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~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー⑥~

第6回:カール・ベーム

カール・ベームのブルックナーも定評があって、過去から名盤といわれていた録音がいくつかありました。私は、今まであまりベームのブルックナーにピンとくるものが無くて、どうかなぁ…と思っていたので、この際聴きなおしてみようと思って、このCDを取り出しました。発売当時より一貫して評価の高い録音だと思います。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」 第2稿ノヴァーク版 (67:37)

演奏:ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1973年11月、ウィーン Sofiensaal
CD:F00L-23067(レーベル:LONDON、原盤:DECCA、販売:ポリドール)

 

【曲について】

版の問題がいろいろと話題に上るブルックナーですが、この第4番も例外ではなく、数々の版があり、演奏されています。その中で現在最も一般的なのが、この第2稿ノヴァーク版となっています。第1稿を大幅に改定し、第三楽章は全く異なる音楽となりました。この第2稿についても、細かく手が加えられた結果、終楽章の異なる版が存在します。

 

【演奏について】

この演奏は、ブルックナーの第4番で一番最初にLPを買った録音だと思います。古典派の音楽とか一通り聴いて、ブルックナーという作曲家がいるらしいということで、こちらに進んできました。小学校の時の音楽室に、大作曲家の写真が並べられていたのですが、せいぜいブラームスくらいまでで、それ以降の作曲家の肖像が無く、ブルックナー(マーラーも)は未知の作曲家だったのですね。まぁ、一般の小学校でブルックナーというのは難しいと思います。従って、このあたりの曲は敷居がワンランクアップします。

 

それで、買って見た2枚組のLPですが、まぁ聴けませんでしたねぇ…。その後もいろいろレコード紹介の本を読んで、ブルックナーはベームがいいということで、さらに学生時代も第7番にトライしたのですが、結局訳が判らず、長い間ブルックナーを封印してしまいました。その後いろいろな指揮者の演奏を聴いてやっと馴染んできたのですが、そんなブルックナーアレルギーを起こしてしまったベームの演奏、久しぶりに聴いてみます。

 

ゆっくりしたテンポで始まり、そのまま美しく盛り上がっていきます。適度なバランスで、淀みなく流れるような、大きなうねりが、ウィーンフィルの美しい音で演奏されています。これは、先日聴いたヨッフムのように、ゴツゴツと積み上げた形ではなく、その対極にあるような、あくまでも流麗な美しい演奏なのですね。私は、批評をいろいろ読んだ結果かもしれませんが、ベームって硬派なイメージを持ってみましたが、この演奏を聴きつつ、こういうオーケストラ全体のバランスがとてもいい、流麗な音楽を作っていくのだ、というイメージになんとなく変わってきました。といっても、盛り上がっていく部分の構築感はしっかりあります。指揮者とウィーンフィルが一体となって作り上げたセッションという感じがします。確かに大変素晴らしい演奏でした。

 

【録音について】

この録音は素晴らしいと思います。そもそもDECCAの録音は素晴らしいのですが、このバランスのいいウィーンフィルの音は、大変レベルが高いと思いました。初期CDで聴いていますが、最新のSACDで聴くと凄いだろうなと思います。

 

【まとめ】

なんだか、ごちゃごちゃブルックナーとの馴初めを書きましたが、最初に拒否反応を起こした演奏に、年を経て戻ってきましたという感じです。これはベームの偉大な遺産の一つでもあり、録音芸術としても素晴らしい遺産だと思います。

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/27(再聴)

最近リリースされた新譜から ⑧

ラフマニノフの生誕150年にあたる2023年に録音された新譜。ユジャ・ワンとドゥダメルの黄金コンビによる全曲演奏録音です。おそらく、今年の話題作の一つと言ってもいいのではないでしょうか。2023年の2月に収録された演奏会のライヴ録音で、その模様は批評家からも絶賛されたとのことです。

【CDについて】

作曲:ラフマニノフ

曲名:CD1

   ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調 op1 (25:52)
   ピアノ協奏曲第4番ト短調 op40 (24:18)

   パガニーニの主題による狂詩曲イ短調 op43 (23:39)

   CD2

   ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op18 (33:04)

   ピアノ協奏曲第3番ニ短調 op30 (45:06)

演奏:ユジャ・ワン(p)、ドゥダメル指揮 ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2023年2月9-19日、ロサンゼルス Walt Disney Concert Hall(ライヴ)

CD:486 4759 (レーベル:DG) 2CD

 

