を出して頂ければと思います。

<パブリックコメントリンク>※都のHP
「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」の公表について ~皆さまのご意見をお寄せください~


参照:小金井市HPより都市計画道路全図の中の今回優先的に整備する道路



■状況


・約50年前に既に線を引かれた道路である=都市計画上、その引かれた線の上の建築物には一定の制限がかかっている。
・今回、第4次整備方針(案)(都市計画道路整備計画)に、小金井市の2本の都市計画道路が「優先して整備すべき道路」として位置づけられている
・現在パブリックコメントにかかっている(2月10日まで)
・都はオープンハウスという仕組みで、職員が説明の場を提供している
・都、市ともに市民向けの説明会開催は考えていない(行わない)
・東八道路へ抜ける道(3.4.11号線)は住宅街(東町5丁目)の真ん中を抜け、武蔵野公園を縦断して東八道路へ抜ける
・3.4.11号線の延長上南側からは府中市部分で東八道路へ向けて北上して整備を進めてきている
・3.4.1号線は、連雀通りからそのまま西方面へ伸び住宅街及びはけを突っ切って新小金井街道へ接続する



■関連する計画をみてみる


小金井市と都のこの道路に関連すると考えられる計画などを眺めてみたいと思います。以下で全てではありません。

▼「都市計画マスタープラン(小金井市)平成24年3月策定」
小金井市都市計画マスタープラン及び概要版(平成24年3月)

<都市計画マスタープランとは?>
「長期的視点にたった都市の将来像を明確にし、その実現にむけての大きな道筋を明らかにするものであります。」(国土交通省HPより)



この35Pには「道路の段階構成と整備方針」という章に以下のように書かれてあります。


3・4・11号線(連雀通り以南)は、「整備済み・着手路線との連続性や駅周辺へのア クセス動線の確保を勘案して、東京都に対して整備推進を要望するなど、 道路整備を計画的に進めます。」とあります。このマスタープラン策定の段階では、着手することが市の意志としても示されていました。

都市計画道路3・4・1号線に関しては、国分寺崖線(はけ)のみどりの保全を勘案し、将来的には「一定区間での路線 変更などの可能性について検討します。」と記載がありますが、どのように検討したのか、事業決定前に市側に説明の義務はあるでしょう。

このように、南北道路(3・4・11号線)はこのマスタープランでは道路建設を推進することを明記しているのに対して、3・4・1号線は路線の変更の可能性について検討する旨を言及しています。

また、マスタープランには小金井市の遺跡も掲載されていますが、この遺跡の多くの上を今回の都市計画道路が通ることになりますが、この辺りの検証はどうなっているのでしょうか。





▼「小金井市まち・ひと・しごと創生総合戦略(案)」(平成27年度末策定予定・2月21日迄パブコメ中)
小金井市人口ビジョン(案)及び小金井市まち・ひと・しごと創生総合戦略(案)に対する意見募集を行います



これは、国の政策に従って今年度全国の地方自治体で策定が進んでいるのですが、いわば「地方版総合戦略」です。



その「基本的方向1 魅力が共存する小金井らしいまちづくりの推進」を掲げており、「施策1 豊かなみどりと良好な住環境を守るまちづくりの推進」には「緑地・公園など􏰁の計画的な整備による自然環境􏰁の創出とはけの保存」が謳われています。



その4項目目には「自然と調和した住環境􏰁の整備、個性ある坂道づくり」とも書かれてあり「はけ」だけではなく「坂道」までもが具体的にこういう計画に書かれたのは珍しいと感じています。ちなみに、今回の東西を走る計画道路3・4・1号線ではとても個性豊かなムジナ坂を突っ切ることが想定されています。

また「基本的方向2 小金井の魅力を発信するシティプロモーションの推進」では以下のように書かれてあります。

「みどり、住環境、文化、歴史、産業など、多様な魅力を形成しながら、それを広く周知するシテ ィプロモーションに取り組みます。市民にとって􏰀は、小金井の􏰁魅力をあらためて知ることで、暮らしを楽しむことにつながるだけでなく、シビックプライド(まちへの􏰁愛着)を醸成することで定住􏰁の動機づけを図ります。一方、市外に住む人にとっても、長期的には􏰀移住・定住へとつなげることを視野に入れ、小金井を訪れてみようというきっかけとなり、実際に足を運ぶなかで住んでみたいと思われることを目指します。」

