~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -33ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】
作曲:ベートーヴェン
曲名:交響曲第6番ヘ長調 op68 「田園」 (41:47)

演奏:ケーゲル指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1983年
CD:10 004(レーベル:Capriccio)

【曲に関して】
ベートーヴェンが標題を自らつけた、数少ない楽曲の一つが、交響曲第6番ですが、この田園風景はどこの景色というわけではなくて、田園に着いた愉快な気分から始まって、夕景までの一日の心情の移り変わりを表現した曲と語られています。実際聴いてみると情景描写に思えるところもありますが、こう言ったコンセプトがこの曲を普遍的な名曲にしているとも思えます。

【演奏についての感想】

以前に第5番、第8番を聴いたケーゲルの全集ですが、田園のCDを入手したので聴いてみました。スウィトナーや、ブロムシュテットの全集と同じ時期に録音されたものです。前回はパワーのある演奏が聴けたので、今回も期待して聴いてみます。

 

第一楽章が始まりました。これは、快速でどんどん進む感じです。あまりタメも無いようです。素朴でザッハリヒカイトな演奏という風に感じました。強弱のアクセントはありますが、粘りがないので、ずいぶんあっさり聞こえます。そして、第二楽章へ。テンポは、普通に落ち着いてきたと思いますが、あっさりした感じは変わりません。演奏も、録音も素朴だなぁと思います。

 

さて、これといってどうということもないまま後半に入ります。色々な楽器のソロで繋がっていくところは見事で、一つ一つの楽器の音が渋く聴こえます。当時よく言われた、東独の燻銀の音というやつでしょうか?生真面目な演奏という感じもします。第四楽章の嵐の場面に入ると、一気におどろおどろしいくらい迫力満点の音がし始めます。ずしりと響く音で随分迫力があります。この楽章は、突如出現したような、素晴らしい表現だと思いました。最終楽章も、テンポはあまり動かしませんが、嵐の余韻を持ったまま聴いている感じです。ラストはこの演奏なりにということかもしれませんが、堂々と盛り上がりました。

 

【録音について】

あまりはっきりはしない録音で、自然と言えば自然。音が小さめの素朴な録音だと思います。

 

【まとめ】

なんとも言えない演奏でしたが、素朴な感じで進む中で、突如嵐が凄まじく吹き荒れるという、ちょっと変わった感じを受けました。ケーゲルを猟奇的という人は、こういうことを言っているんですかね。いや、それも違うような…。また、この全集の別のCDを見つけたら、聴いてみたいと思います。

 

 

購入:2023/10/02、鑑賞:2023/10/03

ショスタコーヴィチの時代 ⑫

前回、バレエ音楽「ボルト」全曲版について書きましたので、今回は続けて「ボルト」の組曲を含むCDを鑑賞してみました。「ボルト」の組曲には、1931年版の組曲(8曲で曲の個々のタイトルがバレエと同じ)と、1934年版の組曲(6曲で、個々のタイトルはバレエを離れて一般化されている)の二つがあり、曲の一部は内容も変更されているとのことです。今回聴くのは1934年版の組曲「ボルト」の方になります。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:喜歌劇「モスクワのチェリョムーシキ」op105 組曲(Cornall編曲) (19:57)

   組曲「ボルト」op27a(1934版)(21:17)

   映画音楽「馬あぶ」op97 抜粋 (31:29)

演奏:シャイー指揮 フィラデルフィア管弦楽団

録音:1995年12月、ニュージャージー Collingswood, Giandomenico Studios

CD:452 597-2(レーベル:DECCA)

 

【曲と演奏について】

The Dance Albumと題されたアルバムで、ショスタコーヴィチのオペレッタ・バレエ音楽・映画音楽からの組曲や抜粋版で構成された楽しいCDです。シャイーはこういったショスタコーヴィチの娯楽系音楽の曲集のCDを何枚か録音していますね。ショスタコーヴィチの音楽の貴重な録音群だと思います。

 

このCDは、まずは、オペレッタの「モスクワのチェリョムーシキ」のAndrew Cornall編による組曲からスタートします。この作品は、1932年に作曲され、のちにプラウダ批判により上演禁止となった「ムチェンスク郡のマクベス夫人」以来のオペラ作品で、1957年に完成された風刺オペレッタです。内容は、住宅事情の厳しいモスクワで、新しい団地を取得しようとする様々なカップルの闘争と、住宅地をわがものにしようと企む汚職官僚の敗北が描かれており、社会風刺度は当時の許容できる範囲に保たれているとのこと。音楽は、パロディやウィットに満ちており、民謡や歌謡曲そしてボルトなどの初期作品への暗示も含まれています。また多くのダンスナンバーは、当時のアメリカのミュージカルと比較すると、フルオーケストラを最大限に活用した娯楽音楽という形が際立つところです。