【曲について】

ラフマニノフは、ピアノ協奏曲のスタイルの作品として、4曲の協奏曲と、パガニーニの主題による狂詩曲の計5曲を残しました。第1番は、モスクワ音楽院在学中に卒業試験として書かれた作品。第2番は交響曲第1番の初演失敗で自信喪失したのち、この作品で大成功し、一躍大作曲としての名声を確立した作品。第3番はアメリカへの演奏旅行のために作曲され、そのままアメリカで初演されました。1917年にロシアを離れたラフマニノフは、その後主に演奏家として活躍し、作曲はあまり行っていませんでしたが、その中で第4番と、パガニーニの主題による狂詩曲が作曲されました。

 

【演奏についての感想】

ラフマニノフと言えば、ユジャ・ワンの十八番と言ってもいいと思いますが、その全集が新録音として、ラフマニノフイヤーに登場するとなると放っておくわけにはいけません。それもかつて名演奏を聴かせていただいたドゥダメルとの共演で、期待大でさっそく聴いてみました。

 

CD1は、第1番、第4番、狂詩曲の順に入っています。第1番と第4番は普段あまり聴かない曲です。第1番はラフマニノフのメロディの上に、ところどころにチャイコフスキーの雰囲気があったり、ドイツロマン派の雰囲気があったりと、この時代を感じさせられる曲でした。第4番はアメリカに亡命後、様々な芸術家との出会いの影響がいろいろと現れているのか、有名な2曲より複雑な曲になった感じがします。そして、狂詩曲。これは聴きなれた曲ですが、大変美しく素晴らしい演奏でした。少し穏やかな雰囲気や、技巧的でリズミカルなだけでなく表情付けをじっくりしている部分なども多く感じて、ユジャ・ワンの演奏も少し変わったかなと思いました。

 

そして、期待のCD2に移ります。まず第2番。これも同様にユジャ・ワンの演奏も時と共に、微妙に変化しているのかなと思いました。そして十八番の第3番。第二楽章から第三楽章と進んでいくにつれて、完全にあのユジャ・ワンが帰ってきました。むしろパワーアップしているとさえ感じたくらいです。どうやら、CD1や第2番を聴いて穏やかに感じたのは、私がいつもこの第3番の演奏を頭の中で描いているからかもしれません。そして、全曲に通じて言えると思うのですが、ドゥダメルのサポートが、以前にもまして濃厚だと感じました。今回はロス・フィルに変わっているのですが、ドゥダメルとユジャ・ワンは、大変息のあったコンビだと思いました。

 

ロシアから亡命してアメリカで活躍したラフマニノフの曲を、ロサンゼルスでベネズエラ出身のドゥダメルと、中国出身のユジャ・ワンという二人の大スターが演奏するというところに、いかにもアメリカらしさを感じました。

 

ユジャ・ワンとドゥダメルによるラフマニノフ協奏曲第2番第二楽章

 

【録音に関して】

音域も広く収録され、演奏の雰囲気が明らかによく出ています。素晴らしい録音だと思います。

 

 【まとめ】

現在のクラシックの押しも押されぬトップスターの二人の共演です。大変楽しませていただきました。ユジャ・ワンの新譜を聴くのも久しぶりなのですが、ますます表現に磨きがかかっていくと思います。これからの録音や活動に更に期待が高まります。

 

購入:2023/09/23、鑑賞:2023/09/30

【CDについて】

作曲:プッチーニ

曲名:①交響的前奏曲 イ長調 (8:51)

   ②エドガール:第3幕 さようなら、わたしの甘い愛! (3:05)

   ③マノン・レスコー:第4幕 一人さびしく (4:07)

   ④ラ・ボエーム:第4幕 あなたの愛の呼ぶ声に (3:19)

   ⑤トスカ:第2幕 歌に生き、愛に生き (3:17)

   ⑥マノン・レスコー:第3幕 間奏曲 (5:10)

   ⑦蝶々夫人:第3幕 さよなら坊や (2:09)

   ⑧西部の娘:第1幕 ソレダードにいた頃 (2:46)

   ⑨つばめ:第1幕 ドレッタの夢の歌 (2:52)

   ⑩修道女アンジェリカ:第1幕 母もなく (4:17)

   ⑪ジャンニ・スキッキ:第1幕 私のお父さん (2:21)

   ⑫トゥーランドット:第1幕 お聞き下さい、王子様 (2:24)

   ⑬トゥーランドット:第2幕 この宮殿の中では (5:54)

