(4月で完成)
冬の緊張体から、春の脱力体に向かって、身体は上から下へのドミノ倒しを起こします。
1月に後頭骨、2月に肩甲骨、3月に骨盤と言う順番に緩んでいきます。
それでは4月は?4月はお腹が大事な月です。個人差はあっても、春の脱力体に誰もが変わっています。
しかし、緩み切れなかった部位、排泄しきれていない老廃物を解消しようと、身体が色々な症状を起こします。
だから4月はお腹が緩くなり勝ちですが、その方がいいんです。お尻をほぐし、下半身の筋肉を動かして、積極的に排泄しましょう。
片足をくの字に曲げて抱えてスイングすると、お尻から太腿の外股ラインが刺激されます。このラインは大便の排泄を促す胆経が走っています。
両足をクロスさせてお辞儀してもお尻をほぐせます。
左のお尻が固いと便秘しやすく、右のお尻が固いと下痢しやすくなる傾向があります。
(出して、入れて、巡らせる)
健康業界では、「あれも食べよう」「これも摂取しよう」などと、やたらと身体によいモノを摂取することを薦めます。しかし、身体の中が詰まっていたら、どんな良いモノを入れても循環しません。詰まりが酷くなるだけです。
電車が駅に着いた時も、まずは降りる人が優先です。満員電車の場合、降りた人数分しか乗れません。たくさん降りるほど、新しく乗車できる人数も増え、電車内の通路もスムーズに動けるようになります。
出して、入れて、巡らせると言う順番です。人の体内でも同じことが起きています。
ブリージング氣功も、スワイショウなどの捨法(しゃほう)でマイナスの氣を捨て、站椿功(たんとうこう)などの補法(ほほう)でプラスの氣を入れ、小周天などで循環させます。
まず捨てることが最初です。古い建物を壊すから新しい建物を建てることが出来ます。
ヨガでは「磨く」と言う考え方があります。外部から良いモノを取り入れるよりも、磨いて内部のマイナスを削って行くことで、本来の輝きを取り戻すという考え方です。
身体の歪みが取れれば、ブレーキが解除される分、身体の動きが良くなるのと同じことです。足すより不要なモノを捨てることを考えましょう。春は捨てるのに向いた季節です。
(お腹を緩めて、引き締める)
お腹が固い人は、食べ過ぎの場合が多い。しかし、少年少女時代からのトラウマはお腹に溜まりやすいです。精神的な要因がお腹を固くしている面もあります。
特に腹筋にトラウマが残りやすいです。放っておくと、どんどんお腹が捻じれて、腹黒い人になりかねません。
ブリージングでは闇雲に腹筋を鍛えることを薦めません。余計お腹が固くなって、怒りっぽくなるなどの弊害が出やすいからです。
お腹は鍛える前に、ほぐしましょう。定番の按腹(あんぷく)です。
正座で膝を軽く開いて、四指をお腹に当て、息を吸いながら喉を伸ばして天井を見ます。
そのまま息を吐きながらお辞儀すると、自分の体重で指がお腹に入っていきます。重みを使ってほぐしましょう。
普段は鳩尾に指を当てますが、お臍以外のお腹は、どこに指を当ててもいいです。特に固いところを探ってコリを潰していきましょう。
更に正座の仰向け寝万歳で下垂した胃腸と肋骨を上げ、お腹を伸ばします。
お腹の固さが取れると、感情も安定します。お腹が固いまま瞑想をやっても、脳がその緊張に引っ張られるからです。
お腹が固いと、腸内細菌にも悪影響を与えます。外からいい物を入れても、内側の受け取り体制が整っていないと無駄になります。人はそれほど内側で決まります。
お腹をほぐした後に、割座屈伸でお腹を引き締めます。割座で仰向け寝になります。膝はわざと開いて万歳。
息を吐きながら両手を下し、膝をくっつけながら起き上がります。通常の腹筋よりもお腹の深部に刺激が届きます。
割座で出来ない場合は、片足を伸ばしたり、合蹠で行っても良いです。
そして基本のストレッチで末端=肘から先、膝から先をほぐしましょう。なまじ身体が丈夫な人ほど、マイナスが末端に逃げて行くからです。
四関(しかん)=手首足首を柔らかくしましょう。病の兆候は手首足首に出ます。
(完璧を求めない)
筋肉をつけるために、プロティンを飲んでいる人は多いですが、日本人には海草が良いです。わかめ・昆布・ひじきで良質な筋肉が出来ます。海草は腸内細菌の餌になるからです。
腸内細菌について、善玉菌・悪玉菌などと言われますが、それは人間が大脳で勝手に分類した区別に過ぎません。大脳の都合だけで行くと、『悪玉菌を根絶しよう』という発想になります。
しかし、善玉菌2・悪玉菌1。そして善でも悪でもない日和見菌7が、身体に最適な比率だと分かっています。