 

曲は、モスクワを車で巡り住宅街に行く、輝かしい第一曲で始まります。そして、登場人物たちの競演となり、ワルツは木管の物憂い音色が素敵だなと思っていると、激しく盛り上がりまた戻ってきたりします。ショスタコーヴィチは、こういったポピュラーで娯楽的な音楽をたくさん作曲しています。大変楽しい曲ばかりで、楽器の扱いも大変面白いと思います。この演奏を聴くと、ゆっくりしたダンスも、フィラデルフィアの大オーケストラが分厚い音で演奏していて迫力があります。また、ショスタコーヴィチは、シリアスな大作の間にこういった軽妙な曲を挟んで作曲していっているのも、興味深いところです。

 

2曲目は今回お目当ての「ボルト」の1934年版の組曲です。先週に続けての鑑賞。まずは前奏曲から始まります。1934年版なので6曲構成です。最初の曲はどうみても踊れなさそうなので、ダンス音楽と言えないでしょうけど、この前奏曲は面白い曲だと思います。以降は、古い組曲版は、バレエのシナリオ通りの名前になっていましたが、1934年版は、ポルカとか、タンゴとか、舞曲名になっています。次のポルカは、官僚の踊り。先週の記事の動画で出したやつです。ショスタコーヴィチらしい面白い曲で、これは名曲だと思います。組曲を聴きながら、先週聴いた全曲版の雰囲気を思い出しつつ、ボルトの充実した音楽を楽しみました。シャイーとフィラデルフィアの演奏は、メリハリもあって、迫力がありました。

 

 

最後の10曲は、映画音楽「馬あぶ」からの抜粋になります。この音楽やたくさんのショスタコーヴィチの映画音楽については、また書くこともあると思いますので、内容は省略しますが、映画は1955年の作品で、歴史ドラマ映画。イタリアの愛国者のレジスタンスの物語です。演奏として続けて聴くと、断片的な部分の集合体になってまとまりがない感じもしますが、一つ一つの曲は楽しいものや美しいものがあり、中には転用されたよく知られたメロディも出てきます。

 

喜歌劇、バレエ、映画音楽とシリアスなショスタコーヴィチとはまた違った世界を楽しめるCDでした。

 

【録音】

1990年代のDECCAの録音。問題なく美しい録音です。

 

【まとめ】

今回は、ボルトの組曲版を聴くのが目的で、op27aに進みました。1931年のショスタコーヴィチです。この時期は純音楽系の作品は極めて少ないので、順番に聴いていくと舞台音楽系の音楽を極めていくこととなります。

 

購入:不明、鑑賞:2023/10/09(再聴)

【CDについて】

作曲:バルトーク

曲名:中国の不思議な役人 (31:41)

   弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽 (30.24)

演奏:ブーレーズ指揮 シカゴ交響楽団

録音:1994年12月、シカゴ Orchestra Hall

CD:447 747-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

 弦楽器打楽器チェレスタのための音楽は、旧バーゼル室内管弦楽団を創設したザッハーの委嘱により作曲され、ザッハー指揮によって同楽団で初演されました。弦楽合奏に数々の打楽器などが加わるこの曲は、バルトークの代表的な曲のヒトつとなっています。澄み切って、かつ不思議な雰囲気を持つ曲であり、「シャイニング」に大変効果的に使われていたのが印象的でした。

 

【演奏について】

ちょっと前、弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽を聴きたくなったのでいろいろ探していた時、このCDを持って無かったことに気づきました。ずーっとライナーの演奏にお世話になっていたので、今度はブーレーズの一連のバルトークの録音でも聴いてみたいと思ったのです。その後、無事ゲットしましたが、その時はすっかり冷めていて、今日やっと聴く気になったという次第です。

 

前半は、中国の不思議な役人です。このブログを始めてから、NYPとの旧盤を一度聴いています。今回は、シカゴ交響楽団とのデジタル録音で、音質的にはかなりパワーアップして帰ってきたという印象です。冒頭の街の喧騒の場面のインパクトも強かったです。演奏は、音も厚くダイナミックになった気がしました。音楽自体の表現の幅が増した分、この曲がわかりやすくなった感じがします。通俗的な内容を持つ劇と密接に結びついた音楽なので、ストーリーを追い、想像しながら聴くと面白いと思います。

 

