将棋とは無関係なのですが、こんな話題を見つけたので取り上げます。(本日公開予定だった当初記事は後日にずらしました。)
博多女子中「願書出し忘れ」を教頭が弁明「気の緩みがあった」…背景には「願書の一括提出」福岡独自の事情もという記事からの抜粋です。
福岡市東区の私立博多女子中学校で、担当教員が公立高校の出願期限を勘違いして願書が受け付けられず、3年の生徒3人が志望校を受験できなかったことが発覚。
この件は誰の責任になるか、という話です。将棋とは関係ないとはいえ、組織の在り方には関係がある話題です。
願書提出は「受験生」→「高校」という2者関係なのに、なぜ「中学校」が関わるのか。
引用順は前後しますが、まずは当該記事のかなり後方から引用します。
これが東京都の場合、中学担任が願書に不備がないかを確認はするが、提出は受験生自身がし、それも現在では郵送の場合がほとんどだ。
これが本来の姿です。中学担任による願書提出の前の不備確認は必要条件ではなく、不備確認を受けなくても受験生は願書を提出できます。
では、今回の件で「中学校」経由と定めた主体は誰なのでしょう。
可能性の1つ目は、「中学校」経由にすると「高校」(またはその所属する教育委員会) が定めた場合。「高校」側は「中学校」にそのような作業を強制する権限はないので(*1)、「中学校」に対し業務を委託し「中学校」側から受託の了承を得ないといけません。また、そのような場合、通常は契約書が作成されるはずです。
このような契約がなされたら、「中学校」は一時的に「高校」の窓口になります。これは、「当日消印有効」のような郵送手続きにおいては消印を押す郵便局が一時的に最終官公庁の窓口になることと同様です (消印の日付が受付日となります)。
そして「中学校」→「高校」の提出が遅くなっても、全体としては「高校の出張窓口」→「高校本部」という組織内運搬の遅れが発生しただけのことになるので (「受験生」→「中学校」の時点で受付が終了しているので) 当該受験生は受験できます。
(*1) 市立中学校から市立高校へ出願する場合、市の教育委員会がどちらの校長にも命令権限を持つので、そういう場合は契約書は不要です (業務命令書くらいはありうるかも知れません)。
可能性の2つ目、元々「受験生」→「高校」という直接提出が可能なのに「受験生」が「中学校」に (使者として) 提出を依頼した場合。この場合は提出遅れにより受験できなくても仕方なく、その責任がどこにあるのかは「受験生」と「中学校」との間で争われることになると思います。
まあでも、こちらの可能性はまずないでしょうね。
先ほどの記事からもう1つ引用します。
「古賀竟成館が県立ではなく組合立なのは、地元の古賀市に近い教員なら誰もが知っており、混同することはありません。ただ、福岡市内の私立校であれば、教員間で認識の不徹底もあったかもしれません。
福岡は今や全国でも珍しい県立王国。生徒をいかにそのレベルにあった県立校に進学させるかが、つねに中学教員の念頭にあって、細かく調整を図ったうえで受験させています。
その結果、調査書だけでなく、願書も中学側が高校に提出するという習慣がずっと続いているんです」
やはり「習慣」でしたか。ということは、「高校」が「中学校」に取りまとめ業務を委託しそれを「中学校」が受託した、という契約書もないのでしょう。
何だか町内会問題を彷彿とさせます。
我が家の地域の町内会は多分平均よりはマシだと思いますが、それでも「役員は輪番、強制だ」「役員の免除を受けたいなら必ずその理由を現役員に弁明しろ」「弁明内容の秘密は現役員が保持するから大丈夫だ」みたいなことを言い出す人がいます。
でもそれって、単なる今までの「習慣」ですよね?
そのようなことを強制するためには、その強制内容を認めた契約書、または強制であることを明記した規程が求められると思います。そして町内会は任意団体 (任意に加入・脱退できる団体) ですから、そのような強制が嫌なら自由に脱退することができるわけです。
責任範囲や法的な扱いを曖昧にしたまま「今までこうやってきた」という言葉だけでおかしなことを押し付ける人は皆無ではありません。そして、福岡県ではそれが学校単位で発生しているのでしょう。
多分、世の中には「受験生に落ち度がないから受験を認めるべきだ」という声と「締め切りを過ぎているのだから高校の対応は当然だ」という声の両方があるのだと思います。
でも「A に責任がないから B が何とかすべき」「B に責任がないから A は泣き寝入りすべき」みたいに片側の状況だけで責任の所在を議論できる話ではないと思うのです。
その業務はどういう主体がどういう権限で誰に割り振ったのか、は常に明らかにされるべきだと思います。
おまけの話。
将棋界では「主催」と「主管」の概念がちゃんと切り分けられていないと感じます (ちゃんと分けて考えている人も少なくないですが、混同している人はかなり多いです)。
でもそれって、責任の所在が曖昧になる気がします。
この件については、気が向いたら後日話題にします。