どうも主の機嫌が良いと思えば、今日はどうやら給料日らしい。
人間は金を稼がないと生きていけない面倒な生き物だ。
金を稼ぐには仕事をする必要があるが、人によっては仕事を金を
稼ぐ手段というよりは、楽しみとして行う場合があると、以前聞いたことが
ある。
吾輩は考えた。
生きるために働くのか、楽しむために働くのか。
主を例に挙げて考えてみると、これはどうにも答えが出ない。
主は仕事は嫌いだと愚痴をこぼしつつ、楽しそうにいそいそと
職場へ行くのだ。こんな矛盾があるだろうか?
今、主は新しく勝ってきたワインを眺めている。
どうやら、結構な値段がしたらしい。主の好きな酒を飲むために
金が必要であり、金を稼ぐために仕事へ行く。
ということは、突き詰めれば、酒を飲むために仕事をしているのかと
一時は結論が出かけたのだが、それだと楽しそうに仕事へ出かける
理由にはならない。
そこで別の角度から考えてみた。人間も猫も考えることが、日々を
充実させる唯一の方法である。
仕事自体は嫌いだが、その場所へ行くことが楽しみである、と
こう考えてみると、つじつまは、合わなくもない。
では、そう考えた時、楽しみな場所へ行くために、嫌いな仕事を
しているということになる。と、はたしてそれが幸せなのか、吾輩は
心配になってくるのだ。
今日も主は酒を飲む。願わくばそれが現実を忘れるための
嫌な酒でないことを、吾輩は、祈るばかりである。
「・・・・・・なんだよノブナガ。そんなにじっと見るなよ」
「にゃあ」
「お前も飲むか?」
「にゃ!」
「あ、行っちゃうんだ・・・・・・」