東センターの委託問題は、稲葉市政の無計画行政&非効率行政の典型的な事例。 | いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

いろいろが、彩るまち。小金井市長 白井亨(元小金井市議会議員)blog    <※2022年11月2日までは市議会議員としての記事です>

第一子誕生をキッカケに地域に目を向け色んな「縁」のおかげで地域に生きる“日常の豊かさ”を実感。2013年市議会議員初当選。2017年市議選でトップ当選、再び市政の最前線へ。2022年11月27日市長選挙75%の得票、当選!市長となる。

6月4日の私の一般質問のレビュー、第3弾です。長文となります、ご注意ください。



一般質問の3つ目は以下のことを取り上げました。
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3. なぜ、決議を無視してまで東センターの委託を急ぐのか
(1)決議から契約までの一連のプロセスについて
(2)小金井市の公民館と図書館の将来ビジョンは
(3)8月に委託しなければならない合理的な理由は
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東センターの委託の件です。これは以前もblogで取り上げてきましたが、3月の定例会にて、現状貫井北センターを委託しているNPO法人へ、東センターをも8月から委託するという予算に対して、予算特別委員会の審査では「2つ目の委託を受けることができる状況ではない」ということがわかりました。ゆえに、市議会全会一致で条件をつけて執行停止の付帯決議が可決された訳です。「8月からの委託が駄目だよ」と議会意志を提示したにも関わらず、市は予定通り進めようとしています。

<過去のこの件のblog>
新年度予算が居眠りで危うく否決に?最後の最後まで気が抜けない小金井市議会~定例会最終日の出来事
付帯決議でも東センターの8月からの委託の方針は変わっていない?~公民館運営審議会を傍聴して

▼決議(3月25日)の翌日(3月26日)に「8月を目処として」

決議の翌日午前中に公民館運営審議会が開催されていたので、私はそれを傍聴に行きました。そこで耳を疑ったのは、公民館長が「8月を目処として(委託したい)」と述べられていたことです。



翌日ですよ、翌日。

そこに全く議会の全会一致(全議員一致)の決議に対して、真摯に対応しようという姿勢が見えませんでした。確かに、付けた条件に対しては形式的にでもクリアしようとこの間動いてきたことはわかります。

残念ながらこの一般質問では時間切れでほとんど質疑らしい質疑ができませんでした。10分弱の時間はあったものの、結局市は(後から聴いたのですが)まだ庁議にかけていないため、委託に関する明確な答弁が言えない、ということだったとか。なんじゃそりゃ、先にそれを言ってもらえれば、それに触れない別の質疑に切り替えたのに・・・。これについては後日市長からもお詫びの言葉がありましたが・・・(怒)

9日(火)は朝から庁議があるため、ここにこの問題の要点を書いておきます。


▼職員採用の支援をするらしい

公民館運営審議会の答申には「留意事項の5:十分な運営能力を持った主体が長期的に確保されること」とあります。いわば、この点もしっかり留意されないといけない訳です。「十分な運営能力」を持っているとは私は決して思えません。なぜなら、8月からの委託に際して職員の採用を市は「全面的にバックアップする」(理事からの情報)という申し出があったようです。(注意:議会では「全面的」という言葉は出ておりませんが、支援することは認めています)

▼『業務が遅漏なく行われることが確認でき』ていない

議会からの決議の条件の一つに、『委託先であるNPO法人との合意が得られ、業務が遅漏なく行われることが確認でき』とあります。仮に何とか合意を取り付けたとしても(実際、NPO法人側は委託を請ける旨を決定しました)、あくまで『業務が遅漏なく行われることが確認でき』ということが条件です。職員採用を市が全面的にバックアップして、市任せともいえます。これが「遅漏なく行われることが確認でき」という状態なんですか?ということです。
(※NPOを非難している訳ではなく、こういう状態であることは、市がその条件をクリアしていないことを述べたいのです)

▼「市が支援する」ことの定義も曖昧なまま

3月の予算審査時にも質疑をしたもののロクに回答ができなかったのですが、「市が支援するNPO」についての定義が全く明確ではありません。要するに、いつまで支援するのか(期限)、どういう条件が支援先として当てはまるのか(対象・条件)、何をもって支援先ではなくなるのか(目標)、が全て曖昧であり、明文化されていないことです。

▼他のNPOに対して不公平

地域で活躍し担って頂いている他のNPOが「ウチも職員はいないけど委託だけ先に決めてその職員採用を市がエンコで手配して欲しい」と言ったらどうするのでしょうか。

「市が支援する先ではないから駄目」とでも回答するのでしょうか。では、「なら、ウチも支援して欲しいのだがどういう条件なら市が支援してくれるのか」と聴かれたらどう答えるのでしょうか。