そして、弦楽器打楽器とチェレスタのための音楽に入ります。モヤモヤとした冒頭部分から始まりますが、思っていた以上のモヤモヤ感でした。そして、そのまま徐々に盛り上がっていきますが、意外に静かでおとなしく感じます。美しい弦楽器の音が続きますが、ちょっと今までのイメージと違ったかもしれません。

第二楽章も綺麗ですが、何かおとなしいですね。もっと尖った曲のイメージがあったので、年がたち時代も変わり、私も20世紀の音楽に慣れたのかなと思いました。ブーレーズの演奏が、すごく美しいものに聴こえてしまいます。これが本来のこの音楽の姿なのでしょうか?尖らない、穏やかなブーレーズを聴いています。第三楽章も同様に、弦の美しいアンサンブルが、じわじわ広がっていきます。透明度が高く、一音一音を無駄がなく、じっくり聴かせる演奏で、緊張感もかなり高いです。第四楽章に入っても、やはり角がとれた感じで進んでいきました。

 

私は、これを聴きつつ、従来持っていたこの曲の演奏のイメージとは、かなり違うものを感じました。大変美しく、緊張感もある演奏だと思いますし、この曲が、柔らかく、メロディアスでロマンティックな音楽に聴こえたことに少々衝撃を受けつつ、演奏表現というものの不思議さを感じたのでした。

 

 

 

 

【録音について】

素晴らしい録音でした。シカゴ交響楽団の音が残響豊かで、かつ細部までクリアに聴こえます。

 

【まとめ】

 ブーレーズというと、研ぎ澄まされた演奏というイメージが強かったのですが、これは、研ぎ澄まされた緊張感は保ちつつ、穏やかなの美の世界を追求したような感じがしました。この時点のブーレーズの成果として、記憶したいと思います。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/10/01

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー⑦~

第7回:カルロ・マリア・ジュリーニ

今回は、ジュリーニを選びました。ウィーンフィルと録音した第7番から第9番の3曲が、比較的知られているのではないかと思います。私は、ジュリーニの芸風ははっきりとはわかっていないのですが、このあたりの演奏は評判は悪くないと思いますので、改めてじっくり聴いてみたいと思います。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第7番変ホ長調 ノヴァーク版 (67:36)

演奏:ジュリーニ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1986年6月、ウィーン Musikverein Saal
CD:F35G-20139(レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【曲について】

この曲は、ブルックナーによる大きな改訂は行われていないので、初版・ハース版・ノヴァーク版もほぼ同じようなものとなっています。曲の成立の最終段階に於いての細かな調整の部分で、研究者それぞれの考え方から、どういった要素を採用したかという違いだと思われます。一番話題に上るのは、第二楽章の打楽器に関することですね。

 

【演奏について】

こうやっていろいろな指揮者を聴いていくと、どうしても曲が偏っていく気がします。私は、ジュリーニにあまり馴染みがなくて、そういう意味でもお馴染みの曲で聴くのがいいのかな?と思って、再び第7番にしました。


さて、聴いてみます。第7番の冒頭の序奏、いつ聴いてもいいです。勿論ゆっくりとスタートして最初の盛り上がりへ。一気にではなくて、徐々に盛り上がっていく感じがちょっと新鮮でした。ジュリーニの演奏は、時折裏の旋律も見せながら、一定のテンポで進んでいきます。ニュアンスは強くなく、真摯で安心して聴けるブルックナーでした。第二楽章は少し遅めのテンポで、ゆったりというか隅々まで行き届いた、じっくりと進めていく演奏といった方がいいでしょうか。そんな演奏で進みつつ、盛り上がるところは、確実にがっしりと盛り上がるところは素晴らしいです。メリハリはきっちり付いていて、それが鋭角的に、細かくではなく、大きなレンジで緩やかについているところが聴かせているところだと思います。


第三楽章以降も丁寧な演奏が続きました。細部までクリアに示されています。テンポはあまり動かさないようですが、心地よいテンポで進むので、弛緩することはありません。奇を衒わず丁寧に構築された結果、素晴らしい音楽が展開しているのだと思いました。

 

【録音について】

細かいところまでクリアに捉えられて、程よい残響のなかなかいい録音です。全体のバランスもいいと思いました。

 

【まとめ】

ジュリーニの演奏を聴くのも久しぶりと思いますが、しっかり構築され、しかも大袈裟にならずしなやかに、と言った感じで、大変聞きやすい演奏だったと思いました。今まで私はあまり馴染みがなかったので、ジュリーニはもっと聴いてみたい指揮者です。


購入:不明、鑑賞:2023/10/04(再聴)