とても大切なことが書かれてあります。「シビックプライド(まちへの愛着)」のためには、小金井市の地域資源は大切にしなければなりません。



▼「小金井市第四次基本構想(後期基本計画)H28年~H32年度」

次に、市の最上位の計画である長期計画の平成28年4月から5年間の後期基本計画からの抜粋です。行政とは計画行政・執行機関と言われるだけあって、計画に立てたことを粛々と執行していくことが求められており、特にこの自治体の最上位計画である長期計画に位置づけられる事柄は非常に重要な意味を持っていると考えてよいと思います。

<第4章 各論>
1.みどりあふれる快適で人にやさしいまち(環境と都市基盤)
この「施策2 みどりの保全」の主な取り組み(1)には「国分寺崖線(はけ)の保全 ・本市の地域特性である国分寺崖線(はけ)について、残存する斜面緑地などを積極的に 保存します。」とある一方、施策16「道路の整備」の主な取り組みとして、「(1)都市計画道路の整備」が位置づけられています。

(1)都市計画道路の整備
「安全で快適な市民生活と円滑な交通を確保するため、交通需要の分散を基本とした道路 整備、計画的な整備と改善を進めます。」
都市計画道路の整備(3・4・1 号線、 線 3・4・3 号線、3・4・8 号、3・4・ 12 号線、3・4・14 号)
※ただし、3・4・1号線の事業範囲は既に示された通りの部分のみ(今回優先道路として位置づけられた箇所は対象外)

ちなみに、この後期基本計画を策定するにあたって市民意向調査(H26年度、n=713)を実施したのですが、その調査をみると定住志向(住み続けたい=38.3%、できれば住み続けたい=37.7%)合計は76%であり、その理由(3つまで選択可)のTOPは「自然環境がよい」(71.1%)となっています。


参照:小金井市HP「市民意向調査/定住志向」


参照:小金井市HP「市民意向調査/定住志向の理由」

これで計算すると、市民の半数以上は小金井市の自然環境がよいことを理由の1つとして挙げ、できる限り住み続けたいと思っていることになるのです。ただし、ひとえに自然環境と言っても具体的にはけ(国分寺崖線)の自然のみを挙げている訳ではないと思いますが、小金井市の自然といえば武蔵野公園及び野川近辺をイメージしている人は多いのではないでしょうか(これは主観です)。

ちなみに、留意しておかねばならないこととして、全46項目ある各分野の満足度調査では、「やや不満」+「不満」の合計ポイントが40%を超えたものは8つあり、都市計画道路も関連していると考えられる「9:利便性にすぐれた道路環境の整備」は、7番目に不満度が高い項目となっています。これも、特に都市計画道路のみを対象にした質問ではないものの、狭隘道路が多い点や幹線道路の整備も含まれているのではないかと考えられます。ここに利便性を求める市民の不満もあることは事実として捉える必要があることは否定できません。


参照:小金井市HP「市民意向調査」
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
<「やや不満」「不満」ポイントが高かった分野>
2:ごみの減量・資源化の取組 やや不満(22.4%)+不満(23.4%)=45.8%
5:まちの顔となる駅周辺の整備 やや不満(24.7%)+不満(22.7%)=47.4%
6:魅力あるまちづくりへの取組 やや不満(27.6%)+不満(17.1%)=44.7%
9:利便性にすぐれた道路環境の整備 やや不満(27.9%)+不満(15.3%)=43.2%
16:魅力ある商業・商店街づくり やや不満(34.9%)+不満(23.3%)=58.2%
43:行財政改革の推進 やや不満(22.2%)+不満(22.9%)=45.1%
45:施設の計画的整備 やや不満(22.3%)+不満(23.4%)=45.7%
46:財政の健全化 やや不満(21.9%)+不満(31.6%)=53.5%

しかし、調査結果報告書の最後のほうに「今後特に優先的に進めていく必要がある取組について」(3つまで回答可)をみると、「9:利便性にすぐれた道路環境の整備」は46項目中24番目(わずか3.8%)となっており、先ほどの満足度調査とかけ合わせて考えると、現状に不満はあれど、ここを優先的に推し進めるほどの重要性はない、と市民のほとんどが考えているともいえます。


