『今、子供たちに伝えたいこと・・・。』 | fadoおじさんのblog~明日の君に~

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子ども達の未来を共に考える、小さな個別指導の学習塾の先生fadoおじさんのblogです。

 『はじめて空に舞いあがった「始祖鳥」は、空を飛ぶことに対して強烈な「意志」と「あこがれ」を持っていたと思います。そして、それさえあれば必ず彼らは空を飛べると信じていたに違いない。そのような「意志」と「あこがれ」が、私たち、人間には必要なのではないでしょうか』と、私の尊敬するクラシックギターの巨匠、松田晃演(あきのぶ)先生は、私に伝えてくださいました。

 

 そして、それが、私の生徒たちに「伝えたいこと」のすべてです。

 

 私たちは、何時から「あこがれ」を胸に秘めなくなったのでしょうか。子供の頃は、ずっと大切にしていた「志」と「あこがれ」は、神様が世に出て行く子供たちに「これは人間にとって最も大切なものだからずっと持っておきなさいよ」といって、持たせてくれたものだと思います。そのうち子供たちも社会を知り、近くにいる大人を理解するようになると「これは重い荷物だ」と言って旅路の途中でわざとおいて行くのです。

 

 『僕、医者になりたのです』。と、小6のK君は、初対面の私の目を真っすぐ見て、こう言い放ちました。

 『K君・・・。医の道に進むと言う事は、無酸素でエベレストを目指すのと同じくらい困難に立ち向かう事なのだよ。と言ってから、私は『K君、「医者の菅谷(すげのや)先生」って知ってるかい』と言って菅谷先生の話をした。

 

 『菅谷昭(すげのやあきら)さん。1943年長野に生まれ。信州大学医学部卒。医学博士(甲状腺専門)。1991年よりチェルノブイリ原発事故被災地の医療支援に参加し、現地を7回訪問。1995年末に信州大学医学部第二外科助教授を退官。翌年1月からボランティアでベラルーシに単身滞在。5年半にわたり、首都ミンクスにある国立甲状腺センターがんセンターとゴメリ市の州立がんセンターで甲状腺がんにかかった子供たちの治療にあたった。帰国後、長野県衛生部長を経て2004年から松本市長。現在、松本大学学長』

 

 「K君、彼は、単身ベラルーシに渡って、たった一人で頑張ったんだ。そして、彼の高い手術技術や患者さんとの交流、何より志に心を打たれて行く、若い地元の医師たちが、彼のアパートに集まり、毎夜、勉強会を開いたんだよ。凄いだろう」。と、伝えた。

 その日からK君と私の挑戦が始まった。

 K君は、札幌南高、札幌医科大学医学部と順調に進み、大学生では、5年間、私の教室を手伝ってくれた。当然、生徒の信頼は、厚かった。そして、大勢の生徒たちを指導した。そんな中で、彼が指導した最後の教え子Sさんは、今年、大学を卒業して看護師として、東京に旅立つ。

 

 数日前・・・。そんなK君からこんな連絡が来た・・・・・。

 

 『ご無沙汰しております。Kです。

寒さの厳しい日々が続いていますが如何お過ごしでしょうか。

 

 まもなく釧路での2年間の初期研修が終わり、この度北大の放射線診断科所属となり、市立函館病院で勤務することになりました。この先数年は大学の人事で大学病院を含め道内の病院を転々としながら研修を行い専門医取得を目指すこととなります。

 

 放射線診断科はCTやMRIなどを読んでレポートを書くほか、カテーテルを使って体の中の出血を止めるといったことも専門とします。中高生の時は想像もつかなかった専門分野になりますが、尊敬する指導医との出会いを経て決断に至りました。人との出会いは時に人生の転機となり、小学6年生の時○○先生(私ですね・笑)に出会えたからこそ医者になる夢を持ち続け、高校大学進学を経て今があるのだと感じております。

 

 医師として人生は始まったばかりですが、人との出会いを大切にしつつ、学びと経験を積み、少しでも患者さんの役に立てるよう努力を続けていきます。

 

 私事で長々と失礼いたしました。

 先生もどうかご自愛ください。』

 

 私の教室に来た生徒たちや、保護者の方々には、私は、何時もこんな話をします。

教育って、子供たちが大人になった時、高い知性と判断力、思考力、そして、表現力を備えた人間になる様、指導することです。その根底にあるのは『人に感謝される』人間に育てることだと思います。

 というと、殆どの生徒たちや保護者の方々は、皆、唖然とし、『成績を上げる所じゃないんですか』。と、言って来ます。だから・・・。生徒が増えないのですね。(笑い)

 

 K君と同じ年に、東京の大学の工学系の学科に進んだ、F君は、大手光学系の会社に就職し、MRIやCTなどの医療機器の開発に携わり、K君が学生の時指導した、前出のSさんは、今年東京の病院の看護師になります。

 

 子供たちには、皆、『志・意志・憧れ』を伝えたいと思う今日この頃です。

 

 For Ingrid『心の駅』作詞、作曲、歌 谷村新司

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 旅立つ朝 駅のすみで

 涙こらえて 見送る人 

 尽きぬ思い にじむ景色

 今も忘れない

 

 人は皆泣きながら

 この世に生まれたから

 笑顔で帰るために

 遠く旅をする

 

 春になれば逢いにゆくよ

 ふるえる胸で

 あー君に遭いにゆくよ

 きっと逢いにゆくよ

 

 星を数え 目覚めた夜

 風の街から 聞こえた声

 父の背中 母の胸は

 今も忘れない

 

 人は泣きながら

 この世に生まれたから

 笑顔で帰るために

 遠く旅をする

 

 春になれば逢いにゆくよ

 ふるえる胸で

 あー君に逢いにゆくよ

 きっと逢いにゆくよ

 

 春になれば逢いにゆくよ

 ふるえる胸で

 あー君に逢いにゆくよ

 きっと逢いにゆくよ

 

 あー君に逢いにゆくよ

 きっと逢いにゆくよ

 

 ※谷村新司さんは、啄木をとても愛していたようですね。

  彼が作詞した曲には、随所に啄木の詩が顔を出します。

  そういう私も・・・。啄木の「一握の砂・悲しき玩具」愛読書です。

 

  一番好きな詩は・・・。初恋かな?

 

 砂山の砂に腹這(はらば)ひ

 初恋の

 いたみを遠くおもひ出(い)づる日

 

 『初恋』詩:石川啄木 曲:越谷 達之助

 ※遠い昔、マンドリンの佐々木さんという人と私のギターで、この曲を演奏したことがありますね。

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