最近リリースされた新譜から ⑨

今回は、ブルックナーの新録音を聴いてみたいと思いました。シャニについてはお恥ずかしながら、どうな演奏をするのか知識がありませんし、この演奏に関しても全く白紙の状態で聴くので、ちょっと楽しみですが、心して聴きます。イスラエルの指揮者でメータに師事し、ロッテルダムフィルでご活躍されているとの事です。

【CDについて】

作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第7番ホ長調 (ノヴァーク版) (63:04)

演奏:シャニ指揮 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2022年6月13-16日、ロッテルダム De Doelen

CD:5419.761966 (レーベル:Warner、販売:ワーナーミュージックジャパン)

 

【曲について】

ブルックナーで最も人気のある曲は、4番と7番ではないかと思います。ある時、ブルックナーをよく聴いていると言われていた方に、最近私もよくブルックナーを聴いています。と話したところ、「何番が一番好き?」と聞かれました。ある意味真面目に答えるには難しい質問で、7番が頭をよぎりましたが、ちょっと見栄を張りたい私としては、「お子ちゃまだねぇ」と思われそうなので、7番とは答えませんでした。何番と答えたかは、またの機会に…。でも、もしかしたら、総合的にみて7番が一番好きかもしれません。

 

【演奏についての感想】

少し前に出ていたブルックナーの新録音です。ブルックナーはいつも往年の演奏ばかり聴いている気がするので、新しい録音はどういった感じだろうか?と興味津々で聴いてみました。どんな演奏でもスッと聴けてしまう7番です

 

ステレオの前に座って再生ボタン!滑らかにゆったりと入っていきます。ゆっくりなので細かな間合いの表現も目立つのですが、全体的には好ましい印象です。抑制的に進んでいる感じでテンポの動きも無く、かなり正攻法な演奏だと思いました。これだけたくさんの録音がある中で、正攻法で新譜に何を表現していくのだろうと、ちょっと考えます。ゆったりと進みますが、微妙な節回しで推進力は生まれていると感じす。主旋律がメインでメロディを聴かせるスタイルでもあります。全体としては、優しくゆったりと包むようにと、そんな感じで、まったりと過ぎていきます。最後も盛り上がますが、あまり爆発はせずモヤモヤと終わる感じでした。

 

第二楽章も同じ雰囲気で、メリハリはあまりつけない感じです。メロディの聴きどころは、ちょっと目立たせますが抑制的です。霞のような音の海に漂うような演奏なのかもしれません。最後はしっかり盛り上がますが再び戻っていきます。

第三楽章も変わらず抑制的ながらテンポが良いと思いました。アクセントになるところも抑えめで、あくまで穏やかな中から生まれてくる音楽でした。

第四楽章、ここは、冒頭からしっかりアクセントがついていますが、優しい演奏かなと思いました。思いきって切り込んで欲しいところもありますが、どうやら、徹底して茫洋とした中で輝くような音楽に踏み込んでいったようです。シャニは、まだ30代の若き才能と言われているので、もっと派手な演奏かと身構えていたのですが、どうやら感情の動きよりも音楽の美しさを追求するタイプではないかと思いました。最後は盛り上げてくれました。

 

【録音に関して】

 全体がしっかりと収まっていて、オーケストラの音もストレートに捉えられている、いい録音と思います。

 

【まとめ】

聴き終わってから、そういえばレコ芸の最終号でこのCDを見かけたなと思って、月評を読んでみました。なるほどね。やはり批評家さんたちの表現は上手いですね。私も大外れはしてなかったので、安心しました(笑)。

このCDを聴いている間、ジュリーニを思い出しましたが、明日はそのジュリーニなのです。計ったわけでは無くて、たまたまジュリーニの記事を先に書いていたので、そうなりました。

 

購入:2023/09/23、鑑賞:2023/10/09

【CDについて】

①作曲:モーツァルト

 曲名:クラリネット五重奏曲イ長調 K581 (31:43)

②作曲:ブラームス

 曲名:クラリネット五重奏曲ロ短調 op115 (37:51)

演奏:シフリン(cl)、エマーソン弦楽四重奏団

録音:①1997年12月、②1996年12月

   ニューヨーク American Academy of Arts and Letters

CD:459 641-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

クラリネット五重奏曲K581 は、モーツァルト後期の傑作のひとつ。クラリネット協奏曲と同様に、友人のクラリネット奏者、シュタードラーのために作曲されました。そして、ブラームスはこの曲に関心を持ち、最後期に同し編成で、構成も似た形のクラリネット五重奏曲op115を作曲しています。CDにはこの二曲が収められていますが、この組み合わせは特にCD時代においてよく見られるようになったと思います。