参照:小金井市HP「市民意向調査」

ちなみに、評価の高い「水とみどりを守り育む取組」は10番目(9.4%)であり、引き続き自然環境豊かなまちづくりを優先したい方が多いようです。



▼「第2次小金井市環境基本計画」平成27年3月策定
第2次小金井市環境基本計画及び概要版



環境基本計画は、昨年度末に第2次が策定されたばかりです。ちなみに本計画の副題は「~緑・水・生きもの・人・・・わたしたちが心豊かにくらすまち 小金井」です。

P.12の市の交通状況では、「小金井市交通安全計画(H18~H22の推移)」を参照して市内の自動車保有台数の推移について触れています。「平成22(2010)年度末現在での自動車保有 台数は37,174台であり、ほとんどの車種で 近年減少傾向となっていますが、ミニカーについては増加の傾向がみられます」と記載があります。人口が増え続けているにも関わらず自動車保有台数は減る傾向が見て取れるデータです。


参照:小金井市HP「第2次環境基本計画」より抜粋

P.14 自然環境に関する「現況」より抜粋
「多摩川によって作られた国分寺崖線は、野川に沿って東西に延び、流域に貴重な緑と湧水を提 供しています。しかし、近年の宅地化により、樹林地の面積比率が減少していることから、東京 都では同地域を緑地保全地域に指定して、崖線と一体となった樹林地及び湧水の保全を図っています。」

上記に対する「課題」が以下です。

「国分寺崖線の一部は緑地保全地域に指定されており、「水とみどりのネットワーク化」や生物 多様性の確保において貴重な自然環境です。しかしながら、近年の宅地化により、樹林地の面 積比率が減少しているため、崖線と一体となった樹林地及び湧水の保全が必要です。」

さらに以下、基本施策に位置づけられているはけの自然や環境に関連する記述を抜出しました。

P.47  基本施策2.1 緑の保全
取組方針1:永続的でまとまった緑地を保全する
● 小金井市の特徴ある景観を形成している崖線と緑地は、地形と一体で保全して いきます。
<施策内容例>
〇国分寺崖線の緑が面的に維持・確保されるよう努める
〇崖線・緑・湧水が一体で保全が図れるよう努める

基本施策3.4 地下水・湧水生態系の保全
取組方針1:崖線緑地を保全する
● 崖線からの湧水量を確保するために重要な働きをしている、崖線緑地を保全し ていきます。
取組方針2:崖線緑地に育まれた湧水生態系を保全する
● 年間を通じて安定的な水温を保ち、独特な生きものが生息する湧水生態系を、 崖線緑地等と一体的に保全していきます。

P.56  基本施策4.2 生物の多様性の保全
取組方針1:生息空間を保全・創出する
取組方針2:動植物を保護する
● 湧水地の生きもの調査を団体や市民参加で継続し、調査結果を施策や環境教育 に生かします。
<施策内容例>
〇湧水地の生きもの調査を継続する
〇野川調節池の自然再生の取組を充実していく

P.61 基本施策6.1 小金井らしい景観の確保
取組方針1:小金井らしい景観を保全する
● 国分寺崖線や農地、屋敷林などを保全・活用していきます。

大部分の基本施策において、国分寺崖線(はけ)の緑や地下水、生物多様性、景観など、重要なこのはけの自然と文化について「保全」などの記述が見受けられます。それだけ、小金井市の環境を語る時にこの「はけ」は重要な位置づけであり、特徴的な資源であるということがわかります。またそれは、積極的に保全しないといけない、ということを示しているとも取れます。



▼東京都景観計画(2007年4月策定→2016年1月改定)

これは東京都の計画です。P.70の(5)国分寺崖線景観基本軸の箇所では、その景観特性や景観形成、景観形成の方針などが明記されてあります。特に景観形成の方針の「2)優れた自然環境を生かした景観の形成」では、「国分寺崖線には都内の湧水の約1割があり、その湧水は野川の流れとなるなど、多様な水辺をつくっている。さらに、崖線の緑は市街地における貴重な緑であることから、都市計画公園緑地、緑地保全地域などの緑地保全の諸制度との連携を図り、国分寺崖線の斜面緑地や湧水などの自然環境の保全を図る。 また、風致地区などの自然環境を生かしたまちづくりを担保する制度とも連携し、 崖線の緑・湧水・河川・街並みを一体と捉えた景観形成に努める。」とあります。

ここで書かれてある「緑地保全地域」とは、東京都が指定している調布市、三鷹市、小金井市、国分寺市の国分寺崖線上の区域37,195.06平方メートルのことです(平成6年11月15日指定~平成12年2月16日区域最新の変更)。ちなみに、この国分寺崖線とは、都内で6つある景観基本軸の1つなのです。

