ルーザス:オフレッド組曲,ツンドラ,交響曲第3番 フィリップス(s) ヨー指揮 (2012) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

7月に聴くために買った14枚のCD(その12)

ヤフオクで入札の少ない全く知らない曲を安価に落札したもの。何か面白そうと思って、時々こういった買い物をすることがあります。聴くのはけっこう大変なのですが…。とりあえず、聴いてみましょう。

【CDについて】

作曲:ルーザス

曲名:①オフレッド組曲 (2000) (20:15)

   ②ツンドラ (1990) (5:05)

   ③交響曲第3番「ドリームキャッチャー」(2006,2009改訂) (26:23)

演奏:フィリップス(s) ①

   ヨー指揮 オーデンセ交響楽団

録音:2012年1月16-17日①、2012年1月18-20日③、2012年1月20日②

   オーデンセ Carl Nielsen Hall

CD:BRIDGE 9382(レーベル:BRIDGE、販売:Bridge Records)

 

【曲に関して】

まず、ポウル・ルーザスは、デンマークの作曲家です。今回初めて聴きます。さっと聴いた感じは、新ウィーン楽派のイメージに近く、現代曲ではありますが、比較的聴きやすい音楽と思いました。とは言っても、こういう曲ですのでこちらも受け入れる雰囲気でないと、聴くのは難しく、聴く時を選ぶ感じではあります。(でも、だんだん慣れてきます(笑))

オフレッド組曲は、ソプラノ独唱と管弦楽による作品。これはルーザスのオペラ「侍女の物語」のオフレッドのアリアと管弦楽からなる組曲で、物語を凝縮した感じのようです。そもそも「侍女の物語」とは、女流作家マーガレット・アトウッドの近未来ディストピア小説で、そのオペラ化という形のもの。小説は、近未来のアメリカに誕生したキリスト教原理主義者による神権独裁国家が舞台の小説。この小説は1990年に映画化もされていて、音楽は坂本龍一が担当しているとのことです。また、最近テレビドラマ化され、時を経て続編も出たようです。

聴いた感じは、哀感のあるフィリップスのソプラノのアリアとある意味暴力的な管弦楽がマッチして、面白い曲になっています。イメージ、現代音楽の手法で、ベルクのオペラの短縮版みたいな雰囲気を出しているというところでしょうか。

ツンドラは、シベリウス生誕125年にあたって作曲された、ヘルシンキ・フィルの委嘱作品。ツンドラという標題を伴っているだけあって、シベリウスの作品よりは不毛度が高いようです。シベリウスのオマージュは、後半にホルンによって少し出現します。

交響曲第3番の副題であるドリーム・キャッチャーは、アメリカ先住民の持つ、良い夢だけを睡眠者に濾過するお守りのこと。魔除けですね。曲は激しい部分や穏やかな部分が交互に現れる、30分弱のもの。織り込まれた意味に関しては、詳しい解説を見ないとなんとも言えません。(英語のライナーだけで理解するのは限界アリ)きっと、夜の静寂と、跋扈する悪霊とドリーム・キャッチャーの見せる夢などが混然一体と表現されているのでしょう。弦楽器によって演奏される、長く美しい夜の音楽が印象的です。

ということで、ルーザスの曲を初めて聴いてみました。冒頭に、新ウィーン楽派の雰囲気と書いたように、比較的聴きやすい曲だったと思います。ルーザス自身はいろいろなタイプの曲を書いているようです。オペラでは、あのトリアー監督の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のオペラ化もあり、DVDも出ているのでちょっと興味があるところ。ただし、私はトリアー監督はあまり好きでは無くて、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もすごくよくできた映画だと思いますが、好きな映画ではありませんね。ルーザスもトリアーも、同じデンマーク出身とのことで、この映画のオペラ化に至ったのかもしれません。しかし、この作品をオペラ化するとは、もしかしてこの二人は同じタイプなのかな??

 

購入:2023/06/23、鑑賞:2023/07/15