【CDについて】
作曲:マーラー
曲名:花の章(7:29)
交響曲第1番ニ長調(57:17)
演奏:ラトル指揮、バーミンガム市交響楽団
録音:1991年12月16-19日(ライヴ) バーミンガム Symphony Hall
CD:CDC7 54647 2(レーベル:EMI、発売:EMI Records)
【曲について】
マーラーの最初の交響曲にして、私もマーラー入門でよく聴いた曲。聴き慣れた曲ですので、安心して聴けます。
この曲の最終形の完成までに、マーラーは何度も演奏会で披露しながら改稿を重ねました。初期は「交響詩」として発表され、2部構成の5楽章で、「巨人」という標題も付けられていました。その時には、現状の4つの楽章以外に「花の章」と名付けられた楽章が入っていました。その後、改稿が重ねられ、最終的にはこの楽章は外され、標題も取り除き、純粋な交響曲として完成します。これは、第2番「復活」の初演よりも後の事となりました。
このCDには冒頭「花の章」が録音されています。「花の章」は本来第2楽章ですが、完成形の4つの楽章は、「花の章」が入っていた時とは細部が異なっていますので、間にはいれられませんね…。成立過程の資料として聴くこともできますが、最初に置いてあるということから、ラトルの解釈の一つの要素を窺うことができるのかもしれません。
【演奏についての感想】
この演奏を聴いて、印象としては今まで聴いたことの無い第1番だと思いました。冒頭からテンポはゆっくり、緩急も強弱も大きくという感じですが、それは巨匠的なうねりではなく、極めて現代的なスタイリッシュな緩急と感じられます。とても緻密に演奏されている印象で、それこそ音楽を舐めるように細部まで見て行くようです。
演奏時間は標準的なものですが、ゆっくり感じるのは、緩の部分がことさら丁寧に扱われているからだと思います。急の部分はスピードが上がりますが、全体として前へ前へという感じではありません。その瞬間に鳴っている音楽そのものを、丁寧に描いているような感じを受けました。
思えば、当時はオーケストラの実力を見せつけるような、迫力やうねりを前面に出す演奏が基本だったと思います。その中で、ラトルのこの演奏はインパクトがあったかもしれません。今でこそ、ハーディングのマーラーのように、室内楽的で密度の高い演奏も珍しくありませんが、今改めて当時を振り返りながら聴くと、確かに変化の時代があったと思い当たるとともに、それが今のマーラー演奏に繋がり、またラトルのその後の活躍に繋がっていく、一つの通過点であったのではと、改めて感じるのでした。
この演奏の音源です。
購入:2024/01/30、鑑賞:2026/02/11
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