<景観基本軸>
東京の景観構造の主要な骨格となる地域で、2以上の区市町村にまたがり、東京の景観形成において、特に重要と 考えられる地域」(都HPより)

特に重要なんですよね。




■小金井市の道路事情

さて、小金井市の道路事情に目を向けてみましょう。今回の都市計画道路は以下の理由で選定されたらしいです。

『東西に走る3・4・1号線は「5・交通処理機能の確保」「6・緊急輸送道路の拡充」「8・防火帯の形成」、南北に走る3・4・11号線は「5」「7・避難場所へのアクセス向上」「8」が該当する』
参照:「骨格幹線道路」ではなかった、小金井市の都道計画案(ジャーナリスト/ライター斉藤円華のブログ)より
http://saitoh-madoka.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-5190.html

2本とも「交通処理機能の確保」が選定理由に入っています。

都の資料によると「道路の自動車交通機能に着目して、将来人口や都市構造などを考慮し、都市計画道路に既存の主要道路(国道や都道など)を加えた道路網により将来交通量の推計を行いました。」とありますが、どこにもその推計は掲載されていません(私が探せなかっただけかな、知っている方がいれば教えてください)。


▼交通量を調べてみた

私たち(こがおも)では、交通量が増えているのか、どういう傾向があるのか、今後の推移はどうなっていくのか、を調べるために交通センサスからできる限りデータを拾い、都市計画道路が本当に必要なのかどうか、を交通量の視点で考えてみることにしました。

その件に関しては、伊藤渉さんがfacebookノートで公開しています。ご覧ください(こちらもかなりの長文です)。
https://www.facebook.com/notes/%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E6%B8%89/%E4%BA%A4%E9%80%9A%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%92%E7%9C%BA%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%9F/946142458796696

得た結論としては「交通センサスでは傾向と今後の推計を読み取れない」ということです。観測ポイントが調査ごとに定点になっておらず、観測ポイントが変わることで経年比較が困難となっています。また、その日の天候やイベントの有無など変動要素が加味できず、交通センサスを眺めたところで本都市計画道路に対して明確な白黒の意見を述べられる状態ではないということでした。
調査にあたって広尾の図書館まで何度も脚を伸ばした伊藤さんに感謝いたします。

他に、小金井街道や連雀通りなど主要な道路がどういう状態であるのか、という客観的な指標は存在していません。ざっくりいえば、とてつもなく渋滞が慢性的におこっていて、大問題になっているとはいえない、というくらいでしょうか。


▼将来的な交通関係の推計データ

そこで、小金井市という単位ではなくもう少し大きな傾向として交通関係の推計データを引用します。「自動車保有台数の推移」と「免許保有数の推計」です。


参照:「新たな将来交通需要推計」国交省


「都道府県別にみた乗用車保有台数の推計値」
参照:野村総合研究所プレスリリース「乗用車(除軽)保有は世帯減少を上回り、15年後には9%減少」より抜粋(単位)万台 (注)対象は自家用の乗用車で普通車と小型車。軽自動車を除く



参照:新たな将来交通需要推計「免許保有数の推計」国交省

本格的な人口減少社会を迎え、免許保有者数も減り、自動車保有台数も減ることが予想されています。これらから言えることは、自動車交通量がこれから確実に減っていく、ということです。市は自転車や徒歩、公共交通機関の利用を促しています。確かにバスを走らせるには都市計画道路が整備されたほうが新たなバス路線を生み出すこと繋がるともいえますが。


▼周辺市とのネットワーク

小金井市は7市と接しています。3・4・11号線の南側からは府中市の都市計画道路が北上をしており、東八道路で出会い結ばれることになっています。確かに3・4・11号線が完成すれば、南北の交通がスムーズになります。南北のルートは天文台通りと小金井街道の間にはなく、便利となることは間違いありません。しかし市の北側には小金井公園がまたがり、現段階ではこの小金井公園を超えて北側へのアクセス道路は予定されていません。五日市街道は休日はかなり混雑するとの指摘もあり、今以上に渋滞が増えることも懸念されています。

また、西へ伸びる3・4・1号線は新小金井街道へ接続されることになりますが、その先国分寺市側では都市計画道路は未定です。恐らくこの道路は南側(東八道路)へ抜けるための近道となるのでしょう。連雀通りは確かに少し交通量が減るでしょうが、3・4・11号線か完成すれば新たな車を呼び込み、トータルで交通が増える懸念もあります。