演奏:ベナチャコーワ(s) ②③④、グルべローヴァ(s) ⑨⑪⑫、ジョーンズ(s) ⑧⑬、

   マルトン(s) ⑤⑦⑩

   ナバロ指揮 ミュンヘン放送管弦楽団
録音:1994年11月12日、ミュンヘン Philharmonie am Gasteig(ライヴ)

CD:NC 000010-2(レーベル:Nightingale)

 

【曲について】

それぞれの曲というよりも、このCDはプッチーニのオペラに登場する女性たちのアリア集です。前奏曲で始まり、間奏曲も入っているという、ちょっと凝った形になっています。そして、アリアの含まれるオペラの、作曲順に並べられています。登場しないオペラは、「妖精ヴィッリ」と「外套」だけですね。そういう意味では人気のあるオペラは一通りそろっているという形でしょうか。

 

【演奏について】

このCD、ヤフオクで他のCDのついでにGETしたものです。落札価格41円(笑)。人気なかったんですね。全く知らないCDなのですが、ちょっと面白そうと思いました。題名から、プッチーニのオペラに登場する女性たちのアリアを集めたものとは想像していましたが…。聴いてみると、一曲ごとに拍手が入ります。そうです。これは、こういう構成のライヴだったのですね。出演者は、ベナチャコーワ、グルべローヴァ、ギネス・ジョーンズ、エヴァ・マルトンの協演です。最初の3曲をベナチャコーワが歌い、あとは3人が入れ代わり立ち代わりというスタイルでした。

 

なんとなく、前座っぽいベナチャコーワですが、アバドの第九の出演しています。チェコのオペラへの出演なども多いみたいです。強い声ですね。そして、マルトン、ジョーンズ、グルべローヴァの順に登場。声の質はだんだん透明な声になっていく感じがしました。このCDには、プッチーニのアリアと言っても、有名曲が全て網羅されている訳ではありません。そんな中で最もメロディが親しみやすいと思ったのが、ジャンニ・スキッキの「私のお父さん」。グルべローヴァが歌っています。声の質もピッタリでした。

 

オペラの中で、最もドラマティックな場面を歌っていると思ったのが、蝶々夫人の「さよなら坊や」。エヴァ・マルトンが強めの声でドラマティックに歌っています。ここは、クライマックスですね。そして大取はトゥーランドットの「この宮殿の中では」で、ギネス・ジョーンズが歌います。最も劇的な曲で幕となります。素晴らしい構成と配役です。最も拍手が盛り上がったのは、「私のお父さん」と「この宮殿の中では」ではないかと思いました。この日のコンサートは、これだけではないと思いますが、夢のようなコンサートだと思いました。

 

【録音について】

少し遠めな感じはしますが、好ましい感じのライヴ録音で、雰囲気がよく伝わってきます。

 

【まとめ】

オペラはあまり聴かないので、内容が判らない曲が多く、どうかな?とも思っていたのですが、大変楽しめるCDでした。これは、個人的に当たりです。

 

購入:2023/07/29、鑑賞:2023/09/28

シューマンの交響曲 ②
シューマンの交響曲第2番。先週のクレンペラーの演奏で、しっかり予習しました(笑)。そして、今回選んだのは、バーンスタイン盤です。バーンスタインの全集は、このブログを書き始めてから、第1番を聴いていますが、今回もロマンティックな、思いを込めた演奏に期待したいと思います。

【CDについて】

作曲:シューマン

曲名:交響曲第2番ハ長調 op61 (42:30)

   チェロ協奏曲イ短調 op129 (24:22)

演奏:マイスキー(vc)、バーンスタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1985年11月、ウィーン Musikverein Grosser Saal
CD:419 190-2(レーベル:DG)

 

【曲について】

この曲は、シューマンが完成させた交響曲としては、3番目にあたりますが、この前に書かれていた作品は、のちに改訂出版されて第4番とされ、出版順序によって第2番に繰り上がっています。シューマンはメンデルスゾーンが設立したライプツィヒ音楽院で教鞭を執っていましたが、精神障害に悩まされるようになってドレスデンへ移り、その時期に作曲されました。

 

【演奏について】

前回、クレンペラーの演奏を聴いた時、改めてロマンティックな曲だと認識したのですが、今日はロマンティックな演奏には定評があるバーンスタインの演奏で聴いてみます。バーンスタインは、キャリアの初期よりこの曲を好み、思いも深いものがあると思います。ゆっくりした序奏で始まりますが、とても穏やかで美しい演奏です。そして、提示部に入っていくと演奏は活き活きと動き始めます。バーンスタインは速いテンポで進み、歯切れのいい演奏で展開していきますが、その音楽のイメージは、流れるような雰囲気を持っていました。