 

【演奏について】

モーツァルトのクラリネット五重奏曲と言えば、クラリネットの名曲の一つ。暖かいクラリネットの音色に癒される曲だと思います。今回は、そんなモーツァルトのクラリネット五重奏曲を、最近入手したブラームスのそれと組み合わせたCDを取り出し、ゆったりした気分を味わおうと聴き始まました。

 

そして聴き始めると、ん?という感じになっていました。なんか違う、いつものモーツァルトの感触ではないよと…。そうなんですね。いままで親しんできたのは、ウラッハとかペリエとかの演奏だったのですね。シフリンとエマーソンSQのCDなので、アメリカ拠点に活動している演奏家たちで、それもエマーソンSQは、近現代の曲の演奏がものすごく冴えわたる四重奏団なのです。なるほど、そういう事なんですね…。

そういう事ですので、このCDを聴いたあとも、ブログにどう感想を書こうかと躊躇していたのですが、その間に何度も聴いてしまったので、記録として残しておきます。モーツァルトの曲を演奏すると、演奏者の性格が非常に出やすいと思いますが、エマーソンSQの鋭い切込みや強固な演奏は、この曲で聴くとちょっと異質に思えました。ただ、名手揃いのすごく整った演奏なので、安心して聴くことができるのも事実。いつものモーツァルトでないと思いつつも、こういったはっきりしたモーツァルトの演奏で、この曲を十分に楽しむことができました。

ブラームスの方も同じ傾向と思いますが、こちらは演奏の幅の大きい曲と思うので、一つのスタイルとして、しっかりしたいい演奏と思います。ラストがクリアで迫ってくるものがありました。

 

【録音について】

少々大きめの音だったと思います。四重奏団の迫力の出た録音でした。

 

【まとめ】

初めて聴いてから時間がたってしまいましたが、エマーソンSQらしい強い演奏でした。しかし、こういうモーツァルトが好きかと言われると首をかしげるところもありますので、次はまた違う演奏で楽しんでみたいと思います。

 

購入:2023/08/09、鑑賞:2023/08/30

シューマンの交響曲 ③
シューマンの交響曲も3曲目。第3番ですが、これは作曲順ではシューマンの最後の交響曲になります。我が家には先々週登場のクレンペラー、先週登場のバーンスタイン以外では、第3番のCDはこれしかありませんでした。引き続き第2番が入っているのも面白いところです。組み合わせの妙ですね。

【CDについて】

作曲:シューマン

曲名:交響曲第2番ハ長調 op61 (37:56)

   交響曲第3番変ホ長調「ライン」 op97 (33:07)

演奏:レヴァイン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1987年11月、ベルリン イエスキリスト教会
CD:POCG-1280 (レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【曲について】

1950年、デュッセルドルフでの音楽監督の職に招かれたシューマンは、妻を伴ってデュッセルドルフに移り、ライン河畔を好んで散歩していました。シューマンはケルンにも足を延ばし、壮麗なケルン大聖堂に感銘を受けます。この時期に挙行されたケルン大司教の枢機卿就任式に接し、この交響曲の霊感を得た言われています。この曲は、そのようなシューマンがライン川の環境に大いに触発され描かれています。

 

【演奏について】

まずは、最近お馴染みの第2番からです。序奏部は始まる途端に、オーケストラの音に魅了されるCDです。柔らかく美しい音色に、思わずCDジャケットを見直しました。ベルリン・フィルですね。こんな音もあったのですね。演奏や録音の影響はあるとは思うのですが、この滑らかな肌触りは、ちょっとベルリン・フィルの音を見直しました。レヴァインの演奏は、しっかりとオーケストラを鳴らしながら、あくまでも美しく、滑らかに進んでいきます。ほぼ尖ったところのない演奏で、第2番を楽しみました。立て続けに聴くと、ますます第2番が名曲に思えてきます。

 

そして、今回のテーマの第3番です。私は4曲の中では最も聴かない曲です(笑)。この曲は冒頭の旋律が力強く印象に残ります。5楽章で構成され、真ん中の三つの楽章が、どちらかと言えば緩徐楽章的な雰囲気をもっています。ある程度の標題性を持っていて、第四楽章のケルン大聖堂をイメージするコラール風の音楽が印象的でした。レヴァインの演奏は、第2番と同様に大変美しい演奏です。テンポなどはあまり動かさず、美しい響きとアンサンブルで進行していきます。素直に音楽を楽しめる演奏だと思います。