先ほどから書いているように、

市が「支援する」ための定義も曖昧なままこの委託を進めることになっているため、不公平が起こっていることになります。

これは、市で様々活動されている団体に対して失礼だと思うんです。私が仮にNPOの人間だったらこれには多大な不満を覚えざるを得ないでしょう。定義が明確なまま優遇されているという状況になるのですから。

▼そもそも、将来的なビジョンがない時点で計画的行政ではない

この2年間議員として市の行政執行をみてきて、「計画行政の破綻」を主張しその改善を訴えてきました。公民館にしても図書館にしても、将来的なビジョンがないのです。小金井市の公民館・図書館を「こういう風にするんだ」という絵が描けてません。それが公民館運営審議会の答申でも「問題事項の1:公民館運営の中長期計画の立案」として提示されているのですが、結局それを描くことを後回しにして、民間委託=行革の実績づくり、に奔走していることになります。

まずは将来像を示して、それを実現するために手段や運営主体を変える、この部分で民間活力を活かす、ということが適切な行政執行ではないでしょうか。

▼公民館本館の行き先も決まらずまま

公民館本館が入居している福祉会館は、3月定例会にてその耐震性が疑問視され(というか、大規模地震が発生した際に倒壊の危険性が高いと指摘されています)、今週中には市から正式に仮移転の方針が示されることになると思われます。ただ、当の公民館本館の行き場が決まっておりません。退去を迫られるとなると、事務機能のみをどこかへ移転して、貸し館機能は一旦なくなることが想定されています(別で代用という扱いでしょうけど)。この耐震診断はちょうど4年前に結果が出ていたにも関わらず紆余曲折を経て今更の使用中止となるわけですが、仮にこうならなくても、3月の予算審査段階では新しい福祉会館建設が公民館機能を入れずに3年後のOPENをめざして取り組まれる手はずでしたので、遅かれ早かれということになります。

本来であれば「近い未来に行き場のなくなる公民館本館をどうするか?」の議論が先ではないでしょうか?


▼5館構想が6館になったまま

小金井市には現在6つの公民館があることになります。①本館、②東分館(東センター内)、③緑分館(緑センター内)、④貫井南分館(貫井南センター内)、⑤本町分館、⑥貫井北分館(きたまちセンター内)、の6つです。元々小金井市には「5館構想」というものが言われ、⑤は⑥が完成するまでのもの、ということも示されていたようです。ただ、現段階で6つのままとなっています。先ほどの公民館本館の行き先の件もそうですが、5館と掲げられたことが6館になっていることへの整理もなされていません。


▼優先順位のジャッジクオリティが低く、パフォーマンスを低下させている

これまで色々と書いてきましたが、将来のビジョンが(長期的な計画)がなく、取り組んでもいません。切羽詰まっている本館の行き場も決まらず、5館構想の整理もなされていません(ちなみに、行革大綱に書かれてある公民館の有料化の検討も進んでいませんけどね)。結局全てが「今後の公民館の将来ビジョン」に繋がるのですが、先にこれらを整理して方向性を示すことが最も優先して取り組むことではないでしょうか。そのやるべきことを実行せずに、運営主体だけを変えて「行革だ」というのは、トータルでみて行政執行のパフォーマンスが低いと誰でもわかります。

今回の東センターの委託問題で、関係職員は多大な労力をそこに費やしています。利用者への対応、NPOへの対応、議会対応、これらに甚大ではない時間をかけています。

いま、優先順位の低い東センターの委託に労力をかけるべきでしょうか?いや、何よりも先に今後の公民館のあり方に急いで取り組まないといけないでしょう。

こちらの議会側としても、もっと優先順位の高い事案があるにも関わらず、そこに労力を費やすことができず、パフォーマンスが削がれているといえます。私も今回一般質問でも取り上げましたが、本当ならこんなこと(と言っては失礼ですが)に時間をかけたくないのです。子育て関係、高齢者福祉、財政問題、新庁舎問題、公共施設再配置問題、など数え上げればキリがないくらい、重要度と緊急度が高い案件が多いのです。

それでも、今回あえて一般質問で取り上げました。残念ながら時間切れで効果的な質疑ができたとは言えませんが・・・(続きは厚生文教委員会でやります)。

緊急でもなく優先度の低いことに職員のパフォーマンスを費やし、NPOを含めた他の団体への市へのロイヤリティーをさげるような、こんな仕事の仕方をする文化は、小金井市全体のためをとっても良くない、と思うのです。

8月から委託しないといけない理由は見当たりません。

私は東センターの委託そのものには反対ではありません。現段階においては、貫井北センターの運営も職員の対応も良いと思っています。ただ、それでもプロセスが重要だと認識しています。そして、ずっと2年間言い続けていますが、こういう筋が通らない進め方が横行することは、市およびあらゆる関係者にとってマイナスが大きいと思うのです。こういう文化だから、小手先の対応のみでごまかし、あらゆる問題の核心部分が進んでいない行政執行になっている点を「変えないといけない」と思っているだけです。

皆さんは、どのようにお感じでしょうか。



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