 

第二楽章はスケルツォ。ロマン派らしいスケルツォで、私はなぜかメンデルスゾーンのスケルツォを思い出しました。これも切れのいいスケルツォですが、バーンスタインは細かく緩急のニュアンスをつけて面白さを際立たせており、最後は一気に加速して曲を締めくくりました。第三楽章の緩徐楽章は、バーンスタインが朗々と歌うような、ドラマティックな美しい演奏を展開し、第四楽章へ突入。堂々とした歩みで、この曲を締めくくります。まさに曲のロマンティックな性格を前面に出した、バーンスタインの演奏でした。

 

先週聴いたクレンペラーとは、全く性格が違う演奏で、暗めの構築感を見せるものから、明るい流麗な演奏へと変わりました。これは、どちらが良い悪いはなく、この曲の個性ある表現として、大変面白いものだと思います。さて、このCDにはチェロ協奏曲のカプリングされていて、ジャケットからすると、そちらがメインのようにも見えてしまいますが、こちらも濃いロマン性を湛えた名演奏だと思います。この時期充実していたマイスキーとバーンスタインのコンビを楽しむことができました。

 

【録音について】

少し音量は抑えめのような感じがしましたが、この時期の標準的な録音だと思います。

 

【まとめ】

シューマンの交響曲は2曲目で折り返しですが、CD時代になって2曲カプリングされることも多くなったので、いろいろ聴き比べられて、より深く鑑賞できて面白いと思いました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/23(再聴)

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:交響曲第5番 ハ短調 op67 (30:21)

   交響曲第6番 ヘ長調 「田園」op68 (39:12)

演奏:アントニーニ指揮、バーゼル室内管弦楽団

録音:2008年7月8-9日(第5番)、2009年7月3-5日(第6番)

   ルツェルン Kultur und Kongresszentrum

CD:19439737032 (6CD)
   (レーベル:SONY CLASSICAL、販売:SONY MUSIC INTERNATIONAL)

 

【曲に関して】

この二つの交響曲は、1808年12月22日にウィーンにて初演されました。この時は、第5番と第6番は番号が今とは入れ替わっており、演奏順も当日の第5番「田園」が先だったとのことです。この日のプログラムは膨大で、他にミサ曲ハ長調の一部や、ピアノ協奏曲第4番も組まれていました。

 

【演奏についての感想】

上記のように、同じ日に初演された2曲ですが、この二つを続けて聴くこともあまりないので、まとめて聴いてみるのも一興です。今回は引き続き、アントニーニの全集を続けて鑑賞しています。CDにもこの2曲が収まっており、約70分の収録になっていますが、それでも70分で収まっているところは、アントニーニというところでしょう。例えば、バーンスタイン=VPOだと2曲で80分です。かなり違います。HIP視点で言えば、この初演のプログラムの量であれば、これくらいのスピードで演奏しないと…。というのは冗談です。

 

さて、第5番の第一楽章。きわめてテンポが速いです。これは、トスカニーニかギーレンかという感覚ですが、トスカニーニは30分を切っているので別格として、ギーレンよりは若干早いようですね。アントニーニのこのスピードで走る第一楽章はかなり迫力があります。HIP演奏の魅力も全開です。第二楽章も同様に淡々と進みますが、第三楽章から第四楽章にかけてはテンポが落ち着いて、雄大に演奏しようとしているようです。その分若干ですが、響きの薄さが目立った感じがして、それであれば最後まで走ればいいのに…というのがちょっと思った事でしたが、それでも相当面白い演奏だと思いました。メリハリもかなり効いています。

 

続けて「田園」です。第一楽章から第二楽章は、曲の性格上なのか、HIPとはいえ普通の演奏にかなり近いと思いました。しかし、第三楽章からこの全集らしさが出て来て、第四楽章はまさに大迫力という感じでした。そして、第五楽章で落ち着きます。この演奏を聴いていると、そもそも田園という曲の素晴らしさを感じました。それだけ、この曲の特徴を最大限に表現した演奏なのでしょう。気になったのは主旋律を歌うヴァイオリンが、ちょっと音量が小さめに聞こえたのが、若干もどかしかったかな?というくらいでしょうか。ベートーヴェンの中期を代表する2曲の交響曲、楽しませていただきました!