しかしながら、シューマンの曲を聞こうと思った時、贅沢な私としては、求めるものはそれだけではないということもあるのは事実。こういった演奏を聴きたい時は、逆にシューマンはあまり聴かないような気もします。標題的なイメージがある第3番の方であれば、まだいいかもしれません。そんなことを考えつつクレンペラーや、バーンスタインの演奏はどうだったかと、思い返していたのでした。

 

【録音について】

ベルリン・フィルの音が大変美しく聞こえます。優秀な録音だと思います。

 

【まとめ】

レヴァインの演奏したシューマンは、肌触りのいい、美しい演奏だと思いました。私は、レヴァインの第1番,第4番のCDは聞いたことがないので、興味はないことはないですが、どうなんでしょう?

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/30(再聴)

【CDについて】
作曲:ワーグナー
曲名:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より 前奏曲 (9:47)

   「トリスタンとイゾルデ」より 前奏曲と愛の死 (16:27)

   「タンホイザー」より 序曲 (13:45)

   「神々のたそがれ」より 葬送行進曲 (7:18)

   「ワルキューレ」より ワルキューレの騎行 (4:45)

   「ローエングリン」より 第三幕の前奏曲 (2:51)

   「リエンツィ」より序曲 (11:59)

演奏:ヤンソンス指揮 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1991年8月 オスロ Konserthus
CD:CDC7 54583 2(レーベル:EMI、販売:EMI Records)

【曲に関して】
ワーグナーの管弦楽曲の中で、最もよく知られているのは、ワルキューレの騎行ではないかな?と思いますが、強烈な印象を残します。「地獄の黙示録」のあのシーンは有名で、強い印象を残しました。ことほど左様に、ワーグナーの音楽はたいへん自己主張が強く、何かに利用すると、そのものの印象を決定づけるまでの効果があるような気がします。

【演奏についての感想】

ワーグナーと言えばオペラなのですが、あまり積極的に観ていないので、どちらかと言えばこういった管弦楽曲集に馴染みがあります。どの曲も迫力があって面白くてけっこう好きで、学生時代はよく聴いていました。そんな、管弦楽集ですが、マリス・ヤンソンスのCDが手に入ったので、久しぶりに聴いてみました。オスロ・フィル時代の演奏です。

 

まずはこのCD、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から始まります。第一印象は音が軽やかな感じがしました。そして、貯めるような感じよりは、切込するどく、淡々と進む感じですね。爽やかで輝かしい、マイスタージンガーだと思いました。リズム感や、細部の表現などは素晴らしく、躍動感があります。オーケストラの音色が明るいのかな?と思ったりしました。次の「トリスタンとイゾルデ」も同様の印象で、細部まで明晰にしながら、じっくりと大きく盛り上がります。音が明るく、ドイツ的な雰囲気とはまた違った印象でした。

 

「タンホイザー」も同様で、リズム感がよく、輪郭がクリアですね。「葬送行進曲」と「ワルキューレの騎行」は、素晴らしい演奏でした。こういった単一場面の音楽は表情がよく出ていいのかな?と感じました。「ローエングリン」いきなり、はやっ!と思いましたが、この感触何かを思い出します。そして締めくくりは、「リエンツィ」。冒頭は、じっくりと演奏され、クライマックスに向けてメリハリのついた演奏でした。細部の旋律も浮き出させていると思いました。

 

全体的には、あっさり明るい、軽めのワーグナーに感じましたが、語り口が雄弁で楽しい演奏でした。ドイツのワーグナーとは違う感触です。そうそう、「ローエングリン」の時に感じたのは、ムラヴィンスキーですね。彼の元で長く研鑽をつみ、当時はまだサンクト・ペテルブルクフィルと関係を保っていたヤンソンスですから、もしかして、そちらの流儀が色濃く残っているのではないかとも思いました。

 

【録音について】

この時代の録音にしては、高音がきついかなと思うことが何度かありました。もしかしたら、それがこの演奏のイメージに影響したかも…。

 

【まとめ】

 壮年期のマリス・ヤンソンスの演奏を楽しみました。まだ、若々しい演奏ですが、語り口は見事で、これからバイエルンや、アムステルダムで数々の名演奏を生み出していくことになります。もう聴けないのが残念ですが、残された録音を色々聴いてみたいと思いました。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/10/01

