「当たり前の経営 常識を覆したSCSKのマネジメント」(野田稔著/ダイヤモンド社)を読了しました。
野田稔さんの本は「組織論再入門」以来ですが、今回は座学的な内容ではなく、「働き方革命」を実践することでワーク・ライフ・バランスを正し生産性がアップ→増収増益になった、というSCSKという企業の実例を挙げているので読みやすかったです。
SCSKはITベンダーゆえに、社員が徹夜や休日出勤当たり前という業界ですが、やり方が問題だったわけでワーク・ライフ・バランスを正し生産性をアップさせることは可能なんですよね。
私は自治体の経営に携わっていますが(チェック機関として)、この本にも書かれてあるように、
どんな組織でも最大の経営資源は「人」なんですよね。
小金井市は2年前の決算審査で(私も指摘したことですが)、職員の残業時間が近隣他市と比較しても多いことが判明しました。特に、お隣の国分寺市さんと比較しても大幅に多かったんです。このことに端を発し、小金井市では残業時間の削減を目指してきました。平成24年度決算では11万時間を超えていた総残業時間をひとまず「10万時間にする」という目標設定です(この目標設定は市長発案のもの)。
なぜ、10万時間なのか、その根拠は結局よく判りませんでした(減らせ、という議会の意思がある以上、減らすという努力は認めますが、哲学がないと感じています)。度々目指す方向性について質疑をしてきましたが、「減らす」ことのみ主眼を置いているため、そこにどういう問題が起きているか、ということは具体的には述べられてなかった訳です。
最も残念だったのは市長は「減らせ」というだけで完全に現場任せ。言うだけでは減らないどころか、サービス残業が増えるばかりになる、という指摘もごもっともだと思います(そこの実態はなかなか調査できないのですが)。
なお、平成26年度もこの10万時間を果たせず、数千時間オーバーしてしたことが先般の6月議会の中で発表されています。
どういう組織にしていきたいのか。どういう組織をつくっていくべきなのか。
その想いがあってこその、「働き方革命」ではないでしょうか。行き当たりばったりではどんどん組織はおかしくなっていくのだと感じています。
ぜひ、市長及び管理職にもこの本を読んで頂きたいですね。
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