 

【録音に関して】

いつも通り、いい録音だと思います。強弱の幅が大きい演奏と思うので、それもよく捉えられていると思います。

 

【まとめ】

アントニーニのベートーヴェン、第6番まで来ました。かなりこの音に慣れてきて、面白く聴けています。次は7番8番になりますが、リズムが面白い2曲なので、特色がよく出そうで楽しみです。

 

購入:2023/06/23、鑑賞:2023/09/25

ショスタコーヴィチの時代 ⑩

先週は、べレエ音楽「黄金時代」全曲を聴きましたが、今回は同じく組曲版を聴いてみたいと思います。短い曲ですからいろいろカプリングされています。1958年ころの録音で、この時代のショスタコーヴィチの演奏がどういうものであったかというところも聴きどころかと思います。以前書きましたが、バーンスタインがソ連に演奏旅行した頃ですね。

【CDについて】

①作曲:ボロディン

 曲名:交響曲第2番ロ短調 (24:30)

②作曲:ショスタコーヴィチ

 曲名:交響曲第1番へ短調 op10 (31:16)
 曲名:バレエ組曲「黄金時代」 op22a (16:49)

演奏:マルティノン指揮 ロンドン・交響楽団

録音:1958年①、1958年頃②

CD:KICC 8164(レーベル:LONDON、原盤:DECCA、販売:キングレコード)

 

【曲と演奏について】

今回は、「黄金時代」の組曲版ですが、このCDの中では最も演奏時間の短い曲。メインはボロディンの交響曲第2番のようです。せっかくですので、ボロディンから聴いてみましょう。この作品は「イーゴリ公」と同時期に着手され、オペラ用に準備していた部分をこちらに転用したりしたとのこと。第一楽章の重々しいテーマが大変特徴的でした。また、第二楽章のスケルツォはドイツロマン派のスケルツォと似た雰囲気を感じさせます。勇壮かつ素朴な面を持つ曲ですが、マルティノンの演奏は曲の輪郭をくっきりと表現した名演だと思います。

 

そして、ショスタコーヴィチの第1番。録音されたのは1958年で、ソ連では「雪どけ」の時代となりますが、歴史が目まぐるしく動いている時代です。ショスタコーヴィチは交響曲第11番を発表した時期にあたり、まだまだ現役の作曲家の作品の演奏という位置づけです。

マルティノンの演奏は、細かなフレーズまで明快にした演奏で、迫力もあるものですが、現代の演奏からすると少々こなれていないような気もして、作曲後30年は経過していますが、まだこの曲が現代音楽であった時代なのかなと思ったりします。一つの解釈として貴重な記録だと思います。また、この曲はボロディンの交響曲第2番と同じ、第二楽章にスケルツォを持つ四楽章構成で、二つの曲を並べて聴いてみると、ショスタコーヴィチの音楽は確かにロシアの伝統に根ざしているという風にも感じられるのでした。

 

そして、組曲「黄金時代」です。全曲盤で流れで聴くより、より純管弦楽曲的要素が強くなっているはずです。演奏の性質にもよると思うのですが、ロジェストヴェンスキーの全曲盤で聴いた時より、かなり個性的な曲に聞こえました。この音楽自体がアバンギャルド時代の尖った性格を持っているので、組曲版で聴いてもなかなか楽しめる音楽だと思いました。有名なポルカの入っていますので。

 

【録音】

このCDで、もう一つ特筆すべきはこの録音です。1958年と言えばまだまだステレオ初期ですが、DECCAのこの録音は素晴らしく、ステレオ録音でも最高水準のものになっていると思います。改めてさすがDECCAだと思わせるものでした。

 

【まとめ】

今回は、組曲版ということで、op22からop22aに進んだという形でした。ちょっと一休みという感じではありますが、こうして聴き比べるのも面白いものだと思いました。

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/25(再聴)

【CDについて】
作曲:モーツァルト
曲名:フルート協奏曲第1番ト長調 K313 (24:01)

   フルート協奏曲第2番ニ長調 K314 (17:43)

   フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調 K315 (6:29)

演奏:バルトルト・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)

   シギスヴァルト・クイケン指揮 ラ・プティット・バンド

録音:1986年4月24-27日、ハールレム Doopsgezinde Gemeente
CD:GD77054(レーベル:Deutsche Harmonia Mundi、発売:BMG)

 