悪玉菌を排除すると全体がおかしくなります。
会社でも問題社員を排除すると、また別の社員が問題社員化すると言う具合に、無意識レベルで組織がバランスを取ります。
身体も薬である症状を押さえると、もっと厄介な別の症状が出るのと似ています。
一部のマイナスがやたらと氣になるのは、あなたの呼吸が浅いからです。もとはこちらです。
「自分がやるべきこと」に真剣に打ち込んでいれば、自然に氣にならなくなる筈です。完璧を求めると、落とし穴が待っています。
本当に肝心なのは、7割の日和見菌の動向です。数の力はすごいです。この7割が善玉菌につけば健康に向かいますが、悪玉菌につくと病氣に転がり落ちて行きます。
食生活や運動、心の持ち方などで日和見菌のベクトルが決まります。
歴史を紐解いても、人間社会も同じような原理で動いていることが分かります。特に日本国内の戦争は、日和見派の「裏切り」で決まる場合が多かった。
「関ケ原の合戦」が典型です。東軍=徳川家康と西軍=石田三成が争った天下分け目の戦いでした。
後年、関ケ原の布陣を見た西洋の軍人が、「西軍の勝ち」と判定しました。軍事的には絶対有利な布陣だからだそうです。
「実は裏切りがあったんです」と聞いて、やっと納得したそうです。
家康の事前の根回しによって、本心では東西どちらにつこうかと迷っていた西軍の中の日和見派が、裏切って東軍についたため、勝敗はたった1日で決まりました。
勝負は戦場で向かい合う前に、すでに決まっていたわけです。「孫子」の兵法そのままです。
「根回し」と言うと悪いことのように聞こえますが、「物事の根っ子を回す」という意味深な言葉でもあります。7割の日和見派の動向は、世の中を動かす「風」のようなものです。大勢の呼吸をどう導くかで、流れが変わって行きます。
コロナ騒動も、なし崩しに始まって、なし崩しに終息しました。合理的な理由よりも、世の中の多数派の「氣分」「呼吸」で決まった騒ぎでした。この騒動を振り返れば、日本社会の大きな「呼吸のうねり」を学ぶことが出来るでしょう。
(肝臓)
五行は、春は肝の季節と定めています。肝臓には分かっているだけでも五百種類の働きがありますが、氣のレベルで言えば、肝臓はダムとモーターです。氣を貯めておいて、必要な部位に向けて放出します。
この肝臓と深く関わっている骨が肋骨です。肋骨は「助ける骨」と書くように、肝臓を始め、内臓の働きを助けています。
肋骨は本来バネの働きを持っています。それなのに肋骨を固めて使っていると、加齢と共に故障が出て来ます。
まずは基本のストレッチで肋骨を上げましょう。
肩幅に足を開いて、垂らした両手の掌を天井に向けて全身を上下に細かく振動させます。肋骨が上下に弾んでバネの弾力を取り戻していきます。時間は好きなだけ行っていいです。
終わった後、掌にジ~ンとした氣感が残ります。内臓にも氣が届いています。五臓の働きが活性化します。
肺は体表に氣を巡らします。液体を巡らせるのが心、肌を養うのが脾です。肝は筋肉を司り、腎は骨を監督します。
老化すると体表から衰えて、やがて筋肉量も減少し、最後は骨まで減って来るとお迎えが近づきます。
氣功には「抗衰老(こうすいろう)」と言う言葉があります。もっと!もっと!と頑張る人ほど老化が早いという教えです。
頑張りと我慢は寿命を縮めます。やりたくないことは極力避けてOKです。特に50歳過ぎたらそんな時間はありません。
だからと言って、他人の努力にタダ乗りすることばかり考えていると、お荷物になるので周囲に嫌われます。嫌われても寿命が減ります。
もちろん若い人と同じような頑張り方はもう出来ないし、する必要もありません。
その代わりに人生経験相応の知恵や「思いやり」「いい意味でのゆるさ=ゆとり」などを提供できる存在になりましょう。人生はトレードオフです。
やたらと他人を心配することもやめましょう。特に自分自身の元氣が足りない人が、他人の心配をすると氣のレベルで足を引っ張ってしまいます。心配が「呪い」に転化してしまいます。
こういう人をブリージングでは「自老さん、他老さん」と呼びます。
「私はもう歳だから」と、自分自身に老化の暗示をかけるのが「自老(じろう)さん」です。自分で自分をダメにするだけだから、まだ罪は軽い。
しかし、他人にまで老化の暗示をかける「他老(たろう)さん」は、氣のレベルでは犯罪です。
友人が「体操教室に通い始めた」などと聞こうものなら、「あなた、歳を考えなさいよ。無理したら身体を壊しちゃうわよ!」などと心配顔で忠告します。
