(ブログの登場メンバー)
「チンパン」 ブリージングメソッドを分かりやすく伝えるため、日々猿知恵を絞っている。
「杏子(あんこ)」 長年にわたってチンパンの問答相手をつとめる。もはや腐れ縁と諦めているようである。
「虎徹(こてつ)」 ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペット・柴犬オス。
記事を知的でキュートなコメントで締めてくれる。
「ブリージングでは、『筋トレをやると動けない身体になるリスクがある』と教えているようですが、私は筋トレもスポーツも好きなので、有害でない筋トレがあったら教えてください。
筋肉王子」
「ブリージングは筋肉を鍛えることを全否定しているわけじゃないよね。特に下半身の筋肉は健康維持の観点から、ある程度は絶対必要だし」
「そのとおり。高齢になってくると、太腿の筋肉が細くなってくる。
両足をくっつけた時の足幅が、胴体よりも余りにも細くなっていると、生命力はかなり減っていると判断せざるを得ない。
高齢者は締める力が無くなって、足が開いてくるので自覚しづらい場合が多いが。
40代以降は、太腿が細くなるだけではなく、お尻の筋肉も垂れさがってシワだらけになってくる。お尻と肺は兄弟なので、呼吸力もそれだけ低下している。
様々な生活習慣病も発症しやすくなるので、お尻の筋肉も必要。
身体を横から見た時に、若者のお尻は盛り上がっているが、中高年以降はぺったんこになってくる」
「膝立ちになっているだけでも、大腿四頭筋はある程度維持・強化できるもんね。姿勢もよくなるし。
もう少し鍛えたかったら、正座屈伸。正座から膝立ちになることの繰り返し。
膝が痛い人はタオルや座布団を敷いてやればいいし。
スクワットは運動の王様と言われているけど、ブリージングではいわゆる普通のスクワットは薦めないよね。
膝を痛めるリスクがあるから」
「普通のスクワットは大腿四頭筋にばかり意識が行ってしまう。しかも股関節ではなく、膝関節でがんばってしまい勝ちなので、やり過ぎると膝が痛くなる。
ただでさえ加齢と共に膝が痛くなりやすいのに、その傾向を加速させてしまう。
しかも、大腿四頭筋はブレーキの筋肉。転倒防止効果はあっても、歩くのが遅くなるなどの弊害が出かねない」
「だから、いわゆる相撲の『腰割り』みたいなスクワットがおススメ。
四股の形に足を開いて、床と垂直に上体を前後させる。
深く落としても腰が太腿と水平くらいでOKだよね。
それよりも、普通のスクワットみたいに上体が前傾するのは不可。
壁に背をつけるなどして真っすぐ落とすように注意。
腰割りは、太腿裏側のハムストリングスとお尻の下部、内腿の内転筋を強化してくれるから。これらの筋肉はアクセルの筋肉」
「そもそも人間以外の動物は、筋トレもストレッチもやらない。全身を連動させて、関節・骨主導で動いているだけ。
必要な筋肉はその過程で鍛えられ、維持されていく」
「人間も、手足の自由が効かない赤ちゃんの時は、全身を連動させて動いているもんね。
成長して、手足が器用に動かせるようになるほど、だんだん胴体を使わなくなって、手足主体の運動に偏っていっちゃう。
更にスポーツとかをやると、ますます特定の筋肉や骨、関節ばっかりを使うようになるから、しまいに故障しちゃう。
使わない部位は、どんどん動かなくなって固まって行くし」
「会社などに置き換えても同じ。
仕事が大変な時期は、有能で『無理が効く』社員に過剰な負担を負わせて、その場を乗り切ろうとし勝ち。
その蓄積で酷使されて潰れる社員が出て来る」
「同時に、がんばっている社員にぶら下がって、ちゃっかり楽チンする社員も出やすいよね。
タダ乗りしている社員は、それだけ能力が低下していくし。使わなくなった身体の部位が衰えるのと同じ。
そうやって組織全体の生産性が落ちて行っちゃう。
身体も組織も、全パーツが協働してそれぞれの役割を発揮することで、負担が分散されて、楽に成果が出せるってわけさ」
「筋トレはある筋肉のパーツだけを取り出して、強化しようとする。
たとえばベンチプレスは仰向けに寝て、バーベルを持ち上げる。
腕や大胸筋は発達するが、そもそもあんな姿勢で身体を動かす場面は、日常生活にもスポーツにもまずない。
腕以外は固定されているので、連動性も全然ない。
確かにある部分だけを狙って強化出来る点は筋トレのメリット。
全体の連動性を理解、体現した上で、『この部位が弱いから強化しよう』と意図して鍛え、全体の調和を維持出来たら、筋トレも有効。
しかし、そこまで理解体現して筋トレをやっている人は、残念ながら余り多くないようである。
昭和中期に、あるプロ野球の打者が、手首ばっかり鍛えたら、かえって成績が落ちたと言う。
悩んだ末に、『全体のバランスが崩れたからだ』と言う結論を得たそうである」
「考えてみれば、当たり前の話なんだけどね(笑)」
「昔のスポーツ界は、経験談と根性が頼りだったので、やむを得ない面もあるが。
ストレッチも止まった形で筋肉を伸ばすから、運動する前にやったらパフォーマンスが落ちるのは当たり前。
運動とは筋肉を収縮させることなのに、真逆のことをやっている。
ある意味で筋トレとストレッチは双子の兄弟。筋肉は本来収縮しか出来ない。ある筋肉を伸ばしている時は、他の筋肉が縮んでいるのである」
「たとえば上腕二頭筋を収縮させて力こぶをつくっている時、上腕三頭筋が伸びているもんね。
意識の焦点がどっちにあるかで、筋トレとストレッチが変わるだけ」
