今日のテーマは、卵巣腫瘍です。
嚢胞に溜まった液体の種類により、漿液性
(しょうえきせい)、粘液性、類皮性嚢腫に
分けられます。
漿液性嚢胞は、発生頻度が最も高く、球形が多く、
ときに両側卵巣に発生し、成人頭大になる。
粘液性嚢胞は、2番目に多く、粘稠な白~黄色の
粘液が溜まり、多くは、片側に発生し、特に
増殖力が強く、成人頭大からときに10数kgにも
及ぶ巨大嚢腫もある。これがときに自然に破れ、
粘液が腹腔に漏れると、諸臓器を侵して栄養障害を
起こし、全身が衰弱することが ある。
類皮嚢胞は、内容は主として脂肪、毛髪、骨片や
歯牙などの皮膚組織が著しく発育したもので、
若年者に多く発生し、多くは片側に発生し、球形か
卵円形でときに小児頭大にもなる。
症状としては、大きな腫瘍にならないと、
一般に症状はありません。
しかし腫瘍のできる部位によっては、骨盤内の
器官を圧迫すると、下腹痛、腰痛、神経痛、排尿・
排便障害を、上腹部に対しては胃腸の運動障害、
さらに巨大化すると横隔膜を押し上げ、呼吸・
循環障害を起こし時に、腹水を合併する事が
あります。また、基礎体温は正常な場合が
多いですが、無排卵の場合は一相性の体温が現れ、
排卵障害や卵胞発育不良の場合は低温期が
長くなる事もあります。また月経量が多く、
不正出血(月経期以外の出血)が起こりやすく
なりますので、日々の症状の変化を観察し早期に
対応していきましょう。
中医学的に説明すると、腫瘍は様々なものが
滞ったことによってできた塊と考えます。
主に、気滞(気の流れが滞っている)、
痰湿(水分代謝の低下)、血帯(血行不良)が
原因です。次に症状と漢方薬について
御説明させて戴きます。
気滞が原因の場合は、月経後期(何周期かに
渡って月経周期が35日以上にのびる)、生理前に
胸が張る、落ち込みやすい又はイライラしやすい、
下腹部が張る・痛むなどの症状があり、漢方薬
としては、きゅう帰調血飲第一加減等を用いて
改善に努めます。
痰湿が原因の場合は、月経後期、おりものが
多い、肥満、寝ている時によだれが出るなどの
症状があり、漢方薬としては、桂枝茯苓丸
あるいは桃核承気湯等を用いて改善に
努めます。
血帯が原因の場合は、月経後期又は不定期、
経血が暗紅色で塊が混ざる、月経痛がひどい、
無月経等の症状があり、漢方薬としては、
血府逐お湯などを用います。