でも本音では、仲間が自分より上のステージに行かれるのが嫌なんです。他老さんにつかまると、いつまでも傷口をなめ合うような関係が続きます。氣のレベルではお節介そのものです。自分の呼吸が変わると、他老さんとは自然に縁遠くなります。
反対に、元氣な人が誰かを想うと祝福になります。だからまずは自分自身を整え、元氣になりましょう。
それが他人のためになり、大きな意味では世界のためになります。
(内腿は経絡のメインロード)
骨肉と内臓をつなぐ存在が経絡です。内腿の真ん中には肝経が走っています。
内腿の太腿前面近くには脾経、内腿の太腿裏面近くには腎経が、肝経を挟んで流れています。
だから内腿は経絡のメインロードのような場所です。
片足開脚で、折りたたんだ側の内腿に掌を重ねて圧をかけましょう。内腿のコリがあるところは、経絡も詰まって氣が流れていません。
前腕の親指側の骨=橈骨(とうこつ)を内腿に当てて体重をかけると、より強くコリを潰せます。腕刀(わんとう)という技です。
婦人科系疾患は「血の道症」と呼ばれるほど、肝経と関係が深いです。特に更年期以降は肝経のケアが重要です。
膝の近くには「血海(けっかい)」と言う脾経のツボがあります。このツボ周辺も古い血が溜まって凝りやすいです。
このツボをほぐすことで、古くて滞った血を、再び脾経のルートに巡らせて浄化・再生できます。流水腐らずです。
コリを物理的にほぐすことと並行して、内腿を動かしていきましょう。
片脚を時計の針状に床を滑らし、股関節下をトンネルのように潜らせる体操をすることで、内転筋が使われます。
自然に内腿も柔らかくなって、経絡の流れも甦ります。
(脳の安定)
一番氣=生命エネルギーを消耗し、寿命をすり減らすのは、争うことです。
争いと言うと、すぐに他者との争いを連想しますが、多くの人はまず自分の中で自分自身と争っています。
身体を動かす時も、アクセルの筋肉を使うべきなのに、ブレーキの筋肉を使ってしまう。
胴体から動かすべきなのに、手足が出しゃばって来る。
身体のコリや歪みが全身の連動を邪魔する・・・・・・。
その結果、力と力が体内でぶつかり、パフォーマンスを低下させます。この蓄積でだんだん身体が壊れて行きます。
心理的には、顕在意識=建て前と、潜在意識=本音が常にそっぽを向いているのが通常の人間です。
ここから脱却するには、瞑想で脳を静めることが有効です。
同時並行で身体を整えることです。身体と脳は連動しているからです。
骨盤の例で言えば、左の腸骨は左脳=理性の脳に、右の腸骨は右脳=感性の脳に連動しています。
それでは真ん中の仙骨は?間脳=生きる脳に直結しています。
だから仙骨さえ締められたら、人生は何とかなるんです。
まずはブリッジなので仙骨を締める力を養っていきましょう。
中心に力を集められるようになった上で、左右の腸骨をバラバラに使えるようにしていくことです。
お尻=骨盤が左右に分かれているのは、もともと分けて使えるように設計されているからです。
基本中の基本として、長座歩きで大きく左右の骨盤を分けて動かしましょう。
椅子に座って同じように左右の骨盤でその場歩き。より骨盤の動きだけを意識できます。
骨盤を整えて行くだけで、脳の働きも統合されていきます。
すると生きる力も、稼ぐ力も当然高まっていきます。
現代人は、身体は身体、頭は頭で別物だと言う考えに洗脳されています。
そして頭=首から上だけを使った生き方が高級だと思い込まされています。
しかし、頭=脳も身体の一部です。
だから丸ごと変えて行かないと、人生も変わりません。
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(虎徹のワン!ポイントコメント)
ブリージングスタッフ・ふぐじろう先生のペットの虎徹です~。
写真は、「春眠暁を覚えず」でスヤスヤと眠るボクです。
4月下旬から5月にかけては、自律神経が乱れやすい時期です。だから5月病などになりやすい。
しかし、自律神経は「自ら律する神経」なので、乱れるに任せておけば勝手に整います。
大事なのはしっかり眠ることです。眠りが浅い人は、なかなか自律神経が整いません。
胸が固い人、特に胸の固さに左右差がある人は、眠りが浅くなります。
なかなか胸が緩まない人は、足裏や足首周りをほぐしたり、肩甲骨を動かすことで、ある程度睡眠が改善されます。
Sound sleep is the best medicine. 熟睡に最高の薬なのです~。
つづく
次回更新は4月16日(日)予定です。