引き続きMr Koh。

私がクッキーICになってから程なく、C棟を中心に動きがあった。

実は、Mr Gohが収容所の改革担当も兼ねており、その一環として、我がC棟にPC経験の無い、長期刑期のInmateを集めた。2階建ての2階全部屋を彼ら割り振られた。流石にこの時ばかりは、Mr Gohが担当し、いつもと違う雰囲気で、部屋割りが行われた。不法滞在の、インディアやバングラと違い、彼らは、既に何年も収容されており(またはこれから何年も収容される)、多少のことでは動じない、原の座った連中。目つきも雰囲気も違う。こういった連中だから、収容所での暮らし方も一味違う。

看守の目を盗み、あれやこれや、やらかしてくれるのだ。そのため、部屋のチェックが強化されたのである。そこで登場するのがMr Koh。とにかく、Inmateから嫌われることが大好きな彼。この機会を逃すはずはない。今日はあの部屋、明日はこの部屋、またまたあの部屋...。同じ部屋を二日続けて検査することもある。


手順はこうだ、先ずはクッキー全員に集合がかかり、ごみ用ポリ袋とゴム手袋、マスクを装着させられる。Mr Kohを先頭にいざ出陣。検査する部屋は、その日の彼の気分次第で決まる。

ターゲットの部屋の前に立ち、「全員着席!」この一言で始まる。一人ずつ部屋から出されるが、ここでも部屋の出口で一度裸にならな」ればいけない。しかもMr Kohの前で、両手を上げ、口を大きく開いて、彼の前を通る。通過した後は、部屋の前の廊下に2列縦隊で着席、私語は厳禁。全員が部屋を出ると、クッキーと看守が中に入り、Pigeon boxや、ゴザで包んだ私物、のほか、部屋の隅々まで調べる。すると出てくること出てくること...。


Inmate作品集

(団扇) 雑誌のページを切り取り、食事の米を使って2枚張り合わせて作成。柄の部分は、同じく切り取った雑誌のページに米を塗りつけ何回も折り重ねて作られている。

(ブックカバー) やはり、雑誌のページを切り取り、米を使って本を包む。

(紐) 支給された毛布から糸を何本も抜き取り編み合わせて作成。長いもので2mほどもある。この紐を使って洗濯物を干している。

(爪楊枝) これも雑誌のページと米を使用。

(サイコロ) 支給された洗濯石鹸を加工。

これらは全て没収される。


まあ、支給品に限りがある分、作品にも限界があるが、みんな時間はたっぷりあるので、没収されてもまた作る。二日続けて検査しても、前日没収したはずなのに、翌日には新作ができている。

作品以外には、バナナ、飲み残しのコーヒー(または紅茶)、食パンなど。また、差し入れられた雑誌には、本人の登録番号が記されておるが、何故か他の部屋の本まである(禁止されているが、実はクッキーが部屋から部屋へ運んでいた)。


話がだいぶ逸れたが、Mr Kohは自らも手袋を着用し、率先して検査をする。外で待たされている連中は、文句を言い続けている。これで、Mr Kohはまた嫌われるのだが、彼らは気づいていない。彼は滅多なことでは、PC送りにしないのだ。他の看守であれば、規則を破れば即PCなのだ。実は、意外とやさしいMr Kohなのである。



中国系のMr Tohはとにかく声が大きい。慣れるまでは、いつも起こられているような気がしたが、クッキーICとなってからは、いつもそばで見ているので、気にもならなくたった。ここの食事は口に合わないだろうと、私だけにこっそりお菓子をくれたのは彼だった(本来厳禁)。、


新入りが来ると、Mr Klenはその中で一番人数の多い国籍を選び(たいてい、インディアかバングラ、チョンコレンは言葉が通じないため遊べない)手を降らせて遊んでいるが、Mr Tohは、全員を裸にして持ち物検査をする(私は、自分がされるのは当然嫌だが、させられているのを見るのも嫌だった)。既に入所しているわけだから、隠し持つものも無いのが、何故か彼はこれをやる。ところが、これが大問題へと発展するのだから、この国は恐ろしい。