いずれにせよ、3・4・11号線は府中方面と新たなネットワークが繋がることは間違いありません。これはこれで便利になります。そう思っている自動車ユーザーは多いのではないでしょうか。


▼防災の観点から考える

都の資料によると、3・4・11号線は「主要延焼遮断帯」、3・4・1号線は「一般延焼遮断帯」に位置づけられてます。




参照:東京都「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」

確かに特に3.4.1号線のエリアは狭隘な道路も多く、消防車がいち早く現場に駆けつけるためには、幹線道路があったほうがいいでしょう。特に大規模震災が発生した際にはある程度の幅員がないと道路が塞がってしまうという基準も設定されているようです。

主要延焼遮断帯に指定されている3・4・11号線はよくポスティングで歩いていたのでわかりますが、少し西側の南北の道は途中からまとまった住宅開発もあったため幅員が広くなっており、その手前は大きな敷地の家も多いことから決して家屋が密集しているともいえません。現場の状況ももう少し加味してもらいたいとは思います。


▼小金井市の道路は便利か

私は車に乗る機会があまりないのですが、決して便利とはいえないのが実情だと思います。南側へ抜けるには小金井街道や新小金井街道まで出ないと抜けられません。連雀通りは確かに狭いし小金井街道は休日を中心に混みあうこともあります(常時確認していないので、車によく乗る方に教えていただきたいですが)。また、小金井公園近辺の五日市街道は自転車からみてても休日は混み合っていることもよく見受けられます。

しかし、これら幹線道路だけの問題ではなく、ポイントで市内の道路が雑な整備となっている点が最も気になります。事実、私が住んでいる東小金井の富士見通りは武蔵野市との市境が明らかに判別できるくらい、道路の整備状態が異なります。都市計画道路だけの問題ではなく、小金井市としての道路行政について大きな課題があるのではないでしょうか。

▼なぜ、連雀通りの拡幅ではないのか ※2016年2月4日に追記

連雀通りの拡幅を求める声があります。普通に考えれば今ない所に道路を通すよりも、今ある道路の拡幅で済ますことができれば、自然環境を壊すことなく地形にあった道路整備ができるのではないかと思います。議事録での市の答弁によると、平成19年~20年に地元で連雀通りの狭隘道路について考える会を立ち上げ、一定の安全対策をしたものの、拡幅には至らなかったとされています。その理由はこの連雀通りは都市計画道路と位置づけられていないため、「現道の沿道に、既に鉄筋コンクリート造りのような固い建物が建築されております。このような堅固な建物が建っている沿道に対して、新たにそこを拡幅するため に用地買収を行うということは、非常に難しい状況」(都市整備部長/2013年12月5日議会での発言)という見解のようです。都施行の今回の2本の道路と違って都市計画道路に位置づけられていないため市の事業になることの負担もあるのでしょうか。



■「はけ」が小金井市民にとってどういうものか(あくまで主観です)

▼これが都心から30分のところなのか、という驚き



私が小金井市に住んで8年半になりますが、当初何も分からずまま当時東町5丁目のアパートを借りました。住んで分かったのは、そこから徒歩5分くらいで二枚橋の坂があり、眼下には武蔵野公園と野川公園が広がっており、都心からわずか30分の立地でこんな自然が広がっているのかと驚くともに、この自然環境いっぱいのまちで子育てがしたいと思ったものです。



野川沿いに少し西に歩き、少し離れたところから眺める西武多摩川線が走る野川と緑いっぱいの景色がとても気に入っています。こんな風景、都心から近い立地でどこにあるのでしょうか。




▼市民にとっての癒やしの空間と景観

早朝から武蔵野公園には散歩やジョギング、体操をする市民がたくさんいらっしゃいます。天気のいい休日にはこの自然の風景を味わいながらお弁当を広げているご家族も多く見かけました。そう、ここは車が走っていないのでとても落ち着く都会のオアシスなのです。少なくとも私はそのように感じていました。ここがあるから、小金井市に住んでいる、という人も多いのではないかと思います。私もココが気に入って住み続けてきました。