【曲について】

フルート愛好家の医師ドゥジャンの注文で作曲された曲たちです。他に四重奏曲も作曲されました。K 314の方は、既存のオーボエ協奏曲K314をハ長調からニ長調に編曲したものになっています。モーツァルトは、既存曲の編曲では約束が違うということで、報酬は半分しか受け取れなかったようです。また、K315のアンダンテ は、第1番の第2楽章を代替するものとして書かれたとされています。

 

【演奏について】

 今日も一日疲れたなという時に、ふとモーツァルトのCDをかけてみる。モーツァルトの曲は、そんな時に、ありがたいお助けとなってくれます。今日もそんなモーツァルト気分だったので、最近入手していたこのCDを手に取りました。うちのCDラックには、K314は、オーボエの方しかなかったので、この曲を聴くのは、もしかしたら、学生時代に買った、ニコレ=ジンマンのLP以来なのかもしれません。


クイケンといえば、古楽器演奏の草分けでもあるのですが、自ら研究し工夫して、今に至る奏法を確立していったとのことです。このCDの出た頃は、今ほどHIP隆盛では無かったので、バロック演奏の新しいスタイルという印象で、私は横目で見つつ、バロックのLPを1、2枚聴いていた程度でした。モーツァルト古楽器演奏も、まだまだ少数派だったと思います。そんな時代の古楽器演奏を今振り返ってみることになります。


クイケンの演奏は、真摯で穏やかな音が周りを包んでいく感じです。今時のHIP演奏のように、その音の特性を強調して、ゴリゴリ押してくるようなことはありません。ただしところどころで、HIPの独特の雰囲気は聞こえてきますが、聴いている印象は、寧ろ古楽器の穏やかな音色や、音に満たされた雰囲気を楽しんでいるという感じでした。改めて、今クイケンの演奏を聴いて、当時の様子をいろいろ振り返ってみるのでした。


【録音について】

 穏やかな音で、いい録音と思います。

 

【まとめ】

 時々聴く、こういったスタイルのモーツァルトは、強いインパクトは求められませんが、ゆったりと聴けて素晴らしいと思います。何か、原点回帰みたいな感じですかね。

 

購入:2023/08/29、鑑賞:2023/09/26

ブルックナーを聴こう第2部

 ~巨匠たちのブルックナー⑤~

第5回:カール・シューリヒト

シューリヒトもブルックナー演奏を得意としていた指揮者。数少ないステレオ録音がどれも名盤として、聴き継がれています。今回は、それらのスタジオ録音のどれかを聴こうと思ったのですが、シューリヒトはライヴでも特色の出る指揮者でもあると思いますので、1枚だけ持っていたライヴ録音で聴いてみることにしました。モノラルですが、晩年のステレオ録音と同時期のものです。

【CDについて】
作曲:ブルックナー

曲名:交響曲第9番二短調 ノヴァーク版 (56:36)

演奏:シューリヒト指揮 バイエルン放送交響楽団
録音:1963年3月8日、ミュンヘン Herkulessaal der Residenz(ライヴ・M)
CD:C 548 001 B(レーベル:ORFEO)

 

【曲について】

ブルックナーは1896年10月11日、その死去の日の午前まで第四楽章の作曲を行っていました。しかし、午後3時過ぎに息を引き取り、全曲を完成させることはできませんでした。未完成の第四楽章の自筆譜は、再現部の第3主題の部分までとなっていました。第四楽章の補筆版は様々な演奏が残されていますが、概ね20-25分程度のものとなっており、やはり80分前後の曲になったと思われます。

 

【演奏について】

シューリヒトのステレオのスタジオ録音は、3,8,9盤のEMIのものと、7番のコンサートホールのものがありますが、今回はちょっとそれらとは離れてライヴ録音を聴いてみることにしました。ステレオのスタジオ録音がいいとは限らないし、60年代のライヴであれば、そこそこの音で楽しめると思ったのと、やはりシューリヒトの場合、テンポの動きも多いので、ライヴが面白いのでは?と思ったからです。たくさんのライヴ録音がCD化されていますが、これは唯一私が持っている、シューリヒトのライヴ録音なのです。

 

さて、第一楽章は例によってゆったりと序奏部が演奏されていき、提示部に入っていきますが、シューリヒトの演奏は、加速するところはいかにも加速するという感じで、畳みかけていきますが、第二主題など、叙情的なメロディはかなりテンポを落として、綿々と歌い上げていくようです。そのように、部分部分の特徴をはっきりさせた演奏のように思います。音楽の迫力をはっきり打ち出し、大変効果的です。このように、緩徐部分はゆったり歌われるうえに、休止が少しだけ長く感じるのも特徴的なところでしょうか。