「実技の話に戻ると、筋トレの中でも『ジャックナイフストレッチ』はブリージングでも薦めている。
ジャックナイフストレッチは、太腿前面が床と水平になるまでしゃがんだ姿勢からスタートする。
そこまで深くしゃがめない人は、自分が出来る高さでOK。
胸とお腹を太腿に密着させ、両腕で太腿を抱える。
この密着が離れない限度で、お尻を天井に向かって突き上げる。膝は伸ばしきらなくていいので、胸と太腿が離れないように注意。
この時お尻の下部がストレッチされて刺激が来ている」
「お尻の下部は、足を内旋させる筋肉だもんね。若さ=中心に集める力を保つには、この部位が肝心。
ハムストリングスの付け根でもあるし。
ここからお尻を出来るだけ天井に向かって突き上げちゃう。
更にハムストリングスが伸ばされて、結果的に大腿四頭筋は収縮。でも太腿前面でがんばるわけじゃないから、膝にも負担がいかないってわけ。
5~10回くらいから始めて、最終的には50回は出来るようになりたいね」
「ジャックナイフストレッチの完成形。完全にしゃがんだ姿勢からスタート。
胸とお腹と太腿をくっつけ、足首を両手でつかむ。
胴体前面と太腿前面の密着が維持できる範囲でお尻を突き上げる。これも最終目標50回。完全なトレーニング。
胴体と足を連動して動かしながら、お尻下部とハムストリングスを伸ばし、大腿四頭筋を収縮させる。
全身の連動性を高めつつ、必要な筋肉を鍛えてくれる。
一発で体温が上がる。経絡で言うと背面側の腎・膀胱経が活性化して水の代謝が良くなる。
太腿前面の胃・脾経も詰まりが取れて消化力が高まる。
ジャックナイフストレッチは大腿四頭筋も相当刺激するので、終わったら正座仰向け寝万歳でケアしておこう」
「ブリージングでは、上半身で薦めている筋トレはないの?」
「懸垂だけは薦めている。腕を鍛えると言うよりも広背筋を維持強化するため。
広背筋も加齢と共に衰えて委縮してくる。血糖値の上昇を防ぐためなどにも広背筋は重要。
男性なら5回くらいは自分の体重分の負荷は持ち上げられた方がいい。
チンパンも近所の公園に懸垂台があるので、週何回か通って懸垂している。
高齢者でも、鉄棒などにつかまって、斜め後方に身体を倒すだけでもいいので、広背筋を刺激しよう。
懸垂と言えば、柳川昌弘(やながわ まさひろ)と言う空手の先生は、若い頃懸垂をやり込んだそうである」
「柳川先生はもともと病弱だったから、身体を鍛えるにも、そんなに量をこなすことは不可能。
その代わりに1回ごとに本当に全力を出されたそうだよね。
それが火事場の馬鹿力を養うことにつながっちゃった。
なまじ体力がある人は、無意識に限界内でコントロールし勝ちだもんね」
「ある日懸垂をしているうちに、ポーン!と中心軸が通ったような感覚があり、それからは片手懸垂はもちろん、子供や自転車をぶら下げても懸垂出来るようになったと言う。
この体力は空手を行なうのに役立ったそうである」
「柳川先生は他にもイメージを活用されたり、色んな工夫をして身体を鍛えられたそうだよね。
大木を動かすイメージで全力で押す稽古とか。毎日やっていたら、しまいに大木が揺れるようになったそうだよ」
「ブリージングストレッチの雑巾がけも、手足で地面を全力で押すイメージを持てば立派な筋トレになる。
バーベルなどの負荷を使わなくても、イメージで身体を鍛えることは可能。
柳川先生の名著「空手の理」には、こうした柳川先生の体験を通した鍛錬法がたくさん紹介されているので、相談者さんにも一読を勧めたい」
(リンク)
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(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。
写真は先月に10歳の誕生日を迎えたボクです。
10年ひと昔と言うように、身体や運動の世界の常識も時代によって変わって行きます。
昔は足腰の鍛錬と言えば、うさぎ跳びが代名詞でした。
しかし80年代になると、「うさぎ跳びは膝を壊す」という意見が出始めました。
昔ながらのうさぎ跳び擁護派の間で、意見が対立しましたが、うさぎ跳び禁止派の正当性が認められたようです。
それが証拠に、今どきうさぎ跳びをやらせる指導者はいなくなりました、
うさぎ跳びを見たかったら、YouTubeなどのネット上で「巨人の星」のアニメを見るくらいしかないでしょう。
同じく80年代までは、「運動中に水を飲むとバテる」と言われて、夏場でも水を飲むことが禁じられていました。
今では脱水症状予防のために、運動中の小まめな水分補給は常識です。
このように、いわゆる常識は時代によって変わって行くものも多いのです。易経で言う『時流(じりゅう)』です。
偉い人が語る常識も、絶対視すると危険です。
もちろん、時代が変わっても変わらない不変の真理は存在します。
「人のあらゆる動きは、胴体の動きが根本」などのテーゼは、どんな時代になっても変わらない『時中(じちゅう)』の真理です。
The visible is fleeting, but the invisible lasts forever.
目に見えるモノは移ろいやすいけれど、見えないモノは永遠です とヘレンケラーも言っています。
時流と時中の区別を見極めましょう。それには見えるモノの背後にある、見えないモノに思いを馳せることです。
それが氣功の入り口のようです~。
つづく
次回は5月7日(日)に更新予定です。