▼小金井市が誇れる地域資源のひとつ

小金井市にはスタジオジブリがあります。そのジブリ作品には小金井市にちなんだ風景や地名が時折盛り込まれています。借りぐらしのアリエッティには、はけの森美術館南側の「はけの小径」(と思しき風景)が出てきます。今回の3・4・1号線ではそこの一部も対象になっているようです。また小金井市は市域の大部分が住宅街であり、ずっと「小金井市にはコレというものがないよね」と言われてきました。しかし、市民の憩いの場であり外国人を含む来外者に気に入ってもらえるこのはけの自然が小金井市の誇りの1つではないかと思っています。


©スタジオジブリ

▼はけの自然と文化をまもる会について

昨年12月に都が発表した「今後10年で優先的に整備する都市計画道路」として小金井市で指定されたこの2本の道路が明らかになってから、市民の間で大きな動きが胎動しました。はけを分断し、その文化と自然を壊してしまう都市計画道路について見直しをみんなで求めていこう、という主旨で活動されている「はけの自然と文化をまもる会」です。現地を歩くイベントや、小平市など他市の方を招いての勉強会など、精力的に活動されています。


引用:はけの自然と文化をまもる会fasebookより


私も1月に開催されたワークショップに子ども2人を連れて参加させて頂きました。ワッペンをつくってこの運動を広げていこうよ、というものですが、若い人を中心に多くの参加者で賑わっていました。



そしてパブコメ提出を呼びかけられています。


引用:はけの自然と文化をまもる会fasebookより


とても重要な活動です。

なぜなら、都も市も説明会も開かず、12月に発表して2月10日にパブコメが締め切られ、3月末には計画決定してしまうというのですから、なんせ時間がなさすぎるのです。

そんな中、日々活動に尽力されている、関わっておられる皆さんには頭が下がります。私は12月の選挙後、自身の生活の立て直しと体調不良もあり充分にお手伝いできず申し訳なく思っております。そして、心から感謝いたします、ありがとうございます。



■私たちのまちのこと、議論が足りてる?

▼この都市計画道路の決定過程

冒頭に述べたように、この道路は50年以上前に線が引かれています。そして12月に急遽(市民からすれば急遽以外の何者でもない)「この先10年で優先的に整備することになった」と通告されました。その過程では、市の都市整備部都市計画課と協議(少なくとも何らかのコミュニケーション)があったようですが、その詳細は明らかにされていません。しかし、都のオープンハウスに参加して都職員に話を聴いた市民からの報告を聴く限り「市とも協議してきた」ということですので、市もこの優先して整備する道路の指定には関わっていたことになります。確かに市は3・4・11号線の南進は都市計画マスタープランでも整備の意向は示しています。

市は市民と対話し、説明しなければなりません。

「都が決めたことだから(私たち市のほうでは何ともいえないんです)」と言えるはずがありません。市は少なくとも3・4・11号線の整備を都に働きかけたことは都市計画マスタープランおよび過去の答弁をみれば明らかなのですから。

そしてそれをなくして事業決定されるようなことがなきよう、期待します。


▼事業化決定後の流れ

2月10日のパブリックコメントを受け、都で内容を吟味したうえで、3月末までにこの方針を確定させるようです。 ここで盛り込まれたものは=事業決定という位置づけになります。恐らく、まずは測量から入っていくことが想定されていますが、この優先的整備の中での優先度などはまだ判りません。


▼反対意見のみがクローズアップされる現状

こういう開発案件は、どうしてもいわゆる”反対派”の意見のみが表出されることが多くなります。そりゃそうかも知れません。反対する人が熱意を持って主張している中に、賛成する人がわざわざ軋轢をうむ覚悟で表に出てきませんよね。そういう人たちは黙っていることが得策なのかもしれません。ただ、そういう環境をつくっているのは反対する側の姿勢も一因かも知れない、という見方もあります。しかし、是非とも賛成する人の意見も聴きたいのです(そもそも、私の周りには反対する人がほとんどなのでは、と錯覚してしまいますが)。


▼私たちは、まだ話し合っていない
 
その“賛成する人”の意見が聴こえないというのもありますが、僕らはまだ充分この都市計画道路について、賛成意見と反対意見を戦わせるような機会を持てていません。さらに、これまで様々な観点でこの短期間で調査してきましたが、わからないことが多すぎるのです。