 

第二楽章も同様で、スケルツォは明確に刻まれます。大変躍動的に感じます。逆に第三楽章はゆったりと移り変わる楽想をそれぞれの表情で歌わせていきます。演奏時間は標準的か早めだと思いますが、内容はゆったり感じるところは、緩徐部分にじっくり時間を割いていく感じからくるものかなと思いました。シューリヒトのライヴは、まさに自身の解釈を明確に表現したものであり、素晴らしいブルックナーが聴かれるものでした。バイエルン放送響の演奏も立派で、金管など、この演奏に応えて、長いフレーズも頑張って音を出し切っていました。

 

【録音について】

モノラルではありますが、オーケストラの個々の音や、全体感もよく捉えられています。

 

【まとめ】

シューリヒトの演奏を楽しみました。強烈な個性という事ではないのですが、細かくテンポを動かしながら音楽を一つ一つ積み上げていくようなイメージでした。結果、最高のブルックナーになっていることは言うまでもありません。

 

購入:不明、鑑賞:2023/09/23(再聴)

最近リリースされた新譜から ⑦

映画音楽集のCDかな?と思いつつ買って見ました。選ばれた10の映画も素敵な選択です。このCDは、映画音楽ジャンルというよりは、その音楽そのものを演奏するという形ではなく、映画に使われた、あるいは映画のために作曲された音楽を演奏しながら、ルイサダが映画館へのオマージュを表現したCDというところでしょうか。

【CDについて】

曲名:①「甘い生活(フェリーニ)」~メイン・テーマ(ニーノ・ロータ)(1:49)
   ②「べニスに死す(ヴィスコンティ)」~アダージェット(マーラー、タロー編)(10:24)

   ③「許されざる者(ジョン・ヒューストン)」~幻想曲ニ短調K397(モーツァルト)(6:15)

   ④「恋人たち(ルイ・マル)」~主題と変奏ニ短調(ブラームス)(11:25)

   ⑤「スティング(ジョージ・ロイ・ヒル)」~ソラース(スコット・ジョプリン)(3:36)

   ⑥「マンハッタン(ウディ・アレン)」~ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)(16:36)

   ⑦「ブレーでのランデヴー(デルヴォー)」3つの間奏曲op117(ブラームス)(15:25)

   ⑧「カサノバ(フェリーニ)」~バッハの名による2つのワルツ第1曲「サーカス・ワルツ」(ニーノ・ロータ)(1:50)

   ⑨「ルートヴィヒ/神々の黄昏(ヴィスコンティ)」~エレジー(ワーグナー)(1:41)

   ⑩「叫びとささやき(ベルイマン)」マズルカイ短調op17-4(ショパン)(4:33)

演奏:ルイサダ(p)

録音:2022年7月2-5日 リエージュ Salle Philharmonique
CD:LDV 118 (レーベル:la dorce volta、販売:キング・インターナショナル)

 

【演奏についての感想】

映画音楽のCDも、たまにはいいよねぇ、クラシックを聴き始めた時も、映画とのシナジーで好きになった曲もいっぱいあるし…。と思って、気軽に聴き始めたのでした。「甘い生活」から、いい曲だよね……、うんうん。次は、「ヴェニスに死す」のアレですね……ん??。モーツァルトの幻想曲。ほほぉ…!

 

そうなんです。このCDは、映画音楽を聴かせるというよりは、映画をみる体験をそのものの雰囲気を、音楽で表現したようなCDだと思いました。音楽が、普通に映画の中で使われているような感じでは無くて、その音楽がまるで、暗い映画館の中で静かに鳴り響いて、映画を観ているような満ち足りた気分を、ノスタルジックに表現したような音楽なんですね。

 

どの曲を聴いても、暗い映画館で映画をみているような体験をさせてもらえたと思います。まさに、映画ファンのルイサダならではです。最後のマズルカとか、最高!これは、感激の波に包まれます。

 

映画はそこそこ好きで、一時期、多い時は年間400本ほど見たこともありますが、最近あまり見ていません。ちょっとお休み中です。だいたい、名画のリストとかがあると、40%くらい見ている感じですかね…この10本の中でも、見たのはちょうど4本。だいたいそうなります。ちょっと前まで、映画鑑賞のブログを書いていましたので、ここに出ている映画の鑑賞記録をリンクしておきます。お恥ずかしい限りですが…。