ショスタコーヴィチの時代 ⑪

前回は、バレエ音楽「黄金時代」でしたが、今回は続けてバレエ音楽「ボルト」です。ボルトは、このジャケットの通りで、ネジの類のボルト。ボルトを機械に噛ませて故障させ、その罪を他人に擦り付けて陥れようというお話。この時代、1930年代前半は、オペラ、バレエ、劇音楽、映画音楽など、実用的な音楽を次々と作曲していたようで、純音楽は少なくなっています。時代は大粛清の時代へと進んでいる頃ですが、当時ショスタコーヴィチの活躍は一つのピークを迎えていました。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:バレエ音楽「ボルト」 op27 (146:38)

演奏:ロジェストヴェンスキー指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1994年6月6-11日、ストックホルム Royal Stockholm Concert Hall

CD:CHAN 9343/4(レーベル:GHANDOS) 2CD

 

【曲と演奏について】

バレエ「ボルト」は、1931年に初演されましたが、公演は1回のみで、その後2006年まで再演されることが無かったということです。この録音時点では、初演時の台本の構成に基づいて演奏されていると思います。

さてその初演では、観客は嘲笑し、批評家は非ソビエトの意図とみて怒りを表し、すでに発表されていた2回目以降の公演は、他の演目に変更されてしまいました。その後、改訂する動きもあったようですが、結局なされず、1936年の「プラウダ批判」の時に上演禁止とされてしまいます。その内容は、労働者や官僚、僧侶、赤軍など、時のソビエト当局や社会をことごとく茶化したものでした。そもそも台本自体がひどいものだったという話もありますが、そういった内容であれば、性格的に、ゴーゴリの「鼻」を思わせるようなテーマ性があったのかもしれません。

 

一方、音楽については、大変魅力的で色彩的。アヴァンギャルドの時代のように、工場や機械の音を模したものも所々に挿入された斬新なもので、1931年に8曲の組曲として編集され、1933年に初演されます。その後、題名をバレエの人物から離れた一般的なものに変更し、1934年に6曲版の組曲が作られました。そして、2006年の70年ぶりのバレエ再演では、登場人物やその性格も多少変更され、全体の構成も見直されたとのことです。

 

このバレエの大まかなあらすじは、Wikiなどを参照すると、こんな感じです。

「怠惰で大酒飲みの労働者リヨンカは、勤めていた工場を解雇され、その不満から地元の司祭や。反ソビエト分子とともに復讐を計画する。そんな折、若い見習労働者のゴーシュカが機械の中に「ボルト」を差し込んで壊してしまう。守衛達はリヨンカの密告によって、無関係な共産主義者の若者ボリスを捕らえるが、事態を理解したゴーシュカは工場長らに事実を告白したため、ボリスは釈放され、リヨンカが代わって逮捕される。」

さて、140分超の長丁場で、映像無しのバレエ音楽を聴いてみましょう…。

 

このバレエ音楽は、まずは序曲から。いきなり工場のサイレンのような金管の咆哮で始まり、ミニマルを思わせる音楽が続くという斬新なスタートを切りました。この時点で、かなりアヴァンギャルドというか、気合の入った曲だと想像できます。そして、第一幕がはじまります。最初は、工場の体操の場面から。今度はロジェストヴェンスキーのセリフとピアノで体操を指揮するところからスタート。なかなか諧謔的だと思います。第一幕の音楽は、いろいろな登場人物が登場して踊りが披露されますが、中には聞き覚えのある曲もあり、きっと組曲に抜粋された曲だと思います。全体的には、木管の諧謔的のつぶやきのような音楽や、行進曲風の華々しくもどこか風刺的な音楽が全体を支配します。バンダの演奏も入っています。

 

第二幕は、穏やかな木管で始まる前奏曲から開始されました。僧侶の踊りや、若い共産主義者の踊りなど、諧謔的な曲や、盛り上がる曲が続きます。みすぼらしいコートの婦人の踊りは、久しぶりに出現した弦楽合奏での物憂いダンス音楽が新鮮です。若い共産主義者たちの登場する音楽に入ると、曲は華々しくなります。こういった形で、入れ替わり立ち替わり諧謔的な音楽や、パントマイムの伴奏といった形が続き、木管楽器がいつもおどけたリズムを刻み、時折弦楽器にハッとさせられ、第二幕のラストは弦楽器も活躍する華やかな雰囲気ダンスでした。

 

最後は第三幕。静かな、管楽器主体の間奏曲で始まりました。ホルンが活躍しているようです。そして、ボルトの場面。この曲の中でも10分を超える重要な場面で、内容の充実した音楽になっていました。そして行進曲風の音楽の後、再びサイレンが鳴り響き、色々なタイプの音楽が目まぐるしく変わっていきます。ラストへ向かって華々しく盛り上がっていき、その盛り上げも、いろいろなパターンで何度も繰り返される感じで、たいへん面白い音楽でした。