そしてそれは、パブリックコメントを出せば回答するよ、ということだけで解決できる、いや、解決していい問題ではないと思っています。

なぜなら、この問題について、これまでと今の速度差があり過ぎて、行政のスピードについていけていないからです。

先ほど触れたように、50年も前に線を引いてこの間ずっと動いていなかった。その気配がなかった。確かに、平成24年策定の都市計画マスタープランで事業化が示唆されていたけども、ここまで塩漬けになって「今さら?」という感想を持つ方も多いのではないでしょうか。どこかに「現実的ではないよ」と思っていた節がある、または、そう思わされていた節があるのではないでしょうか。そして、突然12月に指定され、たった2ヶ月後にパブリックコメントを締め切り、3月末には事業決定してしまうという、動き出したと思ったら超短期間で畳み掛けるように、という状況です。

50年前(私は生まれてないので当時のことをリアルには知りませんが)とは状況は変わってしまい、50年前に50年後を見据えてみえていたものと、50年経って今50年後にみえているものとが違い過ぎるという、前提の大きすぎるギャップについて、私たちは議論しなければならないのではないでしょうか。

そういう観点も含め、これらの都市計画道路について、市民全体でメリット&デメリットをわがまちとして検証することが必要だと考えています。なぜ市民「全体」なのかというと、はけの自然と景観を変えることは、小金井市という自治体にとって他市に優位性を持つ最大の地域資源の1つを弱くすることにも繋がりかねない、ということです。それは、小金井市の長期計画や環境基本計画、そして総合戦略とも部分的に齟齬が出てしまっているという懸念からです。

ただし、都市計画道路の線を引かれた土地に住む人々で「道路建設=立ち退きを待ち続けてきた」人もいるということを、私たちは忘れてはなりません。


▼参考:ポートランドの「暮らしやすさ」のまちづくり ※2016年2月5日加筆

世田谷区長の保坂展人さんがblogで書いてあるのを読んでとても興味を持ちました。
ポートランドは産業中心で効率優先の都市とはひと味違う、「暮しやすさ」優先のまちをめざすことを選択肢。住民参加を駆使し、高速道路を撤去させ、路面電車や軽鉄道を巧みに利用して、自転車利用を活発化させ、徒歩20分圏で暮らすことの出来るまちを実現させているようです。今度2月18日には下北沢でイベントもあるようなので申し込んでみました。仕事あがりで少し遅れるかもですが、学んできます。

ポートランドに学ぶまちづくり~「暮らしやすさ」の都市戦略(2月18日)
◎プログラム(予定)
1 訪問報告:ポートランドに学ぶ都市戦略
  小林正美さん(明治大学教授)
2 基調報告:世田谷区でめざす住民自治のまちづくり
  保坂のぶと(世田谷区長)
3 パネルディスカッション:「暮らしやすさ」の都市戦略を語ろう
  モデレーター:小林正美さん(明治大学教授)
  パネリスト: 宮台真司さん(社会学者)
         松尾貴史さん(俳優)
         藤村龍至さん(建築家)
         保坂のぶと(世田谷区長)
https://www.facebook.com/events/558714827624764/

※以下、保坂区長の関連blogです。こちらもお読みください。
『ポートランドという魅力、「暮らしやすさ」の都市戦略』
『「ポートランドという智恵」を東京で実現するには』



■提案

交通量の今後の推計や市と都の協議のあり方、そして都市計画道路として位置づけられてから50年以上も経過し状況も変わったと言って過言ではない中で、将来のまちのあり方を左右する決定にあたって、そこに住む市民として「賛成」も「反対」も述べるための情報と議論が圧倒的に不足していると思います。この都市計画道路2本共に小金井市の最大の地域資源である「はけ」の自然と文化と景観を大きく変えてしまうにも関わらず、住民自治の観点から市民の間での議論の時間がなさすぎることは、納得感がありません。

ゆえに、この2本の都市計画道路を軸に、小金井市のまちのあり方について話し合うことを踏まえ、そこからこの重要事項を決定すべきであると考えます。

昨年12月の市長選挙で新市長が誕生し、小金井市は「対話」を重んじる市政へ転換したと聴いています。新市長は、就任挨拶でその事を述べられたとともに、市報にも掲載され周知され、とても喜ばしいこと、いいと思っています。

しっかりと広く市民と「対話」を重ねた上で東京都がこの事業化の是非について決定する流れになるよう、都政とのパイプを充分に活かして、小金井市として積極的に主張し、東京都へ働きかけることを期待します。

長文、失礼いたしました。




寅、お前が好きやった野川の景色、変わるかもしれへんで。寅はどう思う?


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