 

 

 

 

 

そう、この中では「叫びとささやき」が一番好きだと思いますし、たぶん曲の中でもマズルカが一番好きかもしれません。ブニアティシヴィリの演奏が好きでした。それが、最後に聴けるのも、このCDのいいところです。このCDは、現在YouTubeで全て聴けてしまいますが、それとは別の音源をリンクしておきます。

 

ルイサダの弾く、「ベニスに死す」のアダージェット。最後の場面もシンクロしています。

 

 【まとめ】

このCDどうしようか迷ったのですが、買ってよかったです。映画の懐かしい世界に誘いこまれてしまいました。時々映画も見ないといけないですね。

 

購入:2023/08/27、鑑賞:2023/09/22

【CDについて】

作曲:サラサーテ

曲名:①スペイン舞曲第3番 op22-1「アンダルシアのロマンス」 (4:08)
   ②スペイン舞曲第4番 op22-2「ホタ・ナヴァラ」 (4:29)

   ③バスク奇想曲 op24 (7:04)

   ④スペイン舞曲第7番 op26-1 (6:44)

   ⑤スペイン舞曲第8番 op26-2 (4:42)

   ⑥スペイン舞曲第1番 op21-1「マラゲーニャ」 (5:25)

   ⑦スペイン舞曲第2番 op21-2「ハバネラ」 (4:10)

   ⑧スペイン舞曲第5番 op23-1「祈り」 (4:29)

   ⑨スペイン舞曲第6番 op23-2「ザパテアード」 (3:09)

   ⑩序奏とファンダンゴ・ヴァリエ op40 (8:35)

   ⑪ホタ・アラゴネーザ op27 (4:44)

演奏:トジ(vn)、パスカル(p)

録音:2009年2月13-14日③④⑤⑦⑪、4月12日⑩、6月27-28日①②⑥⑧⑨

CD:SOCD 261 (レーベル:SOLSTICE)

 

【曲に関して】

サラサーテは、ツィゴイネルワイゼンが有名ですが、作曲家としてもたくさんのヴァイオリン曲を作っています。それらの曲は、現在演奏機会は限られていると思いますが、どれもヴァイオリンの小曲として楽しめるもののようです。中でも「バスク奇想曲」と「スペイン舞曲」は比較的演奏機会が多い曲に当たるとのこと。サラサーテはスペイン生まれのバスク人であり、そのスペインのリズムとメロディはとても楽しく、そして、作曲された時代は1880年前後で、まさに国民楽派が活躍し、ブラームスやドヴォルザークの舞曲集が流行していた頃ですね。

 

【演奏についての感想】

サラサーテと言えば、ツィゴイネルワイゼン。ツィゴイネルワイゼンと言えば、鈴木清順監督の映画を思い出しますが、あれは大傑作でした。それはさておき、サラサーテは名ヴァイオリニストですが、活躍した時代は後期ロマン派や国民楽派と重なる時代です。同世代といえば、グリーグやフォーレあたりが、それにあたるでしょうか。そんなサラサーテの音楽は、あまり聴いたことが無かったのですが、たまたまこのCDを見つけたので、試しに買ってみました。

 

ディエゴ・トジによる、サラサーテのヴァイオリンとピアノによる作品集。これは、その第2集にあたるもので、いろいろな舞曲が含まれています。中でもスペイン舞曲集(全曲)とバスク奇想曲に期待。ただ、聴いてみるとどの曲も楽しかったです。あかるい曲調と、スペインのリズムが鮮やかで、楽しくなる曲ばかりでした。それぞれ特徴があるので、飽きることがありません。確かに、少しだけ規模が大きいバスク奇想曲など聴きごたえがありますが、優劣はつけがたいのではないでしょうか。

 

演奏しているトジは、フランスで活躍しているヴァイオリニスト。カントロフのクラスを卒業したとのことで、レコーディングはサラサーテやラヴェル、現代音楽などが多いようです。明るい音色が輝かしく、どの曲も楽し気に、あるいは憂いをもって演奏されています。大変楽しいひと時を楽しめる、素晴らしいCDでした。

 

 【録音について】

美しいヴァイオリンの音色を楽しめるいい録音です。

 

 【まとめ】

なんとなく、ついでに買ったという感じのCDでしたが、それがたまたま素晴らしい演奏や曲に巡り合えると、大変楽しい気分になります。これは、そんなCDなのでした。

 

購入:2023/07/18、鑑賞:2023/09/21