ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7,9番 上海クァルテット (2008) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

2月はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 ④

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲。4回目、最後です。今回は中期の代表作、ラズモフスキー四重奏曲からの2曲となりました。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の代表作の一つと思いますが、しばらく聴いていませんでした。かなり久しぶりです。

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ㉓

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 op59-1 (40:51)

   弦楽四重奏曲第9番ハ長調 op59-3 (31:27)

演奏:上海クァルテット

録音:2008年10月8日-10日 群馬 草津音楽の森国際コンサートホール

CD:CMCD-28169(レーベル:Camerata、発売:カメラータ・トウキョウ)

 

【曲に関して】

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、初期・中期・後期の3つに分けられますが、初期はop18の6曲。中期がラズモフスキーの3曲と、第10番、第11番。後期が第12番~第16番ということになります。その中期を代表するのが、ラズモフスキー四重奏曲と呼ばれる3曲で、ロシアのウィーン大使であった、ラズモフスキー伯爵の依頼で作曲されました。当時としては斬新なベートーヴェンらしい構築感の曲で、なかなか一般的な理解を得られなかったとのことです。

 

【演奏についての感想】

上海クァルテットは、一度実演を聴きに行ったことがありました。ハイドンとショスタコーヴィチに、長富彩さんとの共演のシューマンの五重奏曲でした。なかなかパワフルな演奏にすっかり魅了されたという記憶があります。そんな上海クァルテットの演奏をCDで聴くのも久しぶりですし、この曲を聴くこと自体が相当久しぶりなのです。

 

さて、ラズモフスキー第1番。四楽章全部がソナタ形式となっている曲で、がっちりした印象の曲なのですが、第二楽章のスケルツォとか面白い曲ですし、第三楽章は大変美しい曲です。上海クァルテットの演奏は予想通り力強いはっきりした演奏で、グイグイと進んでいきます。そして、第三楽章はとても良く歌って素晴らしい演奏でした。このCDの白眉ですね、これは…。第四楽章は安定した雰囲気で締めくくられました。

 

ラズモフスキー第3番は、ゆったりと序奏で入って、主部に入るとスピードアップして展開していくスタイルです。この大曲のような雰囲気がなかなかのもの。第二楽章はチェロのピツィカートにのって歌われる憂鬱なヴァイオリンが美しい曲でした。第三楽章も含めてですが、第1番よりは古風な印象があります。聴きどころはテクニックが炸裂する第四楽章で、上海クァルテットも全開で走っています。ここはライヴで聴くともっと迫力があるんだろうなと思いながら、白熱のコーダへと向かうのでした。

 

上海クァルテットの演奏は久しぶりなのですが、思っていたより尖っていなくて、よくまとまっている印象を受けました。セッション録音ということもあるかもしれません。今年はアメリカツアーみたいですが、また来日したら聴いてみたいですね。

 

【録音に関して】

文句なく素晴らしい録音です。明晰であり、暖かくもあり、いい音で鳴っています。

 

【まとめ】

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を4枚聴きました。ありあわせのCDで聴いていたので、節操のない選曲になってしまいましたが、スメタナ・クリーヴランド・ベルリン・上海と特徴のある音が聴かれたので、なかなか良い体験でした。スズケのカルテットの音が好きかなぁ…。あと、予想以上に上海クァルテットの音も良かったと思います。上海とニューヨークが拠点ですね。今回聴けなかった曲はたくさんありますので、また気に留めて聴いていきたいと思います。

 

購入:不明、鑑賞:2024/02/14

 

今回のシリーズのリンクです。