C棟は、女性収容所と隣接しており、トタン板で仕切られているだけである。、女性棟に出入りする看守(もちろん女性)は、C棟の前を通らなければならない。ある日、Mr Tohがいつも通り新入り約40名ほどを裸で2列縦隊に立たせ、おかしな格好をさせていると、たまたまそこを女性看守が通りかかった。

彼女は、Mr Tohがわざと彼女に男の裸を見せ、からかった!と騒ぎ立てたのである。この国、何かと女性が強いことで有名だが、彼女は、これはセクハラだと、幹部に報告したのだ。現場に居合わせた私としては、これは、彼女の過剰な反応だと思った。Mr Tohは昨日今日この検査を始めたわけでなく、他の女性看守(Inmate宛ての手紙や差し入れの本を運んでくる、幸せを届けてくれる天使であった)は、その前を平然と通っているのである。そもそも、Inmateが場所を移動した際、看守は必ずこの検査をしなければならない(実際は行われていないが)。つまり、Mr Tohは職務を果たしただけなのだ


この問題、当のMr Tohはもちろんのこと、頭を痛めたのは、C棟担当責任者のMr Gohである。翌日Mr Gohから呼び出され、どうしたものかと相談される。私に相談されても困るのだが、客観的に見て、女性看守に見せることを目的に故意に行われたのではなく、あくまでアクシデントであったと述べた。彼は、それをそのまま報告するのだが、英語が苦手な彼は、私にそれを英文で入力させた。もし、私が看守のPC入力中にMr Gohがちょっと席を外し、そこへ他の看守が来ようものなら、一発PC送りである。このあたり、本当に開放的というかなんというか...。


ところで、この件でもう一つ明らかになったことがある。実は、Mr Tohと、Mr Singhは犬猿の仲なのである。Mr Singhはこのセクハラ事件を聞いて、手をたたいて大喜び。散々Mr Tohの悪口を聞かされた(ちなみにMr GohとMr Klenは親友)。この方については、語っても語りつくせないほどのエピソードがあるが、後々ゆっくりと。


さて、Mr Toh、これに懲りて裸検査を自粛すかと思いきや、次回からは、新入りを裏庭に連れて行き、存分にかつ過激に裸検査をし続けていた。やれやれ。



看守のランクはほぼ全員Sergeantだ。彼らは、棟ごとに担当が分かれている。私がいたC棟の担当は、Mr Goh(C棟責任者・中国系)で、ほかに、Mr Klen(前出・、マレー系)、Mr Sing(インド系)、Mr Toh(中国系)であった。時には他の看守も来ることがあるが

ほぼこの4人であった。もちろん、他にも大勢おり、皆個性豊かな方々ばかりである。

今日からは、この方々の紹介もかねて数々のエピソードを紹介していきます。


ほぼ毎日、出ていく者がいれば、入ってくるものがいる。事前に当日C棟入りする人数分の登録番号が届く。到着すると全員棟の外に整列し着席させられる。担当看守はそばで見ているか、他の事をしているので、通常ここからは、部屋の振り分けまで全てクッキーが担当する。ところが、Mr Klenだけは国籍別人数の確認だけは楽しそうにする。


Mr Klen 「インディア手を上げろ!。両手をあげろ!」

そろそろと座ったまま手を上げるインディア

Mr Klen 「もっと高く!もっとだ!」

いっせいに目一杯手を上げ続けるインディア

Mr Klen 「よーし、そのままゆっくり手を振って~。Swing!」

素直に手を振るインディア

Mr Klen  「・・・・・」

手を振り続けるインディア

Mr Klen  「・・・・」

手を振り続けるインディア...爆笑するクッキー一同


てな感じで、我々を楽しませてくれるのだ。