 

ただ、このバレエは、「黄金時代」よりは物語の舞台構成が単純なだけに、同じような趣向の場面が延々と続く感じがあり、全曲通して音楽のみを聴くと少々きついかもしれません。下の動画にもありますが、こういった舞台にのせると、すごく面白いそうだと思います。曲自体は凝ったものが多いと思うので、組曲で聴くとまた違う面白さが出るかもしれません。ロジェストヴェンスキーの指揮はメリハリの効いた堅実なもので、たくさんショスタコーヴィチの管弦楽曲を録音しており、膨大な録音のあるロジェストヴェンスキーの大きな遺産の一つとなっています。

 

「リヨンカの踊り」洒落た感じのダンスと音楽です。

 

「官僚の踊り」 ドリフのダンスのような雰囲気があって笑えます。必見!

 

【録音】

細部までクリアな優秀録音と思います。ロジェストヴェンスキーの生の声が聴かれるのも貴重な録音ですね。

 

【まとめ】

ショスタコーヴィチの諧謔的な音楽と舞台です。改訂版によるものと思いますが、この曲と振付が動画で見られるのは大変楽しいと思います。全曲を通して舞台を見てみたいと思いました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/10/02(再聴)

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第2番ハ短調 (79:52)

演奏:シュヴァルツコップ(s)、レッスル=マイダン(ms)、

   クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団

録音:1961年11月、1962年3月

CD:TOCE-13350(レーベル:EMI、販売:東芝EMI)

 

【曲について】

マーラーの交響曲第2番は、第1番の改訂作業と並行して書き進められていました。当初、のちに交響曲第1番の原型となった「交響詩」が完成された1888年頃から取り掛かられ、まず第一楽章が完成。これは「葬礼」とも名付けられていたようです。交響曲第1番の主人公の葬礼に関連するとのこと。1891年になって、これを単一の交響詩「葬礼」として出版しようとしましたが、拒否されます。再び筆を進めたマーラーは、1893年に第四楽章までを完成。1894年ビューローの葬儀に出席して、オルガンと合唱による「復活」を聴き、これに衝撃と曲想を得て、終楽章が作曲されました。この曲は、交響曲第1番の英雄の死と、生前の回想から人生の困難、そして復活に至るまでが描かれていると本人により説明されています。

 

【演奏について】

マーラーの第2番は、私が生で聴いたことのある、数少ないマーラーの交響曲の一つなのですが、普段はあまり聴いていませんでした。ちなみに、生で聴いたのは、テミルカーノフ指揮のサンクトペテルブルクで、ちょっとレアです(笑)。今回、クレンペラーのCDが手に入ったので、久々に聴いてみます。


まずは第一楽章。迫力のある開始で、音が大きく感じ、個々のフレーズも明快に演奏されていきます。角張っている印象が、クレンペラーらしいと思いました。構築感もあり、浮き沈みも際立って感じます。第二楽章は過去の回想と言われていますが、回想している感じかというとそうでもないような。クレンペラーの演奏は、だいたい標題的なイメージをあまり出さず、音楽自体の構造を鮮明に演奏しているのだと思います。


第三楽章は、スケルツォ楽章。楽しい旋律が展開し、これは、人生という悪夢に弄ばれているのを表現しているらしいです。マーラーの曲を聴いて感じるのは、マーラーの曲の表現する情景と、それを頭で展開している主人公がいて、その人こそマーラー自身の鬱屈した自意識、あるいは分身のような気がしています。それに共感できるかどうかということもありますが、クレンペラーは、たぶんそういうことからは無縁そうなので、逆に好きです。


第四楽章から後半。葬儀に触発されて書かれた終楽章の、敬虔な前奏曲であり、静かに演奏されています。そして、終楽章に入ります。この曲の半分くらいの尺の長大な楽章で、最後の審判と復活を表現しているとのこと。じっくり、荘重に進んでいきました。曲は荘重なクライマックスを迎え、マーラーにしては捻りなく自然体で終わった感じがして、健康的な印象が残りました。クレンペラーもしっかりと曲を作り上げて、曲の性格をストレートに表現しているのだと思いました。

 

【録音について】

CDに含まれている音の レンジが狭く感じますが、聞きやすい音になっていると思います。

 

【まとめ】

じっくりとマーラーの音楽を鑑賞しました。クレンペラーの演奏は、これまで第7番を聴いたくらいですが、あまり情緒的にならず、いつも聴きやすいタイプだと思います。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/10/01